タコは、海の中で最も神秘的で興味深い生物のひとつです。彼らの独特な生態は、私たちの想像を超えるほど多彩で驚きに満ちています。ここでは、タコの面白い生態を10個紹介します。私たちが海の中で出会うタコは、単なる生物ではなく、その生き方そのものが大いなる驚きと感動を与えてくれる存在だと知っていただけると嬉しいです!
①タコには心臓が3つある
タコはなんと、心臓が3つあります!そのうちの2つは、エラに血液を送る役割を果たし、もう1つは全身に血液を循環させます。天敵に襲われたときに瞬発的に猛スピードで泳ぐため、筋肉が多くの酸素を消費するので、3つの心臓を持つことによって効率良く酸素を供給していると言われています。
②泳ぐと心臓の鼓動が止まってしまう
タコが泳ぐときには、全身を循環させる心臓が一時的に休むため、実は泳ぐのが苦手です。タコは泳ぐ際、身体を大きく動かす必要があるため、エネルギーを多く消費します。全身心臓が止まることで、エネルギーの消費を抑え、泳ぐ動作を続けるのに必要な酸素を優先的に供給することができると考えられています。だから普段は、素早く泳ぐよりも、ゆっくり歩いていることのほうが多いんですね。
③タコは古代から生息していた
世界最古のタコの化石は約3億年前のものです。タコは、約5億年前の古代のオウムガイのなかまから進化してきました。初期のタコの祖先は貝殻を持っていたと考えられており、これが徐々に体内に縮小したり、完全に消失したりして現在のタコのような柔軟な体になりました。
④タコはカモフラージュ能力に長けている
タコは、敵から身を守るために、瞬時に周りの環境に溶け込む驚異的なカモフラージュ能力を持っています。彼らは皮膚の色素胞を縮めたり緩めたりすることによって岩や海藻にそっくりな模様や色に変化させ、捕食者から身を隠すことができます。
⑤9つの脳を持つ
タコは驚くべきことに、9つの脳を持っています。1つは中央にあり、全体の行動を制御していますが、それぞれの触手に小さな脳があります。そのため、1本1本の触手の複雑な動きを可能にしています。これまでは全体を司る脳と触手の脳はそれぞれ独立していると考えられていましたが、2020年にCurrent Biology誌に掲載された研究結果では、そこには情報の流れがあると説明されています。
⑥タコは知能が高く、学習能力が優れている
タコは、海の中で最も知能の高い生物の一つとして知られています。実験では、タコが迷路を解いたり、繰り返し観察することで他のタコから行動を学ぶことが確認されています。また、タコは知能が高いだけでなく、道具を使う能力も持っています。貝や石などを使って巣を作ったり、防御用に使用しているところを目撃されています。「このタコ!」など、よく悪口として使われていますが、よく考えると褒め言葉なのかも・・・。
⑦墨で敵を混乱させる
タコはピンチに陥ったとき、敵から逃れるために墨を吐きます。この墨は視覚的に敵の目をくらますだけでなく、タコの臭いを消し、敵の嗅覚も混乱させる効果があります。これにより、タコは安全に逃げ道を作り出し、敵の追跡をかわすことができるのです。でも、タコの墨汁嚢はイカの墨汁嚢に比べて取り出すことが難しいのだとか。「タコ墨パスタ」は結構な高級パスタになるようです。
⑧自ら足を切り離して逃げる
タコは敵に捕まったとき、自ら足を切り離して逃げることができます。これは、捕食者に注意をそらせ、その隙に安全な場所へ逃げるための生存戦略です。驚くべきことに、切り離された足は時間が経つと再生し、元通りに戻ります。
⑨噛むときに毒を分泌
タコは獲物を捕らえる際、毒のある唾液を分泌します。この毒は相手を弱らせたり、消化を助ける役割を果たします。特にヒョウモンダコの毒は強力で、人に致命的な影響を与えることもあります。ヒョウモンダコほど致命的ではありませんが、人間が食用としているマダコも、噛まれた場合は痛みが生じます。
⑩10万個の卵を産み、命を捧げる母親
メスのタコは、一度に最大で10万個もの卵を産み落とします。卵が孵化するまでの間、食べることもせず、全てのエネルギーを卵の世話に注ぎます。しかし、卵が孵化すると、母タコはその使命を終え、自傷行為によってすぐに命を落とします。母が偉大なのは、どの生き物にも通じる真実です。
タコの生態は、私たちが思っている以上に驚きと神秘に満ちています。3つの心臓や9つの脳、カモフラージュや道具を使う知恵など、タコはまさに海の不思議な生き物です。さらに、危険を感じた時の墨の防御や、足を切り離して逃げる再生能力など、彼らの生存戦略は見事と言えるでしょう。