なかなか減らないダイビング事故をゼロにするべく、世界最大規模のダイビング教育機関PADI月刊『マリンダイビング』が2021年、タッグを組むことになりました。どうしたらダイビング事故を無くせるのか、ダイビングをもっと楽しむためには何が必要なのか。これから1年間、私たちと一緒にダイビングのスキルアップについて考えを深めていきましょう!

~第1回~序章編

第1回はスキルアップにおける「頭の中の変化」についてお話いたします。スキルアップには体力の向上や反復練習よりももっと大切なことがあるのです。

スキルアップは修行ではありません

「スキルアップ」と聞くと修行やトレーニングといったきついイメージを抱く方が多いかもしれません。しかし、ダイビングにおける「スキルアップ」とは言い換えてしまえば「安全に潜れるダイビングの幅を広げていく」ということです。スキルアップすることによって、新しいエリアや流れの速いスポットなどに挑戦できるようになります。またダイビングを楽しむだけでなく「安全に楽しむ」ことにもつながってくるのです。

スキルアップさえしていれば防げる事故がほとんど

過去に起きているダイビング事故を見てみると、自身の過失や能力不足による事故が多くを占めています。事故者数は増えては減ってを繰り返し、意識の緊張と緩みのサイクルが表れています。自然を相手にするダイビングにおいて、スキルアップは自分の命を守るためにとても重要なことです。また、定期的に潜り続けていることも大切になってきます。

スキルアップの第一歩は器材でも身体能力でもない!?

スキルアップにおける最初の一歩は、器材をそろえることでも、身体能力を上げることでもありません。もちろん自分に合った器材選びや一日中活動できる体力も必要ですが、それ以上に大切なのが「自覚」です。自覚したとき、それまでと同じ景色や場面でも違った視点を持つことができるようになります。自分で気づくのはなかなか難しいので、インストラクターの手助けなどがあればもっと速くスキルアップできるようになるでしょう。

目指すべきダイバー像

スキルを磨き上げていった先にある、ダイビングの最終形態は「美しいダイビング」ではないでしょうか。これは単純にダイビングが上手いというだけでなく、第三者の目から見た総合的な理想像です。ただ、どんなに突き詰めていっても100点になることはなく、かぎりなく続いていく分野です。ダイビングには終わりがない、これはファンダイバーもインストラクターも同じです。レベルが上がれば上がるほど、その先が見えてくるはずです。

このほか「『スキルアップ』と『ステップアップ』の違い」や「ダイバーとしての心構え」など、スキルアップの初歩的なことが月刊『マリンダイビング』3月号で特集されています。詳細はこちらをご覧ください。

今回の語り手

パディ・アジア・パシフィック・ジャパン   インストラクター開発 村上史郎

インストラクターを認定するIEで数多くのインストラクターを世に送り出してきた。一人でも多くの「美しいダイビング」ができるダイバーが育ってほしいと願う。自身もダイビングにのめり込んでおり、インストラクター育成にもアツい。

 

パディ・アジア・パシフィック・ジャパン
インストラクター開発&クォリティマネージメント部   マネージャー  小林秀一

PADIインストラクターとして活動後、PADIに入社し、College・RM(地区営業)を経て、現在ID&QM部で、多くのダイバーが安全に楽しめるように、講習プログラム品質向上に努めている。

 

 

 

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