みなさんこんにちは。フリーダイバーでPADI AmbassaDiverの福田朋夏です。
私はトレーニングや大会のためにこれまで世界各国の素晴らしい海に潜ってきました。透き通って光が深い海の中にも注ぎ込む真っ青な海、海洋生物が生き生きと泳いでいる生命エネルギーに溢れた海、白砂と青のグラデーションが広がる美しい海。

世界中には多様で魅力的な海が広がっています。けれどその一方でどんなに美しく見える海にも必ず人間が作った痕跡がありました。
真っ白な綺麗なビーチで砂をすくってみると、小さく砕けたプラスチックがたくさん混じっています。
真っ白な美しい砂の中に青や蛍光色の人工的な色が自然の景色に違和感を与え、そして小魚たちはそれをつついて食べていました。
綺麗な珊瑚には人間が踏みつけて折れてしまった跡があったり、釣り糸が引っかかって成長を妨げていることもあり、世界中のどんなに美しい海でも必ずといっていいほどゴミが漂っているのを目にしてきたのです。
そんな光景を見た時の悲しさは、今も忘れられません。

フリーダイバーだから気をつけること
フリーダイビングは機材に頼らず、自分の呼吸と身体だけで潜るスポーツです。深く潜る時は、海に挑戦するのではなく、海に受け入れてもらい、海と一体になっていきます。
自分の身体、心、海を合わせていくと、海の些細な変化にも敏感になります。だからこそ、海に漂うゴミや、絡まった釣り糸、白くなっていく珊瑚たちにも目がいってしまうのです。いつもたくさんのエネルギーを私たちに分け与えてくれる海から、悲しさを感じ取ってしまう時があります。
海と一体になれる喜びが大きいほど「この海を守りたい」と言う気持ちも自然に育っていきました。
私ができることから
私は海にトレーニングに行く時、できる範囲で海の中にあるゴミを拾うようにしています。もちろん、1人で海を綺麗にするなんて不可能。でも、一つでも少なくする事はできる。そんな小さな積み重ねを大切にしています。
そして、周りの仲間達と海を潜りながらゴミを取り除いていったり、珊瑚に絡まった釣り糸を解いていったり、地域の方達と協力しあってビーチクリーンを定期的に行っています。みんなで海に感謝しながら宝物を探すみたいにゴミを拾うのはとても楽しい時間です。
海外から流れて遠く旅してきたゴミや、骨董品のような時代を積んできたゴミ、さまざまなドラマを持ったゴミ達を見ていると、どのゴミも人間の役に立つために生まれて来たんだと愛おしくなってきます。


私の家の近くには昔から親しまれてきた美しいビーチがあります。その一角には地元の人々が昔から神聖な場所として大切にしている湧き水がありました。そこが近年、海流の変化によってその湧き水に大量の砂やゴミで覆い尽くされてしまいました。塞がった事によって湧き水の周辺には藻が茂り、嫌な匂いがして、神聖な場所から淀んだ空気が漂っていました。
最初は友人達と、大量に積もった砂をスコップで掘って水が流れる道を作っていました。何度も何度もそこに通い、湧き水が塞がればスコップで掘るを繰り返していました。やがて共感してくれる人たちが増え、一緒に作業してくれる仲間が現れました。中にはユンボを持ち込んでくれる方までいて、大量の砂は取り除かれ、再び綺麗な湧き水が流れるようになりました。
ただ、数ヶ月経つとまた元の状態に戻ってしまいます。終わりのない作業ですが、今後も地域の方や協力してくれる皆さんと一緒に、この場所を守り続けたいと思います。


小さな行動が未来を変える
環境保護というと大きなことのように聞こえるかもしれません。でも、特別なスキルも何も必要ありません。
・自分のゴミは自分で持ち帰る
・地球に優しい洗剤を使う。
・「地球を大切にしたい」と言う気持ちを周りに伝える。
そんな小さな一歩が、海や自然を守る大きな力になります。
おわりに
フリーダイビングは「深く潜る挑戦」だけではありません。海の美しさを全身で感じ、その大切さを伝える事もフリーダイバーの役割だと思っています。
「海を楽しむこと=海を守ること」
その想いを胸に、これからも私は海に潜り続けたいと思います。
PADIでは、9月13日~21日に毎年恒例の AWARE Week を開催します。ダイバーでも、まだダイバーでなくてもこの世界規模のムーブメントに参加しています。この一週間をきっかけに、あなたにとっての「海洋保護」を一歩行動に移してみませんか?