関西ダイバーのホームグラウンドともいえる紀伊半島。日本最大級の半島の周囲にダイビングエリアが点在しており、気軽に潜りに行ける海として高い人気を誇っています。半島の真南を流れる黒潮の影響で、潮の当たりやすい半島西側と南側は、テーブルサンゴや熱帯性の生物が数多く見られるトロピカルな雰囲気。一方、東側はソフトコーラルの群生など温帯色が強く、異なる景観が楽しめます。そんな紀伊半島のおすすめボートスポットを紹介します。皆さんはどのボートスポットに潜りに行きたいですか?


「白崎水中洞窟」/白崎

紀伊半島屈指の水中洞窟スポットで、5月中旬~9月初旬までの期間限定で潜ることができます。エントリーしてドロップオフの壁を降りていくと洞窟の入口があり、横穴を泳いでいくと広いホールに到着。頭上の穴から太陽の光が差し込み、時間帯によっては光のカーテンが見られることも。洞窟内にはエアドームもあり、浮上すると幻想的な景観が観察することもできます。アドバンスダイバー以上、ボートダイブ20本以上、ダイブ本数50本以上など、潜る際の条件が決められているので、しっかりと準備して潜りに行きましょう。


「ショウガセ」/みなべ

Isohalcurias citreum in Minabe Shogase
画像提供:サンマリン

ダイナミックな地形と豊かな生物相が魅力のダイビングスポット。水深が一気に40m以上まで落ち込むドロップオフが特徴で、その水底付近に群生する天然記念物のオオカワリイソギンチャクの群生が見られることで世界的にも貴重なスポットとなっています。暗い海の中でネオンイエローに輝くオオカワリギンチャクはとても幻想的ですが、残念ながら近年、その数は激減しているとか。「触らない」「着底しない」など潜る際のルールが決められているので、ルールに従って観察しましょう。様々な種類の魚が群れ、運が良ければ回遊魚との遭遇も期待できます。


「沈船」/白浜

港からボートで5分ほど、水深18mの海底に全長28mの船が横たわっており、アドベンチャラスなダイビングを楽しむことができます。船内に入ることもでき、レックダイビングを楽しむことも可能。また、ナイトダイビングで楽しむこともできます。年間を通して潜ることができ、船の周囲で様々な生物を観察できるのも魅力。キンメモドキ、ネンブツダイ・クロホシイシモチの群れが船体を取り囲み、中層でアジやイサキ、イワシの群れ、それを狙うカンパチ、ブリなどの回遊魚も見ることができます。ウデフリツノザヤウミウシなど人気のマクロ生物も豊富に観察できます。


「住崎」/串本

湾内にあるためコンディションが安定しており、一年を通して潜ることができるスポット。ブイがいくつかあり、いろいろなコース取りが楽しむことができ、春から初夏のイサキの群れ、冬の名物ホウライヒメジの整列は圧巻です。テングダイやクエなどの大型魚も生息しており、魚影の濃さは随一。ウミウシ、エビ、カニなど、マクロ生物も豊富で、水中撮影を楽しむダイバーにもおすすめです。

「備前」/串本

穏やかな海と豊かな生物相が魅力の、初心者から上級者まで楽しめるダイビングスポット。外洋の影響を受けにくく、一年を通して穏やかなため、初心者でも安心して潜ることができます。砂地に大小の根が点在しており、見られる生物が非常に豊富。ヤシャハゼやネジリンボウなど人気のハゼ類のほか、秋にはキビナゴの大群が押し寄せる。クロホシイシモチやキンメモドキが群れる根には、鮮やかなアザハタが登場します。

「浅地」/串本

ダイバーなら一度は潜ってみたい、ダイナミックな地形と豊富な魚影が魅力の外洋スポット。水深40mから一気に立ち上がる根にはソフトコーラルやサンゴが点在し、そこにスズメダイやハナダイの仲間などが群れている様子は息を飲むような美しさです。ブリやカンパチなどの回遊魚はもちろん、マダラトビエイやマンボウなどの大物が姿を現すこともあり、ポテンシャルの高いスポットとなっています。ときに潮の流れが速くなることもあるのでスキルアップして潜りに行きましょう。

「グラスワールド」/串本

オープンして以来、数多くの珍しい生物が発見され、人気を集めているスポット。見られるベラの種類が多く、「GOOD(グッド)WRASSE(ラス=ベラ)WORLD(ワールド)」がスポット名の由来。荒天に強く、潮の流れがほとんどないうえ、水深も浅いので、初心者からベテランまでゆっくりと楽しむことができます。串本では季節来遊魚の出現が最も多く、魚種数は串本No. 1。広範囲を動き回らなくてもさまざまな生物を観察できるのが魅力。メインの「西の棚」はカゴカキダイの群れが見られることで人気です。また、夏にはアオウミガメの姿が高確率で見られます。


「魚礁」/尾鷲

人工的な構造物と豊かな自然が融合した魅力的なダイビングスポット。水深23mの砂地に多数の魚礁が放り込まれており、その周囲にネンブツダイやテンジクダイ、スズメダイなどが群れています。魚礁の複雑な構造は、まるで迷路のよう。その中を探索したり、隙間を覗いたりして、アドベンチャラスなダイビングを楽しむことができます。季節によってマトウダイやアオリイカ、ツバメウオが見られるほか、カンパチやブリなどの大型回遊魚に出会えるチャンスも。砂地で見られる砂紋もとても幻想的です。

Divers swim amongst soft corals like a wreath
PADIフォトコンテスト2022スクーバダイビング部門 最優秀賞 @sopptype

「小坊主」/九鬼

ウミガメとの遭遇率も高いスポット。水深25~30mとやや深いものの、ソフトコーラルが美しく、そこに群れるキンギョハナダイやサクラダイがとても華やか。大型のクエが見られることもあります。また、ウミウシの種類も豊富で、じっくり探せばミノウミウシの仲間やニシキウミウシの仲間など、さまざまなウミウシを見つけることができます。浅場には日本庭園のような場所も。フィッシュウオッチングを楽しみたいダイバーにおすすめのスポットです。


「中平瀬」/方座浦

Soft Coral and Scorpionfish in Houzaura
画像提供:Junji Naito @junzeeeee

ダイビングスポットに筏が設置されており、ボートからのエントリーか筏からのエントリーかを選べるのがユニーク。山に囲まれた場所に位置するため、風や波の影響を受けることがほとんどなく、穏やかなことが多いスポットです。禁漁区となっているため魚影が濃く、ソフトコーラルの群生も見事。まるでお花畑のような華やかさです。夏場にはカマスやアジ、イサキの群れも。季節によっていろいろな生き物を観察することができ、1年を通して楽しむことができます。

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