冬の時期の楽しみのひとつ、ホエールウォッチング。
ザトウクジラは6~10月の夏の間に北のアリューシャン列島やベーリング海で ニシンやオキアミなどを採餌し、12月~4月の冬の間は交尾・出産・子育てのために暖かい海域の小笠原や奄美大島、沖縄周辺で過ごします。春になるとロシアやアラスカなどの冷たい海へ移動し、この移動は数千キロメートルにもなります。ザトウクジラは、平均体長が13メートル、平均体重は30トン、全長の 3分の1(約4~5メートル)にもなる大きな胸ビレと頭部にある瘤(こぶ)が特徴です。尾ビレの白と黒の模様は 個々のクジラごとに違い(人間の指紋のようなもの)、個体識別の手がかりとなっています。
沖縄や小笠原も有名ですが、奄美大島のホエールウォッチングは他の地域と比べて特に魅力的です。ここでは温暖な気候と豊富な海洋生物が見られ、美しい海岸線や海中地形も楽しむことができ、自然の中でのホエールウォッチング&スイムが一層楽しい体験となります。今回は奄美大島でのホエールウォッチング&ホエールスイムをご紹介します。
ザトウクジラの様々なパフォーマンス
ザトウクジラは、数あるクジラの中でも特に様々なパフォーマンスを魅せてくれ、ホエールウォッチングに最も適したクジラです。
ブロー
呼吸のため、噴気孔を海面上に出し、息を噴出したときにできる霧状の潮です。この潮は噴気孔の周りの海水や、肺内の湿った空気です。ホエールウォッチング&スイムでは まずこのブローを探すことから始まります。
フルークアップ
水面から深く潜る際に尾ビレを海面上に高くあげる動作です。ザトウクジラの尾ビレの腹側の模様は1頭ずつ異なるため、個体識別ができます。 尾ビレの撮影はホエールウォッチングの醍醐味のひとつです。
ペックスラップ
横向きになり、胸ビレで水面を叩いたり、仰向けになって両ヒレを水面に叩きつけたりします。リラックスしている時や威嚇の際に行なうと言われていますが、詳細は不明です。
テールスラップ
尾ビレを上下に動かし、水面に叩きつけます。リラックスしているときや威嚇の際に行なうと言われていますが、詳細は不明です。
スパイホップ
海面から顔を突き出し、あたりを眺める行動。岸近くを泳いだり、海藻の茂みに入り込んだりしたとき、船やボートがクジラに接近したときにこの行動を見せます。
ブリーチ
体を水面から出す大きなジャンプ。体に付いた寄生虫などを落とすためといわれているが詳細は不明です。場合によっては全身が水面から出る場合もあり、最も大きな歓声があがります。
奄美大島でのホエールウォッチング
奄美大島では、2012年からホエールスイムを実施しており、ホエールスイムを案内するショップは、奄美クジラ・イルカ協会が定める自主ルールに則って運営しています。奄美クジラ・イルカ協会は、奄美大島周辺海域に冬期来遊するザトウクジラや、周辺海域に生息するミナミバンドウイルカ地域個体群の出現および個体識別調査を行なっており、奄美大島近海で観察できるザトウクジラの個体数は年々増加傾向にあります。
ホエールスイムは、スノーケリング経験や技術など参加条件がありますので、ご予約にショップへご確認をお勧めいたします。
ホエールウォッチング・ホエールスイムに参加ご希望の方は、奄美クジラ・イルカ協会のウェブサイトにある「奄美クジラ・イルカ協会 協会加盟ショップ」からお問い合わせください。