ダイビング器材の中でも基本となる装備のひとつである保護スーツは、水中での快適さ・暖かさ・安全性を確保する上で重要な役割を果たします。ウェットスーツは熱帯〜温帯の海ではとても快適ですが、特に寒冷地や低水温エリア、気温が低くなる時期では、ドライスーツが不可欠。
今回は、ドライスーツの2大カテゴリーである「ネオプレン製」と「シェル製」の違いを徹底解説し、それぞれの利点と注意点について紹介していきます。

ドライスーツを使うタイミング
水温が15℃を下回る環境では、ドライスーツを使用するのがおすすめです。ドライスーツは水の侵入を完全に防ぐ構造で、インナーの組み合わせ次第でさまざまな環境に適応できる優れた装備です。ただし、適切なスーツの種類は個人の耐寒性や潜水の深度・時間などによっても異なります。
ドライスーツの種類
ドライスーツに使われる素材はいくつかの基本的なグループに分けられます。代表的なものは、ネオプレンフォーム、コーティング生地、クラッシュドネオプレン、加硫ゴム、トリラミネート(3層構造生地)、そしてコンポジット素材です。一般的に、これらは大きく分けて「ネオプレン・ドライスーツ」と「メンブレン(シェル)ドライスーツ」2タイプに分類されます。
ネオプレン・ドライスーツ
ネオプレン製ドライスーツは、ゴム素材「クロロプレン」を使用し、価格が比較的手頃で実用的なため、寒冷地ダイビングで非常に人気があります。ネオプレン製ドライスーツは、次のような特徴があります。
メリット
- 高い保温性
ネオプレン素材自体が保温力を持つため、インナーを少なくしても暖かさを維持可能。寒冷地での短時間ダイビングに最適です。 - 耐久性
岩場や鋭利な物体への耐性が高く、荒れた環境でも活躍。丈夫さを求めるダイバーに選ばれています。 - 伸縮性とフィット感
素材の柔軟性やオーダーシステムによって体にほどよくフィットしやすく、浮力のコントロールも容易です。
デメリット
- 重量とかさばり
他タイプに比べて重く、乾燥にも時間がかかるため、旅行や頻繁な持ち運びには不向き。 - 深度での圧縮問題
水深が深くなると素材が圧縮され、保温性や浮力が低下。繊細な浮力調整が必要です。

シェル製ドライスーツ:多機能性と軽量化の極み
一方、シェル製ドライスーツは、3層構造のラミネート生地(トリラミネート)を用いて作られています。ネオプレン・ドライスーツと比べて、よりスリムで動きやすく、快適にカスタマイズできる点から、多くのダイバーに好まれています。
メリット
- 軽量で動きやすい
薄い素材が採用されており、装着時の動きやすさは抜群。水中での機動性を求めるダイバーに最適です。 - 適応力の高さ
スーツ自体に保温性はないものの、インナーを調整することで幅広い水温に対応可能。特にテクニカル・ダイビングや長時間ダイビングに最適です。 - カスタマイズ性
ジッパーやポケットの設計が豊富で、自身のニーズに合わせたカスタマイズが可能。
デメリット
- 価格の高さ
高性能ゆえに初期投資が大きい傾向があります。 - メンテナンスの手間
ネオプレン製に比べ耐久性が劣り、小さなダメージも修復が必要です。

ドライスーツでダイビングしよう!
ネオプレン・ドライスーツとシェル・ドライスーツ、それぞれにメリットと特徴があります。保温性を重視するならネオプレン、軽さと可動性を求めるならシェル——どちらが自分に合うかは、潜る場所やスタイルによって変わります。
詳しくは、「ドライスーツの選び方」を参考にしてみてくださいね。
初めてドライスーツを使う場合は、PADI ドライスーツ・ダイバー・スペシャルティ・コースの受講がおすすめです。このコースでは、ドライスーツ特有の浮力コントロール方法や、着脱のコツ、メンテナンスの仕方、トラブル対処法までを安全に学ぶことができます。
ドライスーツで潜ると、一年を通して快適にダイビングを楽しむことができるようになります。寒い季節でも、まるで新しい世界が広がったかのように、水中の美しさを再発見できるはずです。
