ダイバーに人気のチンアナゴ。
砂地から上半身を出してゆらゆらと揺れている姿を見るだけでも癒されます。
基本的にサンゴ礁の砂地に生息しており、水深50メートル程度でも確認されていますが、浅いところでも見られます。ですので、体験ダイビングでも観察された方も多いかもしれません。比較的暖かい海に生息しているので沖縄方面に生息していることが多いですが、伊豆半島での目撃情報もありました。
チンアナゴとよく似ている、他の種もいます。黄色やオレンジと白のシマシマ模様をしているのはニシキアナゴ。白の斑点が特徴的なのはホワイトスポッテッドガーデンイールです。
水族館では同じ水槽にいることが多いこの3種ですが、チンアナゴは「チンアナゴ属」、ニシキアナゴとホワイトスポッテッドガーデンイールは「シンジュアナゴ属」と別な分類です。
体長は意外に長い?
体長は、体の半分が砂に潜っているのでわかりづらいと思いますが、チンアナゴとニシキアナゴは40センチ程度に対し、ホワイトスポッテッドガーデンイールは70センチ程度にまで成長します。ホワイトスポッテッドガーデンイールは体が長いのでンアナゴとニシキアナゴと比べると砂上に出ている部分が長いことが多いようです。
なぜ「チン」アナゴ?
「チンアナゴ」の「チン」は「珍」という字を連想するかもしれません。しかし、狆(ちん)という犬からきていると言われています。狆(ちん)という犬は目がくりっとした顔をしており、それに似ていることが由来だそうです。どうですか?かわいい顔が似ていますね。
チンアナゴの体の斑点には意味がある
チンアナゴの身体には黒い大きな斑点が5つあります。この斑点はただの斑点ではありません。よく見てみると、一番頭に近い側面の2つの斑点部分にはエラと小さな胸びれがあります。おなかの真ん中部分の斑点には肛門があります。普段は穴の中に隠れていることが多いですが、ウンチをするときは砂の中ではできないので、肛門部分が砂の外にでるまで身体を伸ばします。普段は砂に埋まっていて見えない(見せない)お腹の斑点(肛門)なので、見ることができればラッキーかもしれません!(笑)
ケンカは日常茶飯事
彼らは基本群れで生活しています。流れに乗ってきたプランクトンを食べて活動しているのです。このプランクトンを食べるために体を伸ばして追っかけ、隣のチンアナゴに絡むこともあります。向き合ってケンカしているようなシーンもよく見ますが、日常でも頻繁に行なわれているようです。
まだまだ謎が多く、すべての生態がわかっていないチンアナゴですが、年々研究が進んで少しずつ明らかになってきました。仲間の中でもゼブラアナゴなど絶滅が危惧される種類もいます。
見る人に癒しを与えてくれるチンアナゴたちが、これからも元気に暮らし続けていけるために、少しでも海を汚さない工夫を生活に取り入れていきたいですね。