一般的な目安として、ダイビング器材は「年に1回」または「100ダイブごと」のどちらか早いタイミングで、定期的な点検・オーバーホールを行うことが推奨されています。「年に1〜2回しか潜らないから大丈夫」と思っていても、年1回の点検は省かないことが大切です。
たとえ1年前は問題なく使えていたとしても、忘れてはいけないのが、ダイビング器材はダイビング中の安全を支えるものということ。定期的な点検をしないのは、例えるなら——
- 歯が痛くなるまで歯医者に行かない
- タイヤを替えずに走り続けて、雨の日にスリップする
- 予防接種を受けずに海外へ行き、体調を崩す
……のと同じようなものです。
きちんと手入れをして使えば、10年以上使い続けられる器材も珍しくありません。
新しい一年を安全に、そして気持ちよく潜るためにも、年始は器材を見直す絶好のタイミングです。「問題が起きてから」ではなく、「問題が起きる前に」。それが、長くダイビングを楽しむための大切な習慣です。

点検が必要なスクーバ器材とは?
前述のとおり、スクーバ器材を適切にメンテナンスすることは、安全面・快適性のどちらにおいても欠かせません。定期的な点検を行うことで、器材のコンディションを良好に保ち、次のダイビングを安心して迎えることができます。
では、どの器材を、どれくらいの頻度で点検すればよいのでしょうか?代表的な器材を見ていきましょう。
レギュレーター
一般的に、レギュレーターは「年に1回」または「100ダイブごと」の点検・オーバーホールが推奨されています。メーカーごとに推奨頻度が異なるため、購入した器材の取扱説明書を確認するか、購入したダイビングショップに相談するのが安心です。また、残圧計(SPG)を使用している場合は、レギュレーターと一緒に点検に出すようにしましょう。
日常的なケアとしては、「ダイビング後は必ずダストキャップを装着する」、「真水でレギュレーター全体をしっかりすすぐ」、「保管時は、ホースをきつく折り曲げず、ゆるやかなカーブを保つ」といった点を意識すると、器材を良い状態で長く使えます。
ダイブコンピューター
バッテリー残量警告が出てから点検に出すのは要注意です。というのも、その警告は決まって「1週間のダイビング旅行初日」に出がちだからです。点検では、バッテリーの状態確認に加え、「Oリングのチェック」、「本体内部への塩分付着や劣化の有無」などが確認されます。
多くのダイブコンピューターは年1回の点検が推奨されていますが、機種によっては2年に1回でよいものもあります。こちらも、メーカーのマニュアルやショップに確認すると確実です。
BCD
BCDも、基本的には年1回の点検、もしくはメーカー推奨の頻度でのメンテナンスが必要です。もし、インフレーターにセカンドステージ(オクトパス)が一体型で付いているタイプの場合は、忘れずにそれも一緒に点検に出しましょう。
定期点検では主に、「ブラダー(浮力袋)の状態」、「Oリング」、「インフレーターホース」、「セカンドステージ(該当する場合)」といった部分がチェックされます。

ドライスーツ
ドライスーツは年に1回の点検を行いましょう。圧力テストや細かなチェックを行うことで、目に見えないピンホール(ごく小さな穴)による水の侵入を早期に発見できます。
こうした小さなトラブルを放置すると、ダイビング中に想定以上の浸水が起こり、保温性の低下や安全面でのリスクにつながることもあります。
冬〜春にドライスーツで潜る方こそ、シーズン前の点検がおすすめです。

スクーバアクセサリー&スノーケリング器材も忘れずにチェック
レギュレーターやBCDのように、サービスセンターでの定期点検が必須ではない器材であっても、アクセサリー類やマスク・スノーケル・フィンは、安全のために日常的なチェックが欠かせません。
「小さな器材だから大丈夫」と思われがちですが、実際のトラブルは、こうした周辺器材から起こることも少なくありません。
アクセサリー類
ダイブライト、カメラ用ストロボ、シグナルフロート(SMB)などのアクセサリーは、ダイビングのたびに事前チェックを行いましょう。確認したいポイントは、「ライトやストロボのバッテリー残量」、「Oリングの状態(劣化・砂やゴミの付着)」、「SMBがきちんと膨らみ、空気を保持できるか」などです。
特にライト類は、「水中で点かない」ことが一番のトラブル。出発前のチェックを習慣にするだけで、防げるトラブルはたくさんあります。
マスク・スノーケル・フィン
マスク、スノーケル、フィン、そしてスノーケルキーパーは、定期的にひび割れや裂け目がないか確認しましょう。また、マスクのレンズを傷から守るためにも、使用後は購入時のケースやマスクボックスに入れて保管するのがおすすめです。
ダイビング器材を長く使うために
ここまでで、スクーバ器材の点検頻度についてご紹介してきました。すると、こんな疑問が浮かぶかもしれません。「点検って、自分でできることもある?」答えは、「一部はできるけれど、基本的にはプロに任せるのが安心」です。
たとえば、一部のダイブコンピューターは、ユーザー自身で電池交換が可能だったり、BCDやSMBは、しっかり空気を入れてから浴槽などの水に沈めることで、小さなエア漏れがないかをチェックすることができます。こうした簡易的なセルフチェックは、自宅でも行えます。
ただし、専門的な点検や内部のチェックは、プロによるメンテナンスに勝るものはありません。目に見えない劣化や不具合は、経験と専用器材を持つ技術者でなければ見つけられないことも多いからです。
器材の知識を深めたい人は
PADIには、オンライン学習と実習を組み合わせた「器材スペシャリスト・コース」があります。このコースでは、レギュレーターのオーバーホール方法を学ぶわけではありませんが、その代わりに、ダイバーとして知っておきたい器材の知識を体系的に学ぶことができます。
具体的には、次のような内容です。
- 器材を長持ちさせるための、正しい洗い方・保管方法
- ダイビング前後に行うべき器材チェックのポイント
- ダイビング現場で対応できる、ちょっとした器材トラブルの対処法
「自分で修理する」ためのコースではなく、器材を理解し、正しく扱い、トラブルを未然に防ぐための知識を身につけることが目的です。