ダイバーは、安全を確保するために、使う器材に大きく依存しています。ダイビング器材があるからこそ、水中で呼吸ができ、水中で効率よく動き、水中ではっきりとものを見ることができるのです。ダイバーとして、器材の故障など避けるためにダイビング器材を適切にケアすることはとても重要です。

知らず知らずのうちに自分のダイビング器材にダメージを与えてしまう可能性のある9つのことと、それを防ぐためにできることをお読みください。

1. 太陽光

ダイビング器材を早く乾かす必要があっても、決して直射日光の当たる場所に放置しないでください。太陽からの紫外線は、ゴムや布地を劣化させます。色あせたり、もろくなったり、ひび割れたりすることもあります。ダイビング器材の乾燥は、日陰か風通しのよい室内で行ないましょう。そうすることで、器材の寿命が延び、今使っている器材へのダメージを少なくして買い替える必要もなくなります。


2. 砂

美しいビーチの砂は素晴らしいもので、皆さんも大好きでしょう。それがダイビング器材に付着したり、中に入ったりするまでは。
砂の粒子は、シリンダーのバルブやレギュレーター、インフレーター、BCDのダンプバルブなどのいたるところに簡単に入り、詰まってしまいます。可能であれば、砂地には器材を置かないように心掛け、ダイビング後は必ず器材を真水で洗い流すようにしましょう。

手の届かない隙間に入ってしまった砂は、毛先の柔らかいブラシで取り除きましょう。ダイビング器材を傷めるのは小さな砂だけではありません。砂が柔らかいからといって、シリンダーを置く際は乱暴に砂の中に投げるようにするのは避けましょう。逆にシリンダーが転がったり倒れたりしないように、常に注意することが大切です。そうすることで、器材の損傷を最小限に抑えることができます。


3.海水

ダイバーは多くの時間を海の中で過ごしますが、海水がダイビング器材に与えるダメージを考慮することは重要です。すべての金属や合金は腐食する可能性があり、特に海で長時間ダイビングをする場合は注意が必要です。ダイビングの後は、必ずすべての器材を真水で十分に洗い流しましょう。腐食を防げば器材の寿命も延びますし、修理や交換をするよりもずっと安く済みます。


4.化学物質

ダイビング器材に永久的なダメージを与える可能性のある化学物質は数多くあります。例えば、プールの塩素は素材の分解を促進し、ダイビング器材の色を褪色させることがあります。プールに入る時間を制限し、プールに入った後は必ず真水で十分にすすぐことが、ダイビング器材を長持ちさせることにつながります。

ワセリンなどの石油ゼリーは無害に思えるかもしれませんが、シリコンやOリングのゴムを分解し、ダメージを与える可能性があります。また、ダイビング器材をアルコールベースの製品、ガソリン、オイル、そして器材を洗うクレンザーに近づけないことも重要です。ダイビング器材を洗ったり、水に浸したりする前に、ラベルや使用されている成分を必ず確認してください。ダイビング器材を化学製品にさらす場合は、専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。注意しないと、ダイビング器材の寿命を縮めたり、完全に壊してしまうこともあります。


5.よくない保管

ダイビング器材には特別な保管条件があります。例えば、器材が完全に乾くまで決して梱包しないこと。そうしないとカビやバクテリアが繁殖し、せっかくのダイビング器材にダメージを与えてしまう可能性が高くなります。また、レギュレーターのホースがよじれないように巻いておくことも大切です。フィンは、先を下にして壁に立てかけたり、曲がってしまうような保管の仕方をしないようにしましょう。そうしないと、時間が経つとフィンの形が変形し、水中で使えなくなります。立てかける代わりに吊るしたり、均等に寝かせるようにしましょう。時間をかけて適切に保管すれば、器材は長持ちします。


6.置く場所に気をつけない

ダイビングは多くのエネルギーと興奮を伴います。注意力が散漫になり、ダイビング器材が危険にさらされるようなことがあってはなりません。ダイビング器材がどこにあるか、常に注意を払いましょう。ダイバーとして、器材を放置してはいけません。混雑した道路や駐車場の真ん中は、ダイビング器材が転がっている場所ではありません。予期しない破損を避けるため、自分の近くに置き、邪魔にならないようにしましょう。

ボート・ダイビングをする場合は、器材を安全に保管し、適切に固定する方法を身に着ける必要があります。ダイビング器材は船の揺れでずれたり動いたりすることがあるため、これは重要なことです。また、他のダイバーの邪魔になってしまったり、誤ってあなたの器材を踏んで壊してしまうことも防げます。
PADIボート・ダイバー・スペシャルティ・コースでは、ボートを使ったダイビングの仕方だけでなく、ボートダイブならではの器材のまとめ方なども習います。

 


7.未熟な浮力コントロール

浮力が弱く「トリム」の悪いダイバーは、岩やサンゴ礁、砂地などでゲージやオクトパスを引きずってしまい、器材だけでなく環境にもダメージを与えます。ダイビング中は、ゲージやオクトパスなどのホース類、水中ノートや水中ライトなどのアクセサリーをしっかりと体に密着させておきましょう。浮力コントロールに自信がなく、このスキルをマスターしたい方は、PADIピーク・パフォーマンス・ボイヤンシー・スペシャルティ・コースを受けてみましょう。

 


8.ウエットスーツを洗濯機で洗ってしまう

ダイバーの皆さんには冗談のように聞こえるかもしれませんが、ウェットスーツは絶対に洗濯機で洗ってはいけません。また、乾燥機や漂白剤を使わないことも重要です。どちらもウエットスーツにダメージを与えます。そして、ウエットスーツは可能なら温かい真水ですすぎましょう。どうしても汚れを落としたい場合は、刺激の強い化学物質を含まない安全なシャンプーや専用の洗剤を使い、手洗いしてください。

洗い終わったら、日陰か風通しのよい屋外で干しましょう。時々、ウエットスーツがきちんと乾いているかや、風で飛ばされていないかを確認しに行きます。片面や表面が乾いていたら、必ず裏返してもう片方が完全に乾くようにしてください。


9.適切なトレーニングなしに分解する

ダイバーにとって、レギュレーターはとても大切な器材ですので、きちんと手入れをしたいものです。レギュレーターのファーストステージやセカンドステージの内部がおかしいと感じたら、必ず認定された技術者のところに持って行き、適切なメンテナンスを受けてください。適切なトレーニングを受けずにレギュレーターを分解しようとしないでください。レギュレーターにダメージを与えたり、部品の組み立て方を間違えたりして、あなたを危険にさらす可能性があります。レギュレーターに限らず、器材の分解や点検、修理はPADIショップの認定された技術者に行なってもらいましょう。

 

PADI器材スペシャルティ・コースでは、まったくの初心者ダイバーから、買い替えを考えているダイバー、さらには器材のメンテナンス法を知りたい、もっと使いやすくしたい、長持ちさせたいと考えているダイバーまで、幅広いダイバーのニーズに応えます。器材に対する不安をなくし、ストレスなくダイビングを楽しみましょう。

 

その他、PADIジャパンのウェブサイトでは、自分にぴったりの器材を選ぶための「ダイビング器材の選び方」というコラムを掲載しています。
ダイビング器材は、水中世界を快適に楽しむうえでとても大事。自分に合ったダイビング器材を使えば、海の世界をより安全にストレスなく楽しむことができます。それぞれの器材の特徴や選ぶ際のポイントをしっかり押さえて、自分にぴったりの器材を見つけたい、ダイビング器材の情報を得たいという方必読です!

 

 

 

 

 

 

 

 

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