周囲を海に囲まれた日本には、個性豊かなダイビングエリアがいっぱい。日帰りで気軽に行ける場所にも、見どころ満載の海があるのです。第9回は佐渡・北陸のダイビングエリアを紹介します。
佐渡や北陸のダイビングエリアは、荒波によってできた壮大な地形などが見どころ。高い透明度を誇る海の色は〝日本海ブルー″とも呼ばれます。悠然と泳ぐコブダイが人気の佐渡や、深海からやってくる生物が狙える滑川など、ユニークな生物との出会いも期待できます。日本海というと冷たい海というイメージもありますが、南から流れてくる対馬海流の影響を受け、夏から秋にかけては回遊魚の群れや南方系の生物を見られるなど、四季折々の楽しみがあります。
佐渡島
新潟県沖に位置する佐渡島は、面積約857km²、東京都23区の約1.5倍の広さを持つ日本で2番目に大きな島。暖流と寒流が交わる海域は透明度が高く、生物の多様性に富み、ダイビングポイントも充実しています。「北小浦・赤岩」では、名物の巨大なコブダイやエチゼンクラゲに出会えるほか、ナイトダイビングではヤリイカの産卵やミミイカなどを見ることも。さらに、佐渡島は江戸時代に開発された佐渡金山やトキ保護センターといった魅力的な観光地も多く、四季折々の自然と民宿の海の幸を楽しむことができます。アクセスはフェリーや航空便が利用可能。多彩な海の表情が楽しめる佐渡の海は、訪れるたびに新しい感動を提供してくれます。


人気ダイビングポイント:北小浦・赤岩
北小浦漁港沖の「赤岩」は、佐渡を代表するダイビングポイント。ここには名物のコブダイが多く生息しており、エントリーするとダイバーに気づいて近寄ってくることも。水深14〜26mで初心者から上級者まで潜ることができ、ウミウシや回遊魚、大型のミズダコまで見どころが豊富なため、マクロ派、大物派を問わず楽しめます。季節ごとに違う魅力があり、特に初夏のコブダイの縄張り争いや産卵行動、ナイトダイビング中のユニークな生態観察は見逃せません。
アクセス
車:新潟市から新潟港まで約20分。新潟港からカーフェリーで両津港まで約2時間30分。 (東京から新潟市まで関越自動車道経由で約4時間)
電車:東京駅からJR上越新幹線で新潟駅まで約2時間。新潟駅から新潟港までバスまたはタクシーで約20分。新潟港からカーフェリーで両津港まで約2時間30分。


越前
越前町は、越前加賀国定公園内に位置し、美しい海岸線と豊かな自然に恵まれた小さな町。越前では1年を通じてビーチ・ボート両方でダイビングが楽しむことができます。砂地や巨岩、ケーブ、ゴロタなど、多彩な水中環境が特徴。春には海中林が広がり、夏から秋にかけては「越前ブルー」と呼ばれる透明度の高い海で浮遊感を楽しめるほか、秋には季節来遊魚、冬にはミズダコなど大型生物との出会いが魅力となっており、四季折々の変化が訪れるたびに新鮮な感動を与えてくれます。アフターダイブには豊富な温泉と「越前ガニ」をはじめとする美味しい海の幸を堪能できる点も人気の理由です。

人気ダイビングポイント:学校下
初心者から上級者まで楽しめる白砂のビーチダイビングポイント。広がる真っ白な砂地は南の島を思わせ、特に透明度の高い時期は気持ちのいいダイビングを楽しむことができます。タツノオトシゴやウミウシの種類が豊富で、フォト派ダイバーにおすすめ。南風の影響を受けにくく、穏やかな海況のため、体験ダイビングや講習にも最適なポイントとなっており、四季折々の生物を観察しながらフィッシュウォッチングを楽しむことができます。

ダイビングセンターログ

ダイビングセンターログ
アクセス
車:福井市内から約40分。北陸自動車道福井ICから国道8号線、国道305号線経由。 (大阪から北陸自動車道経由で福井ICまで約2時間30分)
電車:JR福井駅から福井鉄道福武線またはJR北陸本線で武生駅まで。武生駅からタクシーまたはバスで約30分~40分。
越中宮崎
富山県の越中宮崎は、2021年に開放されたばかりの新しいダイビングエリア。3000m級の飛騨山脈が形成した巨大な壁や切り立つ根など、ダイナミックな地形が魅力です。外洋に面した海は透明度抜群で、夏には水温が30度近くに達し、快適にダイビングが楽しめます。「水中参道」や「海底の宮」など、伝承に基づく遺跡のような場所もあり、地形派ダイバーに人気。春はウミウシやサクラダンゴウオの観察が楽しく、秋には季節来遊魚が登場するほか、マダイやブリの群れ、大物との遭遇チャンスもあります。ビーチポイントの「ヒスイ海岸」では、天然の翡翠探しに挑戦することも。アフターダイブには温泉や海の幸も楽しめ、魅力満載のエリアとなっています。



人気ダイビングポイント:沖の瀬
沖の瀬エリアは越中宮崎で最も沖合に位置し、多彩なダイビングポイントが魅力。「Wアーチ」や「水中参道」「ラビリンス」など、それぞれユニークな地形と生物相を誇ります。特に水中参道の石畳やラビリンスのオノミチキサンゴ群生は見応え十分。潮通しが良い「先端」では魚影が濃く、イナダやヒラマサが小魚を襲うシーンも迫力満点です。ただし、フリー潜降や流れへの対応が必要なため、スキルの確かなダイバー向け。ドリフトダイビングのスキルをしっかりと身につけてから潜りに行きましょう。



アクセス
車:富山市内から約1時間30分。北陸自動車道朝日ICから国道8号線経由。 (金沢から北陸自動車道経由で朝日ICまで約1時間)
電車:JR富山駅からあいの風とやま鉄道で越中宮崎駅まで約1時間。
滑川
富山湾に位置する滑川は、24時間ダイビングが可能な珍しいエリア。深海生物や珍しい浮遊系生物に出会える湧昇流が特徴で、立山連峰から海底まで約4,000mもの落差を持つこのエリアでは、サンセットからミッドナイトまで時間帯に応じたダイビングを楽しむことができます。特にホテイウオやダンゴウオ、珍しいビクニンなどの観察が人気で、2〜4月にはホタルイカの「身投げ」が見られることも。透明度が高い冬から春先が最も魅力的なシーズンで、秋には魚群がダイバーを魅了します。また、ナイトダイビングではセトウシノシタやミミイカなど、夜行性生物が活発になる姿も観察可能。滑川での特別なダイビング体験の後は、富山観光を楽しむのもおすすめです。




画像提供:ダイビングショップ 海遊
人気ダイビングポイント:滑川アウトサイド
日中のダイビングはもちろん、サンセットダイビング、ナイトダイビング、ミッドナイトダイビング、明け方近くのダイビングと、24時間ダイビング可能なビーチポイント。仕事帰りに1本ナイトダイビング、なんて楽しみ方も可能です。富山湾は深いところから海水が海岸近くに流れ込む「湧昇流」が発生するため、深海性の生物など、珍しい生物を観察するチャンスも。浅場から深場まで深度によっていろいろな見どころがあるため、体験ダイビングから上級者まで、レベルに応じて楽しむことができます。
アクセス
車:富山市内から約30分。北陸自動車道滑川ICからすぐ。
電車:JR富山駅からあいの風とやま鉄道で滑川駅まで約20分。
音海
福井県高浜町に位置する音海半島は、若狭湾国定公園内にあり、壮大な自然と景勝地として知られるエリアです。特に高さ260mを超える音海大断崖は名勝地に指定されており、春の山桜や秋の紅葉が訪れる人々を魅了します。また、このエリアは複雑なリアス式海岸が特徴で、水温が上がる夏から秋には季節来遊魚も現れ、水中はさらに華やかになります。音海にはビーチとボートポイントを合わせて10カ所以上あり、豪快な地形からかわいらしい生物まで楽しめるダイビングポイントが豊富にそろっています。初心者から上級者まで楽しめるビーチポイントは穏やかな海況が多く、ボートポイントではアサグリや冠島への遠征も可能。春にはダンゴウオやスナビクニンが観察できるほか、ウミウシも種類豊富で、フィッシュウォッチングにも最適です。

人気ダイビングポイント:猫の額
初心者から楽しめるボートダイビングポイントで、港から5分ほどの近さと通年穏やかな海況が特徴。風や波の影響を受けにくいため、船酔いが心配なダイバーも安心です。春にはサクラダンゴウオやウミウシが観察でき、夏には魚群との遭遇が楽しめます。また、マツカサウオやタツノオトシゴが一年中見られ、初夏にはブリの群れなども登場。マクロ生物の宝庫でもあり、初心者でものんびり潜れる穏やかな環境が魅力となっています。

アクセス
車:舞鶴若狭自動車道大飯高浜ICから約20分。 (京都市内から舞鶴若狭自動車道経由で大飯高浜ICまで約1時間30分)
電車:JR舞鶴線・小浜線東舞鶴駅からタクシーで約30分。または、JR小浜線若狭高浜駅からタクシーで約20分。