科学者たちは20年以上に渡って、海洋保護区(MPAs)が海の長期的な健康を維持する鍵のひとつだと訴え続けてきました。初期段階では、その価値について異議を唱える人もいましたが、現在そのような争議はほとんどなくなりました。 米誌『 Smithsonian Magazine』によると、完全に保護されているMPAsは、その他に比べて4倍のバイオマスを持っています。 そこに生息する生き物たちは、より大きく成長し、それに比率して繁殖します。MPAsとその周辺地域は環境のダメージからより速く回復し、適切な漁業管理のもと、漁獲高も増えています。 漁獲エリアが減少したにも関わらず、海洋保護区でないエリアよりも漁獲高をあげているのです。

国連は2020年までに、世界中の10%の海域を完全なる海洋保護区にするという目標を掲げましたが、まだ目標達成の軌道に乗っていません。公式発表によると、その割合は6%以下とされていますが、MPAsである宣言された海域の中には、全く改善策が実行されていないエリアもあるため、実際は4%以下とも言われています。

Hope Spot – Moreton Bayのクマノミ (写真撮影:Chis Roelfsema)

Hope Spotのおかげで、私たちは目標の早期達成の手助けができます。Hope Spotは、「Mission Blue」の協力と監督のもと、Sylvia Earle博士によって考案されました。 Mission BlueはEarle博士が海洋保護のため個人と団体の協力関係を結ぶことを目的として創設した非営利団体で、Hot Spotは独特でユニークな海域―生物多様性が著しく高い海域、繁殖地として重要な海域、そして人為的な行為や経済発展の必要性などによって被害を受けている海域など、海の健康の鍵となる特性を持ち合わせています。

このプロジェクトは、世間の認識を深め、注意を喚起することで、Hot Spotの適切な保護と保全を実現するものです(必ずしもHope SpotをMPAsにすることが目的ではありません。 もとからMPAsであるHope Spotもあります)。PADIは2017年から正式にMission Blueとパートナーシップを提携し、2600万人以上のPADIダイバーの声をHope Spotプロジェクトに反映してきました。 Earle博士のおかげでHope Spotは、素晴らしい考えを持つ1人の力で、同じ目的のため、国境を越えた数百万人の心をひとつにするという可能性が証明されました。

今日、登録済みおよび提案中の Hope Spot の数は100近くに上ります。Hope Spotはとても重要です。しかし、これらの海域を保護するだけで地球温暖化と過剰な漁獲を阻止し、汚れのない海に回復できるわけではありません。それらの大きな問題の解決には、大きくて広い、そして深い社会変化が必要です(それは決して不可能ではありません)。 それでもHope Spotが必要な理由は以下になります:

  • 生物的生産性を証明できるエリアを作ることで、問題を対処する時間を稼ぐことができます。例えば、Hope Spotは過剰な漁獲を解決することはできませんが、魚の繁殖状況が確認されていないエリアをまとめることで、管理上における問題の解決から、魚の個体数減少問題を解決に導くことができます。
  • Hope Spotは生物多様性の保全をサポートします。一部の科学者はHope Spotの設立によって、その海域の生物多様性を良い方向へと導くと考えています。また一部の科学者は、変化の中には、永久的なものもあり、生物多様性は海洋生態学の中心だと考えています。つまり、サンゴの中には暑さに強い種類があります。そのような種類の多様な遺伝的供給に力を入れることは、水温の高い海では非常に大切なことかもしれません。
  • Hope Spotは人々を鼓舞する力を持つ、形あるものです。Hope Spotは人々の注目を集め、海の直面している危機が、いかに身近で個人と強い結びつきがあるかを気付かせてくれます。そして私たちは海の危機を救うため、行動を起こさなければなりません。Hope Spotはその地域の誇りの源として、ローカル・ダイバーと海の支援者たちが海洋保護のために立ち上がるよう鼓舞しています。
    Mission BlueとPADI、そして他の支援者たちは、ソーシャル・メディアを駆使し、Hope Spotのストーリーを世に広め、人々の関心を引きます。
Hope Spotの世界地図 (写真提供: Mission Blue)

ダイバーの1人として、PADIとMission Blue、Hope Spotプロジェクトのために手を取った他の団体をサポートしませんか? Hope Spotをノミネートしたり、Hope Spotの保護やそれを広めるイベントに参加することもできます(多くのイベントはPADIダイブショップやイントラが先頭に立って進めています。Project AWAREとのタイアップイベントもあります)。もちろん、Hope Spotに募金するのも方法のひとつです(詳しくは mission-blue.org をご覧ください)。Hope Spotの近くにお住まいの方、Hope Spotを訪れる方、ぜひ感じたことを周りの人々に、そしてソーシャル・メディアで広めてください。そして Project AWAREのイベントに参加し、PADIダイブショップと一緒にあなたのダイビングをより有意義なものにしましょう。数百万人の人々が、あなたや私のように情熱的に海洋保護に取り組むことが、海の最大の希望となるでしょう。

Dr. Drew Richardson
PADI President & CEO

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