PADIオープン・ウォーター・ダイバー・コースは、いきなり海に出るのではなく、段階的に知識とスキルを身につけながら進んでいく構成になっており、初心者の方でも、安心して自信をもって潜れるようにしていきます。まずは、eラーニングでダイビングの基本知識を学び、プールなどの穏やかな環境でスキルを練習していきます。そしてその集大成として行われるのが、実際の海での「海洋実習(オープン・ウォーター・ダイブ)」です。
この海洋実習では、これまでに学んできたことを実際の環境で試しながら、4回以上のダイビングを通して少しずつ経験を積んでいきます。とはいえ、「海では具体的に何をするの?」「それぞれのダイブはどう違うの?」と気になる方も多いはず。この記事では、そんな海洋実習の内容について、ひとつずつわかりやすくご紹介していきます。

海洋実習(オープン・ウォーター・ダイブ)とは?
その名の通り実際の海で行うダイビングを指します。本番の海で潜るための練習で、自然の環境の中でこれまでに学んだスキルを実践していきます。(日本では海に囲まれているため、海で行うのが一般的ですが、世界にはすぐに海へアクセスできない地域もあり、その場合は湖などで実施されることもあります。)
PADIオープン・ウォーター・ダイバー・コースでは、海洋実習として合計4回以上のダイビングを行います。これらは通常、少なくとも2日間に分けて実施され、無理のないペースで少しずつ経験を積みながら、水中での自信や快適さを高めていくように設計されています。
各ダイビングでは、インストラクターによるスキルの確認が行われます。特定のダイビングで実施するスキルもあれば、「ダイブ・フレキシブル・スキル」と呼ばれる、そのときの状況に合わせて行えるスキルもあります。
ダイブ・フレキシブル・スキルとは?
4回のオープン・ウォーター・ダイブでは、いくつかのスキルを実施し、インストラクターが習得状況を確認していきます。その中でも「ダイブ・フレキシブル・スキル」と呼ばれるものは、特定のダイブに限定されず、コースの進行や状況に応じて、ダイブ1〜4のいずれかで行うことができるスキルです。
まず、水面で行うスキルには以下のようなものがあります:
- 自分やバディの足がつったときの対処方法
- 疲労したダイバーの曳行(約25m)
- コンパスを使った水面コンパス移動(約50m)
- スノーケルとレギュレーターの交換
- 器材(タンクやウエイト)の着脱
- シグナルチューブの使用(※水面、または水中からの使用)
- 緊急時のウエイトリリース(※限定水域で未実施の場合)
また、水中で行うスキルとしては、以下があります:
- コンパスを使ってまっすぐ進み、同じルートを戻るナビゲーション
- コントロールされた緊急スイミング・アセント(CESA)

オープン・ウォーター・ダイブ1・2
このダイブは、PADIオープン・ウォーター・ダイバー・コースで初めて実際の海に入るタイミングです。多くの人にとって、ダイビング器材を身につけて海で潜るのはこれが初めての経験になるでしょう(体験ダイビングに参加したことがあるや、限定水域の練習を海で行っている場合を除いて)。
そのため、このダイブはあえてシンプルな内容に設定されています。水に入る前には、以下の準備を行います。
- ハンドシグナルの確認
- ダイビング器材の装着
- 事前安全チェック
- 必要に応じたウエイト調整
- ジャイアントストライドやバックロールなど、環境に適した方法でのエントリー
これらの手順は、4回すべてのオープン・ウォーター・ダイブで共通して行われます。
水に入った後は、ロープを使う、または傾斜のある海底に沿って、ゆっくりとコントロールしながら潜降していきます。最大水深12mまで潜ったら、中性浮力のバランス(トリム)の確認や、マスクに少し入った水を抜くスキル、レギュレーターのリカバリーとクリアなど、水中での基本スキルを実践します。これらのスキルを終えたあとは、周囲の環境に慣れながら、水中での感覚や呼吸、浮力コントロールに少しずつ慣れていきます。

ダイブ2
ダイブ2でも、水面での準備はダイブ1とほぼ同じ流れで行います。ただし、このダイブでは新たに「ダイブプラン」と「水面での浮力コントロール」も加わります。具体的には、以下のような流れでスタートします。
- ダイブコンピューターまたはダイブテーブル(RDP)を使って、ダイブプランを立てる
- ダイビング器材の装着
- 事前安全チェックの実施
- 必要に応じたウエイト調整
- 水面でBCDにオーラルで空気を入れて浮力を確保
水中では、「5つの安全に潜降する手順」に従って、最大水深12mまでゆっくりと潜降します(ロープや傾斜に沿って行うこともあります)。その後、インフレーターを使って中性浮力を取り、水中で安定した状態を作ります。
ダイブ2では、以下のスキルを実施します:
- マスクに完全に入った水の排出
- レギュレーター・リカバリー&クリア
- エア切れの合図と、バディの予備空気源の使用
- 予備空気源を使いながらの浮上
これらのスキルを終えたあとは、残りの時間でダイブサイトを楽しみながら、水中での動きや呼吸に慣れていきます。その際も、残圧の確認やバディの位置を常に意識することが大切です。
最後は「5つの安全に浮上する手順」に従って、安全に浮上し、途中で安全停止を行いながら、水面へ戻ります。

オープン・ウォーター・ダイブ3・4
ダイブ3と4では、最大水深が深くなり、水面や水中で行うスキルも増えていきます。これまでに身につけてきたスキルをベースに、より実践的なダイビングへとステップアップしていく段階です。
この2つのダイブで、PADIオープン・ウォーター・ダイバーとして認定されるために必要なスキルをすべて完了します。また、この頃になると水中での余裕も少しずつ出てきて、ダイブサイトを楽しむ時間も増えていきます。自信をつけながら、ダイバーとしての感覚をさらに高めていくことができるステップです。
なお、ダイブ3・4の最大水深は18mです。
ダイブ3
ダイブ3では、準備の流れもこれまでと同様で、だいぶ慣れてきているはずです。
- ダイブコンピューターまたはダイブテーブル(RDP)でダイブプランを立てる
- ダイビング器材の装着
- 事前安全チェックの実施
- 必要に応じたウエイト調整
水中では、「5つの安全に潜降する手順」に従って、最大水深18mまで潜降します。このダイブでは、ロープなどに頼らず、目視を頼りに潜降する場面も増えていきます。
ダイブ3で行う主なスキルは以下の通りです:
- BCDへ口で空気を入れて中性浮力をとり、その場でホバリングする
- マスクを取り外し、元通りに装着し、水の排出
これらを終えたあとは、残りの時間でダイブサイトを楽しみながら、水中での感覚や動きにさらに慣れていきます。常に残圧やバディの位置を確認しながら行動することが大切です。最後は「5つの安全に浮上する手順」に従って、バディと一緒に浮上します。途中で安全停止を行いながら、水面へ戻ります。

ダイブ4
ダイブ4では、これまでのダイブで実施していない「ダイブ・フレキシブル・スキル」を行うことが一般的です。この頃には、ダイブ前の準備やエントリーの流れも、かなりスムーズにできるようになっているはずです。
- ダイブコンピューターまたはダイブテーブル(RDP)を使ってダイブプランを立てる
- ダイビング器材の装着
- 事前安全チェックの実施
- 必要に応じたウエイト調整
水中では、「5つの安全に潜降する手順」に従って、潜降します。このダイブでは、ロープなどの目印に頼らず、自分で状況を確認しながら潜る場面が増えていきます。
水深に到達したあとは、特定のスキルを練習するというよりも、これまでに身につけたスキルを組み合わせながら、実際のダイビングとして海中を楽しむ時間になります。インストラクターの見守りのもとで、水中での動きやバディとの連携を意識しながら潜ることで、「スキルの練習」から「実際に潜る」感覚へとステップアップしていきます。
最後は「5つの安全に浮上する手順」に従って、バディと一緒に水面へ戻ります。
ここまで来たら、海洋実習はすべて完了です。知識の学習からスキル練習、そして4回のオープン・ウォーター・ダイブをやり遂げたあなたは、もう立派なダイバーです。最初は不安だった方も、水中で呼吸しながら自分でコントロールして潜れるようになっているはず。ぜひ、自分自身の成長を感じてみてください。

次のステップへ
ダイバーとして認定された今、世界中のダイビングスポットがあなたを待っています。これからたくさん潜っていくことで、水中での動きや感覚にもどんどん慣れ、より自信を持ってダイビングを楽しめるようになっていきます。
次のステップとしておすすめなのが、PADIアドバンスド・オープン・ウォーター・ダイバー・コースです。
このコースでは、水中ナビゲーションやディープダイビングといった必須ダイブと、自分の興味に合わせて3つのアドベンチャーダイブを選ぶことができます。水中写真やナイトダイビングなど、「どんなダイビングを楽しみたいか」に合わせて、スキルを広げていけるのが魅力です。
また、ダイビングは一度覚えたら基本的には忘れにくいものですが、しばらく潜っていないと感覚が鈍ってしまうこともあります。Cカード(ライセンス)に有効期限はありませんが、ブランクがある場合は、PADI ReActivate リフレッシュ・プログラムでスキルを思い出し、自信を取り戻してから再スタートするのがおすすめです。