こんにちは!東京海洋大学院生の中澤祐人です。今回は、私が経験したPADIのインストラクター開発コース(IDC)を振り返り、その体験をシェアしたいと思います。IDCはダイビングのインストラクターを目指す人にとって、最も重要なステップです。私がどのようにしてこの大変でもあり充実したコースを乗り越えたのか、その実体験をお伝えします。


そもそも、IDCとはなにか?

IDCは、PADIのインストラクターになるためのコースで、『Instructor Development Course』の略です。簡単に言うと、ダイビングを教えるプロになるためのトレーニングです。これを受けて、最後の試験 – IE(Instructor Examination)に合格すれば、インストラクターとして認定されます!

IDCは単なるスキル習得の場ではなく、それをどうやって他の人にわかりやすく教えるかを徹底的に学びます。例えば、水中でスキルをデモンストレーションするときの動きの一つ一つを、わかりやすく、しかも完璧に見せる練習をします。教室での授業の進め方やPADIの教材の使い方、さらには安全管理のポイントについても詳しく学びました。また、IDCはインストラクターとしての心構えを鍛える場でもあります。海洋環境を守るための意識を高めたり、人をリードする責任感を養ったりすることが求められるので、ダイバーとしての成長だけでなく、より深い責任感とリーダーシップを身につけることができます。


IDCへの挑戦

私がPADIインストラクターになろうと決意した理由は、ダイビングサークルでの経験から得た成長を、次はインストラクターとして他の人たちに還元したいという強い思いからです。ダイビングサークル Dolphinsに入ってから、たくさんの友人に恵まれ、仲間と共に過ごした時間は私にとって非常に充実したものでした。その中で、人間的にも大きく成長し、ダイビングがどれほど素晴らしいものかを実感しました。そこで、これからはインストラクターとしてダイビングサークルの活動を支え、後輩たちにも同じように充実した学生生活を送ってほしいと強く思うようになったのです。残り少ない学生生活の中で、この目標に向けて挑戦することこそが、私にとっての最後のビッグチャレンジであり、学生ダイバーとしての集大成でした。

A large group of student divers pose for a group photo with a banner on the bank.

困難とその乗り越え方

IDCは決して楽な道のりではありませんでした。体力的にも精神的にも疲れが溜まり、途中で投げ出したくなることもありました。特に、夜遅くまで続くトレーニングや授業で、体力的に限界を感じることが多かったです。まずは休息と回復の重要性を意識しました。体力的に疲れたときは、無理をせずにしっかりと休養を取ることが、次の日のパフォーマンスに繋がることを実感しました。また、精神的に厳しいと感じたときには、自分がなぜこの道を選んだのか、インストラクターとしてどんな影響を与えたいのかを改めて考え、モチベーションを再確認しました。

また、スキルサーキットでは、自分のデモンストレーション・スキルが足りていないことを痛感し、心が折れそうになった瞬間もありました。失敗を恐れずに反復練習を重ね、フィードバックを受けて自分の改善点を明確にしました。最初は上手くいかなくても、少しずつ成長している自分を実感できたことが、前向きな気持ちを支えました。そして、IDCバディであったタツヤと励まし合い、支え合うことで孤独感を感じることなく、最後まで乗り越えることができました。

An instructor stands in front of a whiteboard teaching two instructor candidates.
Instructor candidates demonstrate  brifing on the land

IE当日、緊張と達成の一日

IEは、PADIのインストラクターになるための最終試験で、「Instructor Examination」の略です。IDCで学んだことをしっかり理解しているか、そしてインストラクターとしてのスキルが十分に備わっているかを評価される場であり、合格すれば正式にインストラクターとして認定される重要な試験です。自分のスキルや知識を最大限に発揮する必要があり、そのプレッシャーは大きいものでした。

当日は、朝から緊張しましたが、心の中では「これまで応援してくれた人たちに良い結果を報告したい」という強い思いがありました。家族や友人、インストラクターの方々がずっと支えてくれて、何度も励ましてくれたおかげで、この試験に臨む勇気を持つことができました。だからこそ、絶対に頑張って合格したいという気持ちが強かったんです。

IEは大きく分けて3つのセクションがありました。最初は筆記試験です。ダイビング理論やPADIの規準についての問題が出題され、これが意外と難しい。普段からスキマ時間を活用して、eラーニングをしっかり読み込んでおいて本当に良かったと思いました。

次に、水中でのデモンストレーションやコントロールなどのプレゼンです。ここでは、受講生にわかりやすく、かつ完璧にスキルを見せることが求められます。練習してきたことをそのままやればいいとわかっているのに、緊張で体が硬くなり、何度も深呼吸をして落ち着こうとしました。最後は学科のプレゼンテーションで、陸上で授業の進め方を実際に披露します。どうやったら受講生に伝わるかを考えながら、一つひとつ丁寧に進めました。

全ての試験が終わり、合格発表を待つ時間がとても長く感じました。そして、自分の名前が呼ばれた瞬間、やっと安心でき、今まで支えてくれたみんなへの感謝と喜びが込み上げてきました。良い結果報告ができたことが本当に嬉しかったです。

Two young men are newly certified PADI instructors and are holding their certificates happily.

インストラクターになって芽生えた意識の変化

ダイブマスターとして活動していたときは、主にアシスタントとしてダイビングを楽しむお手伝いをしていました。ダイビングの楽しさを広めることは大事だと思っていましたが、正直、教えることの重要性や責任感についてはまだまだ実感できていませんでした。しかし、インストラクターになろうと決めてから、徐々にその意識が大きく変わったと思います。インストラクターとして、その楽しさを安全に、効果的に伝える方法を常に考えなければならないと強く認識しました。これからインストラクターとしてもっと多くの人にダイビングの魅力を伝え、共に成長していけるように、責任感を持ちながら活動していきたいと思っています。

Underwater selfie of a large group of student divers enjoying a dive in a large aquarium

最後に

まずは、IDCを担当してくださったダイビングプロジェクト・ジックの片岡さんとながれさんに心から感謝の気持ちを伝えたいです。お二人の支えがなければ、インストラクターという大きな目標を達成することはできませんでした。愛情を込めて、時には厳しく(まるで鬼のように笑)指導してくださり、無事にインストラクターとしての道を歩み始めることができました。

そして、物理的・金銭的に支えてくれた祖父母や両親にも感謝しています。車を貸してくれたり、金銭面でも援助してくれたおかげで、安心してこの道を進むことができました。

最後に、IDC中一緒に頑張ってきたバディのタツヤをはじめ、サークルの仲間たちにも感謝の気持ちを伝えたいです。みんなの存在があったからこそ、辛い時でも「絶対にインストラクターになるんだ!」と踏ん張ることができました。

これからは、皆さんの期待に応えられるよう、インストラクター活動に全力を尽くし、恩返しができるように頑張りたいと思います!

Two young men, newly certified instructors, celebrate their certification with a cake.
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