誰かが倒れたとき、目の前で命の危機が迫っているとき──「助けたい」と思っても、「もし何かあったら訴えられるかも…」と不安になり、行動をためらってしまう人も少なくありません。

こうしたときに参考になるのが「善きサマリア人の法(Good Samaritan Laws)」という考え方です。これは欧米や一部の国・地域で整備されている法律で、心肺蘇生法(CPR)やAEDを使って人を助けようとした一般市民を、法的に保護する仕組みです。


善きサマリア人の法とは?(海外の例)

多くの国や州、地方自治体には、CPR(心肺蘇生法)やAEDを使って人命救助を試みた通行人や一般市民を法的に保護する法律が存在します。
この法律の適用を受けるには、以下の条件を満たす必要があります:

-(意識があれば)助ける前に本人の同意を得ること ※反応がなければ「黙示の同意」があるとみなされます。

– 自身の知識・訓練の範囲内で行動すること

– 見返りを求めず、自発的に手助けすること

例えばアメリカの一部の州や、フランス・ドイツ・カナダ(ケベック州)などでは、援助を行うことが法律で義務付けられている場合もあります。


日本ではどうなのか?

現在、日本にはアメリカやヨーロッパ諸国のような包括的な「善きサマリア人の法」は明文化されていません。しかし、心肺蘇生法やAEDの使用など「人命救助を目的とした行為」は、正当な行為として扱われ、救助者が法的責任を問われる可能性は極めて低いとされています。つまり、「助けたい」という気持ちを行動に移すことは、日本でも基本的に守られるのです。

気をつけるべきポイント

  • 救助はあくまで自分の知識や訓練の範囲内で行うこと
  • 善意で無償で行うこと(報酬を目的にしない)
  • 重大な過失や医学的知識を超えた危険な処置は避けること

たとえば、CPR(心肺蘇生法)を行った結果、助けた相手の肋骨が折れてしまったとしても、これは適切な手順に基づいた処置である限り、訴えられて責任を問われる可能性は低いでしょう。しかし、その同じ人が医療知識を持たないにもかかわらず、骨折した脚を勝手に整復(元に戻そう)とした場合、その行為は訓練範囲を超えたものであり、被害者が訴訟を起こす正当な理由になる可能性があります。

スキル更新の大切さ

法律上の保護は「資格が最新かどうか」に左右されませんが、正しい方法でCPRを行うことが生存率に直結します。そのため、定期的なリフレッシュ講習やウェビナー、最新動画の視聴などで、スキルを更新し続けることが強く推奨されています。

Good samaritan

9月1日は「防災の日」

災害への備えと同じように、身近な命を守るための知識と行動力を備えることも大切です。もし大切な人が突然倒れたとき、あなたは助けられるでしょうか?そのために役立つのが EFR(エマージェンシー・ファースト・レスポンス)コース。CPRやAEDの使い方を体系的に学び、緊急時に自信を持って行動できる力を身につけられます。

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