ダイビング中に、おならってできるの?意外かもしれませんが、これはとてもよく聞かれる質問です。

よいニュースとしては――水中では匂いを気にする必要はありません。でも、スキューバダイビング中におならをするって、危険だったり、そもそも不可能だったりするのでしょうか?

その答えは、この先で解説していきます。


おならって何?

まずは基本の確認から。そもそも「おなら」とは何でしょうか?

人間は、体のいくつかの場所からガスを排出しています。たとえば、大腸には食べ物を分解する細菌がいて、その細菌が食べ物を分解する時にガスが発生します。このガスには、水素やメタンが含まれ、においのあるタイプだと硫化水素が含まれています。これらは“副産物”として、日常的に体外へと排出されています。

一般的に、私たちは1日に約12~25回ガスを出しており、量にすると1日に約0.6~1.8リットルものガスを生み出していると言われています。


a scuba diver looks up towards the surface in a a clear blue sea

水中でおならはできるの?

結論から言うと――できます。ですが、水深が深くなると、“おならをしたい感じ”自体があまり起きなくなることが多いんです。この理由は後ほど触れます。

水中で起きていること自体は、陸上と基本的に同じです。レギュレーターをクリアするみたいに、ぐっと力を入れれば、ガスは出ていき、泡となって水面方向へ上がっていきます。なぜ泡が上に向かうのかというと、それは水より軽いからです。


圧力はおならにどう影響する?

スキューバダイバーなら、水深が深くなるにつれて圧力を感じることは、よく知っていますよね。
ボイルの法則の通り、その圧力によって肺や副鼻腔、マスクまで“ぎゅっ”と押されます。体の中にあるガス全般についても同じことが起きます。だから、水深が深くなるほど「おならしたい」という感覚が弱くなっていくのです。

目安として、10m(約30ft)潜るごとに1気圧が加わると覚えている人も多いと思います。つまり、体の中で溜まろうとしているガスの泡は、30m(約100ft)付近では、地上のときの約1/4の大きさになっています。そうなると、そもそも“出したい”という感覚そのものが、ほとんどなくなってしまうのです。


why diving should be considered a wellness activity

ウェットスーツやドライスーツの中でおならしても大丈夫?

水中でおならをしても、基本的には大きな問題は起きません。

まずドライスーツの場合は、中の空気の量を調整して中性浮力を取ります。快適さや浮力の調整のために、時々スーツ内に空気を足したり抜いたりします。なので、少しガスを出した程度では、浮力に大きな影響はほぼありません。ただ、もし“連発”してしまうタイプの人は、排気ボタンの位置だけはしっかり把握しておきましょう。そもそも私たちが1日に出すガスは0.6~1.8リットル程度なので、トラブルになる可能性はかなり低いです。

一方、ウェットスーツの場合、出た泡は、首の後ろや足首付近から抜けていくので、こちらも心配はいりません。ただひとつ!バディがあなたの後ろを泳いでいないかだけは、気にしてあげてください。


ダイビング中におならはできるのか…答えは、「YES」。しかも、安全面への影響はほとんどありません。ただ、そもそも必要性自体があまり起きない、というのが現実です。

この話題で一番大きい“問題”があるとすれば、それは安全ではなく「恥ずかしさ」。周りに誰もいないことを確認してから、静かにガスを出しましょう。あとは泡が勝手に、上へ上がっていくだけです。

水中でどんな要素が浮力に影響するのか深く知りたいなら、ピーク・パフォーマンス・ボイヤンシー(PPB)スペシャルティがおすすめです。水中で“自分の身体がどう変化するか”も、もっとよくわかるようになります。


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