PADIコース・ディレクター(CD)は、世界中で数百人しか持っていないPADIプロフェッショナルの中でも最高レベルの資格です。一言で言えば、このトップレベルのトレーナーは、ダイビングの教え方を他の人に教える人たちです。

PADI course flow chart

コース・ディレクターになるには、努力と献身、そしてダイビングと教えることへの情熱が必要です。決して簡単なことではありません。では、20代でコース・ディレクターになることは可能なのか?その答えはイエス。不可能ではありませんが、とてもレアなケースです。

この記事では、ヨーロッパ、中東、アメリカの3人のコース・ディレクターがどのようにして、20代でコース・ディレクターになるという快挙を成し遂げたか紹介したいと思います。あなた自身がコース・ディレクターになるという夢を追い求めるきっかけになれば幸いです。


献身

エドウィン・ジョエル・ロッダー(イギリス)は2023年、23歳でドミニカ共和国で開催されたコース・ディレクター・トレーニング・コース(CDTC)を修了。17歳からダイビングをしていたロッダーは、次のように振り返ります。

「学校に通いながら、小さなメディア会社で働いていたとき、海洋自然史写真の学位を取ろうと決めました。これ以上にない進学先だと思いましたが、水中での活動に必要なダイビングの認定を持っていませんでした。そこでOcean Turtle Divingオープン・ウォーター・ダイバー・コースの申し込みをしたんです。コース終了後、大学に入学する前にダイブセンターでダイブマスターのインターンシップを終え、ダイビングにのめり込んできました。そして、大学在学中にPADIインストラクターの資格までも取得しました。

Edwin Joel Lodder speaking at his CDTC in the Dominican Republic.
ドミニカ共和国のCDTCで講演するエドウィン・ジョエル・ロッダー

中東出身の29歳のコース・ディレクター、ハッサン・カヤル(UAE)は、2000年代初め、子どもの頃にはすでにダイビングの世界に魅了されたそう。「オープン・ウォーター・ダイバー・コースを始めたときから、PADIのコース・ディレクターになりたいと思っていました。コースの教材が届いた日にPADIのウェブサイトを訪れ、コース・ディレクターになるための各資格の条件を暗記したことを鮮明に覚えています!」カヤルは、 24歳でCDTCを修了。「ダイビングは単なる趣味ではなく、私の生涯の天職でした。情熱を仕事に変えることで、毎日仕事に行くのが楽しみで目覚め、自分の夢を生きていることを実感しました。」


努力

2022年に29歳でコース・ディレクターとなったジャック・フィッシュマン(アメリカ)は、9歳の頃にダイビングを始めました。「ダイビングを始めたのは2001年。家族旅行先のプールでシール・チームのミッションを練習したのがきっかけでした。18歳のとき、フロリダキーズにあるシーキャンプでキャンプカウンセラーとして働いていました。ダイブ・セーフティ・オフィサーや地元のPADIインストラクターのアシスタントをしながら、子どもたちに対する彼らの献身的な姿勢を目の当たりにしたのが、インストラクターを目指したきっかけだったと思います。シーキャンプでの夏から1年後の2012年、私はキー・ラーゴにある Rainbow Reef Dive Center (RRDC)に戻り、ここで私は、海を守るためにできる行動について他の人たちにインスピレーションを与えることが自分の使命であり、目的であると決めました。RRDCでは、アドバンスド・オープン・ウォーター・ダイバーからマスター・スクーバ・ダイバー・トレーナー(MSDT)まで進みましたが、自分の目標を達成するために、これほど努力したことは他にはありません。」


People looking at fish identification slates

サポート体制

この3人の若いコース・ディレクターは皆、夢を実現するためのサポート・ネットワークを持っていました。彼らの家族、勤め先のダイビングセンター、そして地域社会が、成功に不可欠な応援、指導、リソースを提供してくれたのは、達成できた一つの大きな要因です。

ロッダーの家族、マネージャー、PADIインストラクター仲間は、大いにロッダーをサポートし、カヤルは、コース・ディレクターになるまでの道のりを兄と分かち合ったそう。「兄も私と同じ目標や夢を持っていたので、壁にぶつかった時もお互いに支え合うことができました。この兄弟の絆とチームワークがなければ、ダイビングでこれほどの成果を上げることも、こんなに若くしてPADIコース・ディレクターになることもなかったでしょう。」また、フィッシュマンにとって、PADI AWAREとPADIでの仕事は、PADIスタッフ・インストラクターとして成長し続け、トレーニング・スキルを向上させるのに役立ちました。


目的

若いコース・ディレクターたちは自分の目的を達成するために、ダイビングと教育に対する並々ならぬ情熱を持っていました。

カヤルにとって、コース・ディレクターになることは子供のころからの夢であり、それをひたすら追い求めるだけでした。「私は幸運にも、自分が進みたい道がわかっていたので、コース・ディレクターになるための最短の道を進むために、教える努力と関連する活動に集中しました。」

フィッシュマンは、ダイビングの楽しさを他の人々と分かち合い、より高いレベルで海洋保護活動を推進したいという願いを持っていました。「私は今、PADI AWAREのコミュニティ&キャンペーン・マネージャーで、PADIダイブセンターのための新しい保護プログラムを開発し、新しい保護ダイビング・コースを作るのが私の役割です。この夢は、PADIのコース・ディレクターとしてのスキルとトレーニングなしには実現しなかったでしょう。」

Hassan Khayal speaking at his CDTC in 2018
2018年のCDTCでスピーチするハッサン・カヤル
Diver with fins on hands, sliding in a water slide
写真提供:ハッサン・カヤル

ロッダーの目的は、個人的な成長とビジネスの発展が組み合わさったものだったと言います。「以前は、私がいつ “本当の “仕事に就くのかと冗談を言っていたお客さんもいました。しかし、私が教え続け、成功の可能性を証明していくうちに、彼らの見方は変わっていきました。今では、この取り組みをキャリアにすることが可能であるだけでなく、実現可能であると理解してくれています。」

また、ロッダーは、ダイブセンターのビジネスを成長させることは、非常に面白く、価値があると感じています。彼は振り返って、「私がダイブセンターの成功と継続的な成長において重要な役割を果たしてこれたのを嬉しく思います。今では、私たちは自国で最も忙しいダイブセンターの一つとなっています」と述べています。


20代でPADIコース・ディレクターになるには、献身、努力、サポート体制、そして目的を持つことが必要です。ロッダー、カヤル、フィッシュマンは、適切な考え方、トレーニング、サポートがあれば、若くてもコース・ディレクターになることが可能であることを示してくれた素晴らしいPADIプロフェッショナルです。

どんな将来像を描いていたとしても、コース・ディレクターになることは、新たなチャンスとチャレンジが広がり、人生を変える経験になる可能性があります。もし、あなたがコース・ディレクターになることを夢見る若いダイバーなら、ダイビングと教えることへの情熱、学び成長する意欲、そしてあなたを信じ、応援してくれる協力的なネットワークがあれば、何でも実現可能だということを覚えておいてください。

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