日本でも神子元島や与那国島で会えるハンマーヘッドシャーク。あのハンマーのような特徴的な頭を持ち、群れで優雅に泳ぐハンマーヘッドシャークを見るために多くのダイバーがダイブサイトに足を運んでいます。
そんなハンマーヘッドシャークは絶滅の危機に瀕していることをご存じでしょうか？海洋の健康にとって重要なサメやエイは、残念ながら、2021年の研究で約3分の1が絶滅の危機に瀕していることが分かりました。この発見は、サメとその生息地の保全と保護の重要性を強調しています。
ハンマーヘッドシャークを守るために何かできることを探していますか？この記事を読んで、必要な知識を身につけましょう！
ハンマーヘッドシャークは絶滅の危機に瀕しているのか？
残念ながら、ほとんどのハンマーヘッドシャークの種はIUCNレッドリストで絶滅寸前、絶滅危惧 、または危急種に分類されています。彼らの個体数は減少しつつ、生息地も変化しています。ハンマーヘッドシャークを理解し、彼らが海洋環境とどのように相互作用しているかを理解することは、彼らの脅威と保護方法をよりよく理解するために重要です。
解剖学
ハンマーヘッドシャークは軟骨の骨格を持っています。この柔軟で強靭な骨格のおかげで、素早く泳いだり、機敏に立ち回ることができます。ハンマーヘッドシャークの特徴的な頭部は「Cephalofoil セファロフォイル」と呼ばれます。左右に1つずつ目があるため、広範囲にわたる視野を持ち、周囲を素早く見渡すことができます。これにより獲物を見つけやすくなります。ヒラシュモクザメは狩りの際にその頭部を使ってエイを押さえ込むこともあります！
脅威：乱獲がハンマーヘッドシャークにとって主な脅威です。彼らはヒレのために捕らえられ、また混獲もされます。
寿命と繁殖
ハンマーヘッドシャークはすべてのサメ種と同様に長寿命で成長がゆっくりです。例えば、最も小型のハンマーヘッドシャークであるウチワシュモクザメの寿命は12年です。一方、最大のハンマーヘッドシャークであるヒラシュモクザメの寿命は20〜30年です。ハンマーヘッドシャークは胎生であり、卵ではなく子供を産みます。小型の種ほど出産数は少なく、4〜14匹程度で、ヒラシュモクザメは6〜42匹の子供を産むと言われています。
脅威：ハンマーヘッドシャークは成長が遅く、繁殖のために年に何度も何千個もの卵を放出する魚に比べると、子供を産む数が比較的少ないため、乱獲の影響を特に受けやすいです。そのため、ハンマーヘッドの個体数は、乱獲の影響からすぐに回復することは難しいのです。
生息地
ハンマーヘッドシャークは世界中の温帯および熱帯の海域に生息しています。彼らは沿岸近くに生息しており（そのため、ダイビングして彼らを見ることができます！）、また回遊性があります。
脅威：ハンマーヘッドシャークの生息息は沿岸域のため、人々がアクセスしやすく、開発や汚染による生息地の劣化が顕著です。また、気候変動は海洋に影響を与え、サメやその獲物の生息範囲を変える脅威となっています。
ハンマーヘッドシャークの保護状況
IUCNのページから、ハンマーヘッドシャークの10種の保護状況について確認できます：
- インドシュモクザメ – 絶滅危惧種
- スカロップドボンネットヘッド – 絶滅危機種
- ホワイトフィンハンマーヘッド – 個体数データなし
- アカシュモクザメ – 絶滅危機種
- スクープヘッドシャーク – 絶滅危機種
- ヒラシュモクザメ – 絶滅危機種
- ウチワシュモクザメ– 絶滅危惧種
- ナミシュモクザメ – 絶滅危機種
- シロシュモクザメ – 危急種
- カロライナハンマーヘッド – データ不足
なんと、カロライナハンマーヘッドは2013年に発見されたばかり。海やそこに生息する生物について探求し、学ぶことはまだまだたくさんあるだけではなく、その海を守ることはとても重要なことなのです。
保護活動
最後に、私たちはハンマーヘッドシャークを保護・保全するために何ができるでしょうか？実は、私たちにも様々なアクションを取ることができます！サメとその生息地を研究と監視する組織や大学があり、これらの研究結果やデータを活用することで、政策立案者はサメに影響を与える漁業や他の産業を管理するためのより良い政策をつくることができます。
PADI AWARE財団は、世界的な海洋保護のために各地域でのアクションを推進する非営利団体であり、サメとエイの種の保護プログラムも実施しています。その目標は、2030年までに絶滅の危機に瀕するサメとエイの数を25％減少させることです。PADI AWAREとPADIのダイビングコミュニティは、規制されていない漁業の制限、効果的な海洋保護区の設立、そして各地域におけるサメとエイの個体数の監視などの取り組みに推進しています。
ダイバーとして、PADI AWAREのサメとエイの保護活動に参加することができます。一つの方法は、AWARE サメの保護スペシャルティ・コースを受講することです。このコースは、サメの脅威について学び、サメの保護のためにどのようなアクションを起こせるか考えるきっかけとなるでしょう。ご自身のコミュニティでサメの保護に関する事実を共有や持続可能なシーフードを購入など、日常生活の中でサメの保護を取り入れたり、ダイビング業界での持続可能な実践をサポートすることができます。
多くのハンマーヘッドシャークが絶滅の危機に瀕してしまっていることは事実ですが、今からでも絶滅しない未来に向けて、アクションを取ることは決して遅くありません！
ハンマーヘッドシャークについてもっと知るために、ハンマーヘッドシャークの12の興味深い事実を読んでみましょう。また、サメとエイを観察するツアーに参加する際のベストプラクティスや他のサメの絶滅危機についても知っておきましょう。
