新しい年は、これからの人生や働き方を見つめ直す絶好のタイミング。もし「今年こそ何か新しいことに挑戦したい」「好きなことを仕事にできたら」と感じているなら、PADIインストラクターというキャリアを考えてみるのもひとつの選択です。
PADIインストラクターになることは、単なる転職ではありません。それは、旅と冒険、そして海とともに生きるライフスタイルへの第一歩。
どんなステップが必要なのか、どう始めればいいのか、ここから詳しく見ていきましょう。
IDCとは何か
IDCとは Instructor Development Course(インストラクター開発コース) の略で、アシスタント・インストラクター(AI) とオープン・ウォーター・スクーバ・インストラクター(OWSI)の2つのパートで構成されています。
多くの受講生は、この2つのパートをまとめて受講し、その後に行われる PADIインストラクター試験(IE) を受験することで、正式なPADIインストラクターとして認定されます。

IDCを受講できるのはどんな人?
IDC(インストラクター開発コース)を受講するには、PADI認定のダイブマスターであり、ダイバーとしての認定歴が6か月以上あることが必要です。
そのうえで、以下の条件を満たしている必要があります。
- インストラクター試験(IE)までに100本以上のダイブログがあること
- 過去24か月以内にエマージェンシー・ファースト・レスポンス プライマリー・ケアおよびセカンダリー・ケア(CPR/一次救命処置・ファーストエイド)を修了していること
- 過去12か月以内に、医師の署名入りの健康診断書を提出できること
- 有効なEFR®インストラクター資格を保有していること(または、他教育機関の同等資格を保有していること)
IDCは誰が教えてくれるの?
IDC(インストラクター開発コース)は、PADI コースディレクターが担当します。コースディレクターは、PADIインストラクター資格の中で最上位ランクに位置する存在。そのため、安心してトレーニングを受けることができます。
すべてのPADIコースディレクターは、もともとPADIインストラクターとしてキャリアをスタートし、自らIDCを経験してきたプロフェッショナル。「教える側」としてだけでなく、「受講した側」の視点も持っています。
また、IDCではIDCスタッフ・インストラクターやマスター・スクーバ・ダイバー・トレーナー(MSDT)がサポートに入ることも多く、あなたが自信をもってインストラクターとしての一歩を踏み出せるよう、チーム全体で支えてくれます。
PADIインストラクターは、自分に合ったキャリア?
人と関わるのが好き。ダイビングが好き。旅や冒険にワクワクする。もし、ひとつでも当てはまるなら——答えは YES。
PADIインストラクターになることは、ダイビングを教える仕事であると同時に、人の人生にポジティブな変化をもたらす仕事でもあります。
不安そうな初心者に自信を与え、10代の若者に責任感の大切さを伝え、国籍も年齢もバックグラウンドも異なる人たちと一緒に海へ入る。
そして、あなたがすべての人に共通して届けるものがあります。それは、「ダイビングという体験」と、そこから生まれる「海への情熱」。
多くのアクティブダイバーにとって、ダイビングは単なるレジャーではなく、心から夢中になれるものであり、日々の生き方そのものになっていきます。
PADIインストラクターとして、あなたはその価値を、すべての生徒に伝えていくことになります。ぜひ、あなた自身が最初に出会ったダイビング・インストラクターを思い出してみてください。
今、あなたがこの道を考えているのは、きっとその存在がインスピレーションだったからではないでしょうか。
PADI オープン・ウォーター・スクーバ・インストラクターは、ダイビング業界で最も需要の高いダイブプロフェッショナルのひとつです。インストラクター認定は、あなたを新しい世界へ導くチケット。自分の住む地域で働くことも、地球の反対側で働くこともできる。
世界は、あなたのフィールドになります。
IDCでは、どんなことを学ぶの?
IDC(インストラクター開発コース)では、オープン・ウォーター・ダイバーからダイブマスターまでの、PADIの主要コースすべてを指導する方法を学びます。コースを通して、PADIのスタンダード(規準)と手順を理解し、必要な情報をPADIインストラクター・マニュアルから正しく探し、活用する力を身につけていきます。あわせて、以下の重要なテーマについても学びます。
- PADIの教育理念、指導方法、そしてPADIシステム
- リスクマネジメントとダイバーの安全管理
- ダイビングビジネスと、インストラクターとしての役割
- ダイビングのマーケティングとセールス・カウンセリング
これらの知識面に加えて、水中スキルのデモンストレーションを見直しながら、限定水域(プール)・オープンウォーター・知識開発(学科)
それぞれで、分かりやすく伝えるプレゼンテーション方法を学びます。その結果、人前で話す力が磨かれ、教えることへの自信がつき、水中スキルは、より正確で洗練されたものへと成長することができます。
IDCは、単に「資格を取るためのコース」ではなく、プロのインストラクターとして必要なスキルとマインドを総合的に育てるトレーニングです。

インストラクター試験(IE)について
インストラクター試験(Instructor Exam/IE)は、IDCで学んできたことをすべて発揮するための場です。これまで積み重ねてきた知識やスキルを、エグザミナーにしっかりと示すチャンスでもあります。
IDCを修了すると、担当のコースディレクターが「試験を受ける準備が整っているか」を確認してくれます。つまり、IEに進む時点で、あなたはすでに十分な準備ができているということ。
あとは、落ち着いて、「自分はもう必要なことをすべて学んできた」と信じて、リラックスしながら試験に臨むだけです。緊張しすぎず、深呼吸して、そのプロセス自体を楽しむ気持ちを忘れずに。IEは、あなたがインストラクターとして羽ばたくための、大切な最終ステップです。
ほかにも知っておくべきこと
IDCは、単なる「学ぶためのコース」ではありません。IDCを通じて、あなたはコースディレクターとの信頼関係を築いていきます。多くの場合、コースディレクターは就職先探しの相談に乗ってくれたり、推薦状を書いてくれたりと、インストラクターとしての次のステップもサポートしてくれます。
また、同じタイミングで新しいキャリアに挑戦する仲間たちとの一生ものの出会いも待っています。新しい仕事、新しい生き方へ、一緒に踏み出す経験は、きっと忘れられないものになるはずです。IDCはゴールではなく、すべての始まりです。
IDCを開催しているショップを探そう
IDCセンターを探す際は、PADIショップ検索を活用して、希望のエリアにある IDC(インストラクター開発コース)開催ショップを探してみましょう。
まずは「通える距離なのか」「海外での受講を考えているのか」など、自分のライフスタイルに合う場所をいくつかピックアップするのがおすすめです。
気になるショップが見つかったら、1か所に絞らず、複数のIDCセンターに問い合わせてみましょう。
たとえば、以下のようなポイントを確認してみると安心です。
- IDCの開催時期・期間(集中型か、分散型か)
- コースディレクターの指導スタイルやサポート体制
- 日本語・英語での実施可否
- 受講後の就職サポートやネットワーク
- 仕事や生活と両立できそうかどうか
同じIDCでも、センターによって雰囲気や進め方はさまざま。実際にやり取りをすることで、「ここなら安心して任せられそう」「自分に合っていそう」という感覚が見えてきます。
IDCは、これからのキャリアや生き方にも関わる大きな一歩。だからこそ、自分の目標や将来像、ライフスタイルに本当に合ったIDCセンターを選ぶことが、とても大切です。