周囲を海に囲まれた日本には、個性豊かなダイビングエリアがいっぱい。日帰りで気軽に行ける場所にも、見どころ満載の海があるのです。第8回は伊豆半島南エリアのダイビングエリアを紹介します。
関東や東海だけでなく、関西・中部のダイバーも訪れる伊豆半島は、まさに日本のダイビングの中心的存在となっています。半島を取り囲むようにダイビングエリアが並んでおり、見どころはさまざま。大物、回遊魚からマクロ生物、迫力の地形にソフトコーラルの群生まで、あらゆるダイバーを満足させる要素を持っています。伊豆半島南側のエリアは、黒潮の影響を受けるため潮通しがよく、ダイナミックなダイビングを楽しめるのが特徴。特にハンマーヘッドシャークの群れは世界中のダイバーから注目されています。
神子元
神子元島は南伊豆の弓ヶ浜から沖合約9kmに位置する無人島で、伊豆半島随一のダイナミックなダイビングエリア。周囲は黒潮の影響で魚影が濃く、特に6〜10月はハンマーヘッドシャークの大群と出会うチャンスが高いのが大きな魅力です。時には100尾を超える群れが目の前を泳ぐ「ハンマーリバー」を体験することも。100%ボートダイビングで、ドリフトスタイルで潜るため、初心者には難しいポイントですが、魅力的な海の景色と豊富な魚種が訪れる価値を高めています。ハンマーヘッドシャーク以外にも、カンパチやワラサなどの回遊魚の群れ、トビエイ、ウミガメ、ときにはマンボウやイルカ、ジンベエザメ、クジラといった超大物も姿を現すなど、ダイバー垂涎の海となっています。

人気ダイビングポイント:カメ根
神子元島の南東部にあるダイビングポイントで、潮の流れが複雑で、大物遭遇率が非常に高いことが特徴。タカベやイサキの群れをはじめ、カンパチやワラサなど大型回遊魚が数多く泳ぎ、時にハンマーヘッドシャークの大群「ハンマーリバー」と遭遇することも。数えきれないほどのハンマーヘッドシャークが悠然と泳いでいくシーンは圧巻です。地形が複雑で、スズメダイ、タカベ、イサキが固まって群れている場所があり、その近くには大きなクエもいるなど、多様な生物に出会える魅力的なポイントとなっています。
アクセス
車:東京から約2時間40分。東名高速道路→厚木IC→小田原厚木道路→国道135号線を南下し、伊豆急下田駅方面へ。伊豆急下田から各ダイビングサービスまでは15~20分。
電車:東京駅から特急踊り子号で約2時間半。終点伊豆急下田駅で下車後、ダイビングサービスの送迎またはタクシーなどで港へ。
中木
まるで南の島のような美しい海が広がる、伊豆半島最南端のダイビングエリア。黒潮の影響を受けるため透明度が高く、魚影も濃厚で、大型回遊魚やウミガメ、ハンマーヘッドシャークに出会うこともできます。「ヒリゾ浜」はスノーケリングポイントとして有名で、「伊豆最後の秘境」とも呼ばれるほどの人気を誇り、8月のシーズン中には入場制限がかかるほどです。ダイビングポイントとしては「トウジマ」の迫力ある地形が特におすすめで、初心者から上級者まで楽しむことができます。このエリアは釣り好きにも人気があり、その豊かな自然と生態系が多くの人を魅了しています。
人気ダイビングポイント:ハヤマ
水深が浅く、流れもほとんどないため、初心者から上級者まで楽しめるボートポイント。エダサンゴ(ヒメエダミドリイシ)の群生が特徴で、まるで南国のようなトロピカルな景観の中、チョウチョウウオやスズメダイの仲間が泳ぐ様子が魅力的です。秋にはスマガツオの群れやムレハタタテダイ、ミナミハコフグの幼魚などが訪れ、さらにカンパチなどの回遊魚が現れるチャンスも。のんびりと潜りたいダイバーにおすすめのポイントです。



画像提供:中木マリンセンター
アクセス
車:東京から約2時間50分。東名高速道路→厚木IC→小田原厚木道路→国道135号線を経由して南下し、南伊豆町中木へ。
電車:東京駅から特急踊り子号で約2時間半。伊豆急下田駅からバスで中木方面へ(所要約50分)。
妻良
伊豆半島の南端、駿河湾に面する妻良は、黒潮の支流が流れ込むことで豊かなプランクトンに恵まれており、根付の魚から回遊魚まで、伊豆屈指の魚影の濃さを誇るエリアとして知られています。特に夏から秋にかけては、中型回遊魚の群れやその補食シーン、またカラフルな南方系の魚たちが楽しめるのが魅力です。地形も豪快で、アーチやケーブといった変化に富んだ景観がダイバーに人気。さらに、定置網ダイビングも開催されているため、初心者から上級者まで満足できるエリアとなっています。

人気ダイビングポイント:平島
ダイナミックなドリフトダイビングが楽しめる中級者~上級者向けのボートポイント。水深20〜35mに広がる巨大な根やソフトコーラルで覆われた壁が特徴で、洞窟や白砂の水路といった変化に富む地形も楽しめます。魚影が非常に濃く、マダイやサメなどの大物から、イサキやタカベ、キンギョハナダイの群れまで観察可能。時にカスザメやウチワザメと出会うことも。地形派もマクロ派も満足できるオールラウンドなポイントで、南方系の魚たちが集まる夏から秋は特におすすめです。



また、平島手前のポイント“ぐいし”は、最大水深12メートル程度の砂地・岩場で、体験ダイビングでもオープン・ウォーターでも利用可能で、初心者にもおすすめのポイントです。

アクセス
車:東京から約3時間。東名高速道路→沼津IC→伊豆縦貫道→伊豆中央道→修善寺道路を経由し、天城峠を越えて河津まで南下。河津から国道135号線で下田方面へ。下田駅を過ぎたあたりをさらに南下し、南伊豆町・妻良漁港へ。
電車:東京駅から特急踊り子号で約2時間半。伊豆急下田駅からバスまたはタクシーで妻良方面へ(所要約40分)。