2008年、Leo Moralesの身に起こったことは、誰もが想像しがたいものでしょう。 彼は癌の進行を止めるため、右足の切断に踏み切りました。 しかし彼は、それによって人生の輝きを失うことはありませんでした。 熱心なダイバーだったLeoは、ダイビングの世界に戻っただけでなく、インストラクターになり、テクニカルダイバーになりました。 そして障害者ダイバーによる2つの世界記録(深さと距離)を樹立しました。 彼はPADIアンバサダイバー、TEDxプレゼンター、作家、数千人もの人を鼓舞したメンターとなり、人々から尊敬される素晴らしい人となっています。「もしも過去が変えられ、右足が戻ってくるとしたらどうする?」と聞かれたところ、彼は「ノー」と答えました。 スクーバ・ダイビングによって人生を取り戻した彼は今、今ある人生を大切にし、社会に還元することに努めています。
とても感動的な話ですよね。 しかしこれは、ダイビングが人々を癒す力を証明するほんの一例です。
横断性脊髄炎により、12歳から対麻痺を患っているCody Unser(PADIアドヴァンスド・オープン・ウォーター・ダイバー)は、スクーバ・ダイビングによって自由とセラピー方法を見出しました。 そして今、自ら立ち上げた First Step Foundationを通して対麻痺の患者を助け、関連の研究に携わっています。 また、戦闘中に両足を失ったPADI ダイブマスターのChris Middletonは、Deptherapy(障害を負ったイギリス退役軍人のためのダイビングコースを提供するイギリスの団体)のダイビングを通して、スクーバ・ダイビングのヒーリングパワーを感じたと言います。 今、彼はDeptherapyと共に、より多くの人を「癒す」ため取り組んでいます。
PADIコースディレクターのThomas Kochは、耳が聞こえません。 しかし彼の“障害”は、水中では“強み”に変わります。 彼の娘・Claireが、同じくPADIコースディレクターであるCristina Zenatoのもとで、PADIジュニア・オープン・ウォーター・ダイバー認定を獲得したとき、手話を駆使し、水中でも陸上と同じようにスムーズにコミュニケーションを取っていました。
世界には、ダイビングのヒーリングパワーがもたらした奇跡のエピソードが数多く存在します。 人々はダイビングによって救われ、癒され、安らぎを得ています。 世界中で数百人のダイバーとプロダイバーが、障害を持つダイバーのサポートをしています。 世界をより良くする力として、ダイビング・コミュニティに名誉と意義をもたらしているのです。
スクーバ・ダイビングのヒーリングパワーは、上述に留まりません。 癒しは全ての人が必要とするものだからです。 生きていく中で、私たちはしばしば傷つくことがあります。 まるで全世界が自分の肩にのしかかり、眠れなくなったり、何をしていてもつまらなく感じるときがあります。 その負の感情があなたの大切な人にも伝わり、心配をかけるかもしれません。 そしてそれがあなたをさらに辛くさせるでしょう。
しかしダイビングに行くことで、素晴らしい変化が生じます。 水中に潜れば、そこは不安と隔離された別世界。 水中では心がクリアになります。そして心の底にある最も大事なものを見出すことができるでしょう。 バディが出す「OK?」ハンドシグナルに対して、久しぶりに心の底から「OK!」と返すことができるでしょう。 本来の自分を取り戻すには、数回のダイブが必要になるかもしれませんが、あなたの大切な人もその変化が感じ取れるでしょう。
私の観点は以下のようになります:
私たちがダイビングをシェアするのは、それが素晴らしい体験だからです。 そして人々に癒しを与えるからでもあるべきです。 癒しの力を特に必要としている人もいますが、癒しは私たち全ての人が必要とするものです。
Dr. Drew Richardson
PADI President & CEO