9月28日(土)、静岡県・平沢にて「AWARE MONTH~平沢サンゴ植樹体験」イベントを実施しました。
毎年9月には、世界的なクリーンナップ・イベント「ワールドクリーンアップデー」、環境省と日本財団の共同プロジェクト「秋の海ごみゼロウィーク」、そして「AWARE WEEK」の3つの大きなイベントがあります。
このことから、9月を「AWARE Month~環境保全活動促進月間」として、これに合わせて環境保全活動の実施を目的に3つのイベントを設定。その最後のイベントの開催地「平沢マリンセンター」と協力しての実施となりました。
PADI特設ブースで東海大学の先生によるサンゴのレクチャーを実施
PADIの特設ブースでは、サンゴの生態学に関する専門家・東海大学の中村雅子先生によるサンゴ全体のお話しや平沢に生息するサンゴ、サンゴを守るための方法などを説明いただきました。単なる植樹活動だけでなく、地元のサンゴに関する情報を事前に知っておくことで、植樹活動に対する気持ちも変わってくるものです。
サンゴの植樹方法は、海中に落ちているサンゴの苗を予め回収しておき、それに水中ボンドを付け、水中に用意してある穴が開いたブロックに植え付けるというもの。水中ボンドは24時間で固着し、苗とブロックが固定されます。その後、平沢マリンセンターのスタッフが最終的な生息場所にそのブロックを移動します。
今後は、「植え付けだけで終わらない植樹活動」をテーマに、皆さんに植樹していただいたサンゴ苗の成長のモニタリング、サンゴを折らないようにする知識とテクニックを身に着けることの普及・啓もうを続けていくことを考えています。
サンゴはダイバーが折っている?!
今回の植樹用のサンゴ苗は事前に平沢マリンセンターとPADIのスタッフが潜って、折れてしまったサンゴを水中から集めています。東海大学の中村先生によると、台風などの自然現象が原因で折れていることもありますが、人が原因である可能性も高いとの分析。ダイビングなどで行かない範囲の場所にあるサンゴは元気に生息していますが、ダイビングなどで活動する範囲に多く折れたサンゴが落ちているとのことです。
すべてがダイバーのせいではないと思いますが、我々ダイバーもフィン先に気を付けたり、オクトパスやゲージをブラブラさせずにしっかりとホールドすることが大事です。
今一度、ご自身の装備のチェックや水中の姿勢、フィンの動かし方などに注意するとともに、PADIピーク・パフォーマンス・ボイヤンシー(PPB)スペシャルティ・コースで中性浮力を極め、サンゴをはじめとする水中に生息する生物にダメージを与えないようにスキルもしっかりと身に付けましょう。
世界各地でサンゴの白化が発生
近年、世界中でサンゴの白化現象が深刻化しています。今年の夏は記録的な猛暑が続いたのは皆さんも記憶にあると思いますが、気温が高くなれば海水温も温められ、今年は高水温が原因で世界中の多くの地域で大規模な白化が発生しています。
オーストラリアの海洋保護区であり、世界自然遺産にもなっているロード・ハウ島の手つかずのサンゴの多くが白化し、死滅しています。他にもグレートバリアリーフやアメリカ・フロリダ、カリブ海、南太平洋、紅海などでも大規模な白化現象が発生してしまっています。日本では沖縄県全域においても水深が浅いエリアを中心に大規模なサンゴ白化現象が報告されているなか、PADIジャパン/AWARE(日本)も参加・協力している沖縄・恩納村のサンゴ保全プログラム「チーム美らサンゴ」でも、参加者に植え付けていただく「サンゴ苗」が白化の影響で準備できないなど、活動にも影響が出ています。
サンゴの白化現象は他の海洋生物や私たちにも大きな影響
生物多様性や魚類の減少、経済的影響など、海中の生物だけでなく我々人間にもその影響が及びます。今回の事前レクチャーのなかでも、東海大学・中村先生は静岡県・沼津の海でも白化が発生していることに触れ、外国や遠い地域の話しではなく、身近な問題となっているのです。
サンゴの白化を防ぐためには、気候変動対策が不可欠です。私たちひとり一人ができることを進めていきましょう。
参加PADIショップ:
パパラギダイビングスクール/トゥルーノース/Mag ダイビングスクール/Tiara/湘南DIVE葉山タンクサービス店
合計参加人数:62人