寒い冬はつい海から足が遠ざかってしまいがち。水温が下がり、季節来遊魚の姿が少なくなると、海の中はなんとなく寂しい印象に。そんな冬の海を熱く盛り上げてくれるのが、今やダイバーのアイドルとなったダンゴウオ。小さな体に、丸くて大きな目とたらこクチビル……。海藻や石の上にちょこんと座る、そのキュートな姿を見れば寒さなんて吹き飛んでしまうこと間違いなし! 皆さんも、かわいいダンゴウオに会いに行きませんか?

日本海側は新種と判明! 冬の海のアイドル「ダンゴウオ」に会いに行こう!
写真は太平洋側の「ダンゴウオ(Eumicrotremus awae)」

実は別種だった! 日本海側と太平洋側のダンゴウオ

これまでは同種と思われていた日本海側と太平洋側のダンゴウオですが、実は日本海側のダンゴウオは別種ということが判明。2017年6月に新種「サクラダンゴウオ(Eumicrotremus uenoi)」と発表されました。山形県から兵庫県の日本海沿岸、朝鮮半島南東岸、済州島に生息しており、太平洋沿岸に生息する「ダンゴウオ(Eumicrotremus awae)」とは眼窩間および眼窩下の孔の有無などに違いがあるとのこと。機会があればぜひ見比べてみてください。

謎に満ちたダンゴウオの生態

幼魚の頃は体長約5mm、普段よく見るものは1cm程度と、とにかく小さいダンゴウオ。夜行性と考えられており、日中は吸盤で海草や石の陰についていることが多いようです。体色は実にさまざまで、自分の周囲の環境に合わせていると考えられますが、その生態についてはまだまだ謎がいっぱい。ちなみに、ダンゴウオの幼魚は輪をかけてプリティで、目のまわりから頭にかけて“天使の輪”と呼ばれる模様が。この模様は生後1カ月程度で消えてしまうようで、見られるチャンスは限られています。ぜひ狙ってみたいですね。

ダンゴウオの幼魚
ダンゴウオの幼魚(「みんなで作る魚図鑑」 鈴木崇弘さん投稿)

ダンゴウオ観察に必要なものとは?

さて、そんなダンゴウオを観察する際に、ぜひ持っていきたいのが虫メガネ。成長しても2cm程度、一般的に目にするのは1cm程度と非常に小さいので、肉眼で観察するのは至難のワザ。虫メガネがあれば、かわいらしい表情をじっくりと観察することができます。撮影する場合はクローズアップレンズが必携。また、海藻など周囲の色に同化しているため、水中ライトもあると便利です。ただし、彼らは光を嫌うので、正面から光を当てるのはNG。横から光を当てるなどして観察しましょう。


かつては限られたエリアでしか観察できなかったダンゴウオですが、最近ではいろいろなダイビングエリアで観察されています。各エリアの情報をこまめにチェックして、ぜひ皆さんも冬の海のアイドルに会いにいってくださいね。

⇒日本全国ダイビングスポット情報

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