寒い季節でもダイビングを楽しみたい、または冷たい水域でのダイビングに挑戦したいと考えているなら、PADIの「ドライスーツ講習」は必須のステップです。ドライスーツを使うことで、寒さを気にせず快適に水中を探索できるだけでなく、多くの場所に行く機会も増え、より頻繁に潜るようになることでしょう。この記事では、PADIドライスーツ講習を受けるべき理由や講習内容を簡単にご紹介します。(こちらの記事もご参考にしてください:お気に入りの冷水域ダイビング・スポット)。
なぜ講習が必要なのか?
ダイビングを始める前、「なぜスクーバ・ダイビングをするためにライセンスが必要なのか」と疑問に思ったことがあるかもしれません。PADIオープン・ウォーター・ダイバー・コースを受けている途中で、トラブルの予防やその管理を学ぶことの価値、プールで基本的なスキルを身につけることの意味を理解されたと思います。ドライスーツ・ダイビングも同じなのです。
ドライスーツはウェットスーツとは異なり、浮力調整が難しく、適切な使い方を学ぶことが非常に重要です。ドライスーツは、体を濡らさないでドライに保つことで保温効果を発揮しますが、その体を温める空気の層がダイビング中にどのような動きをするかわかりますか?例えば、水中で何かを見ようとして体勢を変えると空気が下半身(特に足元のほう)に移動してしまい、足を上にして急浮上してしまうことがあります。認定講習を受けることで、ドライスーツを安全に着用し、適切に浮力を調整する技術を習得できます。これにより、水中での安全性が格段に向上します。
PADIドライスーツ・ダイバーSPコースでは何を学ぶの?
PADIドライスーツ・ダイバー・スペシャルティ・コースは、最短1日で修了でき、ドライスーツでのダイビングで必須な安全スキルを学ぶことができます。このコースでは、以下の内容を学習します。:
- ドライスーツの構造と種類
さまざまなタイプのドライスーツ(例えば、ラテックスやネオプレン製など)の特徴や、どのような状況に最適かを学びます。また、ドライスーツの部品やアクセサリー(バルブ、インフレーター、シールなど)についても理解を深めます。また、ドライスーツを正しく着る方法や、体にフィットさせるための調整方法を学びます。 - 浮力の調整方法
ドライスーツを着ることで浮力が変わります。コースでは、ドライスーツ内の空気をうまく調整するや正しいウエイト量を調整する方法を学び、浮力管理ができるようになります。 - ドライスーツの使用に関する技術
ドライスーツを使ったダイビングの際に必要な基本的な技術を学びます。例えば、ドライスーツを着たまま水中での動きやポジションを調整する方法、浮上時の空気管理、緊急時の対処方法などです。 - 適切なドライスーツのケアとメンテナンス
ドライスーツを長持ちさせるために、正しいケアとメンテナンス方法を学びます。例えば、洗浄方法や保管方法などを学び、器材を大切に使うための知識を得ます。
実際に、水中トレーニングでは、以下のようなスキルを練習し、身につけていきます。
- ドライスーツの排気
ほとんどのドライスーツは左手・上腕部の排気バルブから排気しますが、空気の管理、移動、効率的な排気方法を習得するにはコツと少しの練習が必要です。素早く空気を抜くことができないと急浮上してしまって、傷害を伴う可能性もあります。 - インフレーター・ホースを外す
稀にですが、インフレーターの不調で空気が入りっぱなしになり、水中で風船のようになってしまう危険性があります。トレーニングを受けていないダイバーが冬用の厚手のグローブをつけているために胸のところにあるバルブのホースを外すことができず、事態を悪化させてしまう可能性もあります。 - インフレーター・ホースの見つけ方と接続方法
潜降前に胸にあるバルブの給気のインフレーター・ホースを接続し忘れると、スーツに給気できなくてスクイズで不快になり、そのままでは動けなくなることがあります。インフレーター・ホースの接続方法を練習しておけば、いざというときでも落ち着いて対処できます。
ドライスーツでのダイビングをマスターするには経験が必要で時間もかかりますが、PADIインストラクターの指導のもと、よくあるトラブルや潜在的な危険を回避することができます。ドライスーツ・スペシャルティ認定は、アドヴァンスド・オープン・ウォーター・ダイバー認定やマスター・スクーバ・ダイバー認定にもカウントされます。
講習を受けないとドライスーツは使用できない?
ドライスーツの適切な使用方法をしっかり習得していないダイバーの急浮上による怪我や減圧症などの事例が近年増加しつつあります。そこで、ドライスーツでより安全に潜るために、2023年6月1日より、PADIプログラムにおけるドライスーツ使用に関するルールが更新されました。
PADIプログラムをドライスーツで受講される場合は、次の3つの条件の内、1つを満たす必要があります。
- PADI ドライスーツ・スペシャルティ・ダイバー認定(または他のトレーニング団体による認定)をすでに受けている
- ドライスーツで少なくとも4回のダイビングを行った経験があり、トレーニングレコードやログブックにて証明を提出できる(担当するダイビングショップやダイブリゾートにてコピーを取らせていただきます)
- PADI ドライスーツ・ダイバー・スペシャルティ・コースと平行して受講中である
PADIショップやPADIインストラクターによるガイド付きダイビング*(いわゆるファンダイビング)の場合は、受入れるダイブショップやダイブリゾートが最終決定をしますが、PADIの更新された新しいルールに準ずることをPADIとしては強くお勧めいたします。ショップによっては、ドライスーツをレンタルするにはドライスーツ・スペシャルティの資格や講習の経験を条件としているところもあります。詳しくはショップにご確認ください。
*Discover Local DivingはPADIプログラムのため、ルールが適用されます。
ドライスーツは、寒い時期や冷たい水域でのダイビングを可能にし、より幅広いダイビング体験を楽しむための強力なツールです。しかし、その安全な使い方や管理方法を知らないままでは、トラブルを招くリスクが伴います。PADIドライスーツ・ダイバー・スペシャルティ・コースを受けることで、ドライスーツの正しい着用方法や浮力調整の技術、メンテナンスの知識を身につけ、安心して新たな環境に挑戦できるようになります。
また、ドライスーツ選びも重要なポイントです。自分に合ったドライスーツを見つけるためには、素材やフィット感、使用シーンをしっかりと考慮する必要があります。ドライスーツの選び方について詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。