なかなか減らないダイビング事故をゼロにするべく、世界最大規模のダイビング教育機関PADIと月刊『マリンダイビング』が2021年、タッグを組むことになりました。どうしたら潜水事故を無くせるのか、ダイビングをもっと楽しむためには何が必要なのか。これから1年間、私たちと一緒にダイビングのスキルアップについて考えを深めていきましょう。

PADIインストラクター直伝! ダイビングスキルアップ大作戦

~第4回~中性浮力編

上手くいかない、今でもできているようでできているかわからないとスキルの悩みの中心にいるのが「中性浮力」です。実は総合的なスキルで、中性浮力が取れない人は直結するいくつかのスキルができていないことが原因です。今回は、自分ができない原因がどこにあるのかを探っていきましょう。

最もダメな「オーバーウエイト」

まず考えられる原因は「オーバーウエイト」です。適正ウエイトでない人が中性浮力をとるのはとても難しく、また、オーバーウエイトはダイビング中の事故リスクが高くなります。ダイビングの前にはきちんと適正ウエイトをチェックしてから潜るようにしましょう。潜降できないから増やす、浮くのが怖いから増やすなど、簡単に適正ウエイトから外れてしまうダイバーが多いように見受けられます。アルミシリンダーの時には、ダイビングの後半に浮きすぎるので初めから2~3㎏増やしますが、これは大丈夫です。ウエイトを増やすというのはきちんと理解して必要だから増やしているのかというのがポイントになってきます。

潜降の場面でよくみられる光景です。ウエイトが重すぎて腰から沈んでいます。

 

器材のセッティングも直結する!

次に多いのがウエイトの配置です。特にドライスーツの時は多い人で10㎏前後のウエイトが必要になります。これをすべて腰につけてみるとどうでしょう。腰ばかりが沈んで、最終的には常に立ち泳ぎのような格好でダイビングを続けなければなりません。腰から下が沈んで、下にぴっぱられるので防ごうとBCに給気をする。そうすると上半身だけがさらに浮いてしまい、完全に立った姿勢になります。これでは中性浮力は非常に取りづらくなります。BCのウエイトポケットやベストを上手く使えば分散させることができて自然と体がまっすぐになります。

腰にばかりウエイトをつけてしまうと写真のように足がどんどん下がっていきます。
ウエイトベルトだけをとってみても、左右のバランスが崩れていると中性浮力はなかなか取りづらくなります。

 

 

中性浮力がとれるようになればダイビングの楽しみの幅が広がる!

ダイビングの楽しみ方は、ウミウシを探すのが好きや水中景色を見るのが好きなどさまざまですが、その中に「スキルアップ」が含まれているとダイビングはもっと楽しいものになると思います。実際にスキルアップすることで潜れる海はどんどん増えていきますし、スキルを上手くできたときの喜びは、自信とモチベーションにもつながります。ぜひ一緒に潜るインストラクターやガイドに、「今日はこういう点に気を付けて潜るので見ていてほしい」とお願いしてみましょう。第三者の目があるとスキルアップは上達が早くなりますよ。

もっとたくさんの海を楽しむためにもスキルアップを心掛けましょう♪

月刊『マリンダイビング』7月号では「重心を見つけるためのトレーニング法」や「ドライスーツにアンクルウエイトは必要なのか」など、より深い内容が特集されています。詳細は月刊『マリンダイビング』公式サイト「マリンダイビングWebをご覧ください。

今回の語り手

パディ・アジア・パシフィック・ジャパン インストラクター開発 村上史郎

インストラクターを認定するIEで数多くのインストラクターを世に送り出してきた。一人でも多くの「美しいダイビング」ができるダイバーが育ってほしいと願う。自身もダイビングにのめり込んでおり、インストラクター育成にもアツい。

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