PADIダイブマスター・コースは、知識や実践スキルを高めるだけでなく、リーダーシップを身につけ、プロとしての一歩を踏み出すためのコースです。その分、受講先のダイブショップとは、これまで以上に深く関わることになります。
これまで、ひとつのダイブショップに腰を据えてステップアップしてきた方もいれば、旅先やライフスタイルに合わせて、さまざまな場所で経験を積んできた方もいるはずです。そして今、海外での挑戦や、新しいフィールドへの一歩を考え始めている方もいるかもしれません。
今回は、ダイブマスター・コースを受講するショップ選びで悩んでいる方に向けて、自分の目標やスタイルに合ったダイブショップを選ぶためのポイントを、順を追って解説していきます。
プロレベルのトレーニングは、ひとつのショップに 時間とエネルギーをしっかりと注ぐ、大きなコミットメント。だからこそ、「どこで学ぶか」ではなく「どんな環境で学ぶか」 を考えることが、その後のダイビング人生やキャリアを大きく左右します。

ステップ1:ダイブマスター・コースの受講スタイルを決めよう
PADIダイブマスター・コースの修了には、およそ50時間が必要です。そして、認定までの進め方は、大きく分けて 2つのスタイル から選ぶことができます。まずは、それぞれの特徴を知り、自分のライフスタイルや目標に合った受講方法を考えてみましょう。
1. 短期集中コース
短期集中コースは、数週間といった比較的短い期間で、集中的にダイブマスター・コースを修了するスタイルです。効率よく認定を目指せる一方で、まとまった時間を確保する必要があり、受講費用はやや高くなる傾向があります。
こんな人におすすめ
- できるだけ早くPADIプロを目指したい
- 長期の休みなどがとりやすい方
- ショップ業務よりも、自分のスキルアップに集中したい

2. インターンシップ型
インターンシップ型は、1か月〜6か月程度の期間をかけて進める受講スタイルです。ダイブマスターを目指しながら、器材の準備やインストラクターのサポートなど、ダイブショップの日常業務に関わりながら学ぶのが大きな特徴です。
現場での経験を重ねながらトレーニングを進められるため、ダイブマスターとしてのライフスタイルを体感できる、実践的なプログラムといえるでしょう。また、短期集中型に比べて、費用を抑えやすいケースが多いのも魅力のひとつです。
こんな人におすすめ
- 実際の受講生と関わりながら、リアルな現場経験を積みたい
- PADIインストラクターから、長期的な指導やメンタリングを受けたい
- 将来に向けて、ダイブショップ運営や現場業務の知識も身につけたい
3. スケジュール分散型
スケジュールを分散させながら、自分のペースで進める「スケジュール分散型」 という選択肢もあります。
仕事や学業、家庭などと両立しながら進めたい人や、生活拠点を変えずにステップアップを目指したい人にとって、現実的で続けやすい受講スタイルです。
こんな人におすすめ
- 仕事・学校・家庭と両立しながらプロを目指したい
- 生活拠点を変えずにダイブマスターに挑戦したい
- 長期間をかけて、現場経験を積み重ねたい

ステップ2:受講するロケーションを選ぶ
ダイブマスター・コース(そして、すべてのPADIプロフェッショナル・コース)では、「どのように学ぶか」と同じくらい、「どこで学ぶか」 も重要なポイントです。
家庭や仕事などの事情がある場合は、地元での受講が現実的な選択になることもあります。一方で、中には、海外や別の地域で学ぶこと自体が、ダイブマスターへの挑戦の一部と考えられていることもあります。
自分に合った場所でダイブマスター・コースを見つけるために、次のような点も考えてみましょう。
- 温かい海か、冷たい海か
- クルーズ中心か、ビーチ/ボートダイビングか
- 離島などのリモートエリアか、都市部に近いエリアか
また、将来的に海外でダイビングを仕事にしたいと考えている場合は、活動を予定している国や地域でダイブマスター・コースを受講することで、現地の環境やダイブサイト、人の流れを早い段階から知ることができます。これは、その後のキャリアにおいて大きなアドバンテージになるでしょう。
ただし、海外での受講を検討する際には、ビザの条件や滞在可能期間、就労に関するルールなども事前に確認しておくことが大切です。

ステップ3:ダイブマスター・コースを探す
受講スタイルとロケーションが決まったら、いよいよ 具体的にダイブマスター・コースを探し、候補となるダイブショップを絞り込む段階です。以下の方法を組み合わせて、自分に合いそうなショップをリストアップしていきましょう。
PADI ダイブショップ検索を使う
PADIのダイブショップ検索には、用途の異なる2つの検索方法があります。海外での受講やインターンシップ、将来のキャリアを視野に入れている場合は、padi.comのPADI Dive Shop Locatorを活用しましょう。日本での受講を検討している場合は、PADIジャパン ダイブショップ検索を利用すると、国内のPADI登録ダイブセンター/リゾートを探しやすくなります。
オンライン検索や、ダイバー仲間からの紹介を活用する
PADIダイビングショップ求人情報をチェックする
海外での受講や、将来的な就業機会を視野に入れている場合は、PADI Jobs Boardをチェックしましょう。ここでは、インターンシップ型のダイブマスター・コース、海外ダイブショップでの求人情報、プロフェッショナル向けのキャリアチャンスなどが掲載されていることがあります。日本での活動や就業を考えている場合は、PADIジャパンが案内している国内向けの求人・募集情報を確認するのがおすすめです。
ステップ4:候補を絞り込む
いくつかのダイブショップを候補に挙げたら、次は情報をもとに比較し、絞り込んでいく段階です。オンラインの口コミやSNS、過去の受講生の声をチェックすることで、そのショップの雰囲気や評判について、ある程度のイメージをつかむことができます。
ただし、ダイブショップとしての評価や実績と同様に、「自分に合っているかどうか」 は、ダイブマスター・コース選びにおいて非常に重要なポイントです。特にプロレベルのコースでは、学び方や環境の好みが結果に大きく影響します。
ここからは、ダイブショップ選びの基本を押さえたうえで、ダイブマスター・コースを受講するショップを見極めるために注目したいポイントを紹介していきます。

指導スタイル
PADIダイブマスター・コースを含む、すべてのPADIコースは、定められたトレーニング規準に沿って実施されます。ただし、指導スタイルや現場の雰囲気は、ダイブショップごとに大きく異なります。
たとえば、リラックスした雰囲気で、コミュニケーションを大切にするスタイルのショップもあれば、業務としての流れや役割を重視する、よりビジネスライクな環境のショップもあります。
インターンシップ型で受講する場合は、自由時間の取りやすさや、1日のスケジュール感が、自分のイメージと合っているかを事前に確認しておくことも大切です。
相性の良いショップを見つけるためには、候補となるインストラクターと直接話してみることが何よりの近道です。現地で会うのはもちろん、オンラインのビデオ通話でも構いません。会話を通じて、「ここで学びたい」と感じられるかどうかを確認してみましょう。
あわせて、同じタイミングでダイブマスター・コースを受講する候補者の人数も聞いておくと安心です。一般的に、少人数のグループの方が、練習の時間を多く確保でき、個別のフィードバックを受けやすい傾向があります。

設備とダイブサイト
ダイブマスター・コースのショップ選びでは、これまでのコースやファンダイビングと同じように、器材、充填設備、ダイブボートの有無など、基本的な施設・設備を確認しておくことが大切です。あわせて注目したいのが、どのようなダイブサイトでトレーニングを行っているか。将来PADIプロとして活動することを考えると、さまざまな環境で経験を積めることは、自信やスキル、そして対応力を大きく高めてくれます。たとえば、流れのある海況、ビーチ・ボートダイビング、透明度や水温の異なる環境など、幅広いダイビングシチュエーションに触れられるかどうかは、ダイブマスターとしての成長に直結します。
また、自分の興味・関心に合った分野をカバーしているかも重要なポイントです。マクロ撮影、沈船ダイビング、テクニカルダイビングなど、将来深めたい分野がある場合は、その分野に対応したダイブサイトやトレーニング環境が整っているかを確認しておきましょう。
ダイブマスター・コースの費用
PADIの各コースと同様に、ダイブマスター・コースの受講費用は、ダイブショップごとに設定されており、金額には幅があります。ただし、価格の安さだけで判断するのはおすすめできません。重要なのは、費用に何が含まれているか、そして全体としてどのような内容・環境が提供されるかです。
ダイブマスター・コースの料金に、以下の項目が含まれているかを確認してみましょう。
- 認定申請料
- 食事・宿泊費
- 移動・送迎費用
- 保険
- 追加ダイブ、コース、ワークショップ
特にインターンシップ型で受講する場合は、どれくらいの時間ショップ業務に関わることになるのかも重要なポイントです。受講費用と、実際に求められる稼働時間のバランスが、自分にとって納得できる内容かどうかを、事前にしっかり確認しておきましょう。
環境保全への取り組み
プロとしての成長に、より大きな意味や目的を加えたいなら、PADI Eco Centerとして認定されているダイブショップのダイブマスター・コースを検討するのもひとつの選択肢です。PADI Eco Centerは、サステナビリティや環境保全に対して、特に高い意識と実践を行っているショップです。
たとえば、Dive Against Debrisへの参加、PADI AWAREコースの指導方法を学んだり、海の魅力や大切さを次世代に伝える活動への関わりなどダイブマスター・トレーニングと並行して、海を守る行動そのものに関われる機会が広がります。
こうした経験は、自分自身のダイビングに深みを与えるだけでなく、海とともに生きる地域コミュニティの支えとなる活動にもつながっていきます。
将来のキャリアを見据えて
将来的に、さらにPADIプロフェッショナルとしてステップアップしたいと考えている場合は、そのダイブショップが PADI Instructor Development Center(IDC)または PADI Career Development Center(CDC) であるかも確認しておきましょう。
これらのショップであれば、ダイブマスター修了後も、インストラクター開発コース(IDC)をはじめとした上位プロコースへ、スムーズに進める体制が整っています。ダイブマスター・コースはゴールではなく、プロとしてのキャリアのスタート地点。だからこそ、「今」だけでなく、その先まで見据えたショップ選びが、後悔しない選択につながります。
PADIダイブマスター・コースを探す(その先のプロコースも)
PADIプロフェッショナルとしての道のりは、人それぞれです。どの段階にいるとしても、自分の目標や価値観、ライフスタイルに合ったダイブショップを選ぶことが、海と関わり続ける充実したキャリアへの第一歩になります。
ダイブマスター・コースを探している方も、次のステップとして PADIインストラクター を目指している方も、「どこで、どんな環境で学ぶか」は、これからの可能性を大きく左右します。
準備ができたら、PADI Dive Shop Locator を使ってダイブマスター・コースを実施しているショップを探してみましょう。インターンシップやキャリアにつながる機会を探したい場合は、PADI Jobs Board をチェックするのもおすすめです。