フィリピンの海の世界は、まさに圧倒されるほど美しい。7,100以上の島々からなるこの国は、栄養豊かな「コーラルトライアングル」に位置し、信じられないほど多様な海洋生物が暮らしています。
第二次世界大戦の沈没船、切り立ったドロップオフ、トロピカルな海中洞窟——そのすべてが、色鮮やかなハードコーラルやソフトコーラル、そして数千種もの魚たちの住処となっています。
スールー海にある秘境、トゥバタハ・リーフ を探検するなら、ダイビング・クルーズに。セブ、ボホール、パラワンの美しいビーチでのんびり過ごすのも最高です。これらのスポットは、ダイバーはもちろん、ノンダイバーにとっても地上と水中の両方で楽しめるまさに楽園です。
それでは、フィリピンの海で出会いたい海洋生物たちをもう少し詳しく見ていきましょう。
ジュゴン
ジュゴンは、北パラワンのコロン周辺の海域に生息しています。この穏やかな巨体をもつ生き物は、世界的に絶滅の危機に瀕しており、フィリピンでもその数は大きく減少しています。しかし近年では、海草の生える浅瀬に保護海域が設けられ、ジュゴンの群れを再びこの海に戻すための取り組みが進められています。
ニタリ
全長最大6メートルにもなるニタリは、特徴的な長い尾びれを使って魚を追い込む、とてもユニークなハンターです。マラパスクア島周辺では、この美しいサメに出会える確率が非常に高く、世界中のダイバーがこの海を訪れる理由のひとつとなっています。
ウミガメ
フィリピンの海では、どこへ行ってもウミガメたちがゆったりと泳ぐ姿を見ることができます。、なんと世界で絶滅危惧種に指定されている7種のウミガメのうち6種が生息しているという、まさに“ウミガメ天国”でもあります。だからこそ、ウミガメファンにとってフィリピンは一度は潜っておきたい憧れのダイビングスポット。
ピグミーシーホース
ピグミーシーホースは、体がとても小さく、しかも抜群のカモフラージュ能力を持っているため、見つけるのがとても難しい生き物です。
自分で探すのは至難の業なので、観察したいときはぜひ現地のPADIプロフェッショナルにガイドをお願いしましょう。彼らの鋭い目と経験があれば、ピグミーシーホースの愛らしい姿を見逃すことはありません。
イカ・コウイカ・タコ
フィリピンの海では、イカやコウイカ、タコといった頭足類にもよく出会えます。普段は周囲の環境に溶け込むように巧みに擬態していますが、ときには体の色を七色に変化させ、美しい光沢を放つ姿を見せてくれることも。
特に注目したいのは、Crinoid Cuttlefish、ヒョウモンダコ、そしてアオリイカ。それぞれが個性豊かで、観察するたびに新しい発見があります。夜のナイトダイブでは、光を反射して泳ぐ彼らの姿が幻想的に映り、まるで海の宝石のようです。
ナポレオンフィッシュ
「ナポレオンフィッシュ」または「メガネモチノウオ」として知られるこの魚は、最大で全長2メートル、体重180kgにもなる大型のサンゴ礁に生息する魚です。青緑色に輝く体と、額にある特徴的な“コブ”がとても印象的で、水中で出会うとその存在感に思わず息をのむほど。
この美しい魚は絶滅危惧種に指定されていますが、フィリピンの広い範囲に生息しており、運が良ければダイビング中にその優雅な姿を見ることができます。ゆったりとサンゴの上を泳ぐナポレオンフィッシュは、まるで海の王様のような風格です。
フリソデエビ
小さな体と鮮やかな模様で、水中写真家たちに大人気の被写体がこのフリソデエビです。体長はわずか5cmほどととても小さく、白い体に青・紫・ピンクなどの大きな斑点が入り、まるで水中の宝石のよう。
この美しいエビは、ドゥマゲッティなどで見つけることができます。運が良ければ、珍しいコールマンズ・シュリンプやオトヒメエビにも出会えるかもしれません。
じっと観察すると、ペアで寄り添いながら動くその仕草がとても愛らしく、マクロ派ダイバーにはたまらない一瞬です。
カエルアンコウ
ユニークな見た目で人気のカエルアンコウは、ちょっと不機嫌そうな表情がなんとも愛らしい魚です。体の色や模様は種類や環境によってさまざまで、カラフルなオレンジや黄色、地味な砂色など、まるで海の中のカメレオンのように姿を変えます。
最大の特徴は、頭の上にある疑似エサのようなヒラヒラした突起。これをゆらゆらと動かして獲物をおびき寄せ、瞬時に口を開けて捕らえるという見事なハンターです。
フィリピンの海には、ジュゴンからピグミーシーホース、ナポレオンフィッシュに至るまで、驚くほど多様で魅力的な生き物たちが暮らしています。どの島、どの海に潜っても新しい出会いがあり、そのたびに自然の神秘と美しさを感じることができるでしょう。
次のダイビングトリップでは、ぜひフィリピンの海で“魔法のような海の世界”を体験してみてください。
