気になるけどちょっと質問しにくいダイビング中でのトイレ事情。
体全体が水中に浸かっていると、人体はより多くの尿液を作り出す傾向にあります。そのため、水中で尿意を感じた経験のあるダイバーも多いのではないでしょうか。
今回は、水中でウェットスーツを着たままのおしっこに対してよくある誤った認識と、予防法・対策法をご紹介します!
間違いその1.おしっこ防止のため、ダイビング前は水分を撮らない(×)
これはよく聞かれる意見ですが、実は水分不足はダイビングのタブーのひとつ。体の水分が不足すると、血流の流れが悪くなり、「減圧症」になりやすくなります。また、水分を控えてもトイレが近くなる可能性は十分にあります。水分が不足している状態でおしっこをすると、色と匂いが濃い尿液が放出され、さらなる大惨事になるので、きちんと水分補給することをおすすめします。
間違いその2.ウェットスーツ着用時は、おしっこを我慢すべき(×)
水中・陸上に関係なく、おしっこを我慢することは健康を害し、ひどい場合は尿路感染症などを引き起こします。また、我慢して潜り続けることはストレスになり、ダイビングが楽しめないだけでなく、注意力が散漫になるなどしてトラブルにもつながりかねません。どうしても我慢できなくなったら、勇気を出して水中でしてしまいましょう。
間違いその3.尿液はウェットスーツの劣化につながる(×)
通常の場合、尿液がウェットスーツの生地や糸にダメージを与えることはありません。しかしきちんと洗浄しなければ、ウェットスーツの匂いはもちろん、皮膚アレルギーを引き起こす可能性があります。
間違いその4.おしっこには保温効果がある(×)
体内から出たばかりのおしっこは暖かいため、ダイビング中の冷えた体を温める効果があるという考えがありますが、実際はその真逆。暖かい尿液は脳に「暖かい場所にいる」という錯覚をさせます。そのため、冷たい海水がウェットスーツに入ってきたとき、体の準備ができておらず、通常よりも多くのエネルギーを使ってウェットスーツ内の海水を温めることが必要になります。
予防法:なるべく水中でのおしっこを避けるためには?
・トイレに行くのは、海に入る直前に!
ダイビング前にトイレに行っておくことはもちろんですが、大切なのはそのタイミング。せっかくトイレに行っても、その後でブリーフィングや器材のセッティングなどに時間がかかると、ダイビング中にトイレに行きたくなりがちです。すべての準備を整え、あとはスーツを着るだけという状態になってからトイレに行き、その後すぐに海へエントリーすることがおすすめです。
・保温対策をして、体を冷やさない!
トイレが近くなる原因のひとつに「体の冷え」があるので、しっかりと寒さへの対策をしておくことが大切です。特に、体の末端が冷えることによってトイレに行きやすくなるとも言われていますので、寒い時期は厚手のブーツをはく、フードやグローブで体の熱を奪われやすいところをカバーするなど、万全の準備をしておきましょう。
・ダイビング前の食べ物や飲み物にも注意!
さらに注意したいのが、ダイビング前の食べ物や飲み物。体を冷やしたり、利尿作用のあるものを摂取すると、トイレが近くなります。代表的なものとして、利尿作用があるのはコーヒーや栄養ドリンクなどカフェインを含むもの、柑橘類のフレッシュジュース、酸味・辛みの強いもの、塩分の多いものなど。また、スイカやキュウリ、たまねぎのほか、砂糖をたっぷり使ったものなどは体の冷えの原因となるそうなので注意しましょう。
対策法:万が一水中で尿意を感じたら?
・早い段階で用事をすませる
水中で尿意を感じ始めたら、周りに注意しながら、早い段階ですましてしまいましょう。
・用をたした後は、必ず「流す」のが基本!
万が一水中でおしっこをしてしまった場合は、首や腕の隙間から水を入れ替えるなどして、なるべくスーツ内に留めておかないようにしましょう。排尿後の水中滞在時間が長ければ長いほど、ウェットスーツの水中洗浄時間が増えます。
中性浮力に自信がある方は、体を逆さまにしてから、オクトパスを首元に入れてパージボタンを押してください。そうすることでエアでおしっこを足部から押し出すことができます。ただし、スーツの種類や着方によって足首からエアが抜けにくい場合、エアが溜まって急浮上の原因にもなりますので、十分に注意して行なってくださいね。
いかがでしたか?
ダイバーだって普通の人間。どんなに対策をしていても、長くダイビングを続ける中で、我慢できずにおしっこをしてしまうことは仕方がないことです。
できるだけ水中でのおしっこを避けるためには、上記のようにエントリー前の準備をしっかりすることが重要です。しかし万が一水中で尿意を感じたら我慢せず、勇気を出して早めにすましてしまいましょう。そして、ダイビング後はウエットスーツ用のシャンプーを使用するなどして、きれいにしておきましょう。