現在、PADIでは「AWARE サメの保護スペシャルティ」をアップデートした新コース「PADI AWARE Shark and Ray Conservation Specialty」の展開が進められています。これは、サメだけでなくエイ類まで対象を広げた新しい海洋保全コースです。

まだ日本では正式ローンチ前となりますが、今回、沖縄を拠点にJAPAN MANTA PROJECTのリーダーとしてマンタの研究活動を行うPADI AmbassaDiver 尾崎里佳子さんが、英語版を先行受講。実際に受講して感じたことを伺いました。


PADIだからこそ届けられる 保全教育の力

Dive Against Debris®をはじめ、これまでPADI AWAREが行ってきた活動や、PADIの世界的な発信力を考えると、今回の「AWARE Shark and Ray Conservation Specialty」のスタートは、とても意義のあることだと感じました。

近年、外洋性のサメエイ類は1970年代以降で約71%減少していることが報告されており、世界のサメ・エイ類の3分の1以上が絶滅危惧種に分類されています。

その背景には漁業による影響などがありますが、一方で、多くの種では寿命や成長、生息域、回遊ルートなど、基礎的な情報すら十分に分かっていない「データ不足」の状態でもあります。こうした“知られていないことの多さ”も、保全を難しくしている大きな理由のひとつです。

だからこそ、このコースには、世界中のさまざまなバックグラウンドを持つダイバーへ、サメ・エイ類の現状や保全について伝えられる大きな可能性があると感じました。


入りやすいのに、しっかり学べる

実際に受講して印象的だったのは、「入りやすさ」と「内容の濃さ」のバランスの良さでした。決して長すぎず、初心者でも理解しやすい内容でありながら、サメ・エイ類が直面している問題や、海の生態系における役割、現在の保全状況について、しっかり知ることができる構成になっています。

特に印象的だったのは、サメやエイが置かれている現状について、ダイバーにきちんと伝えている点です。こうした話題は、研究や保全の現場では当たり前でも、一般のダイバーコミュニティや日常生活の中では、意外と触れる機会が少ないと感じています。

普段、沖縄でマンタの調査をしている中でも、ダイバーが現場で得る情報や観察の積み重ねが、研究や保全に大きくつながっていることを日々感じています。

一方で、私たちダイバーにとって、サメやエイ類が直面している危機や保全状況は、普段のダイビングの中では意識する機会が少なく、“見えにくい”存在でもあります。だからこそ、このコースは、そうした現状を知ってもらうための、とても良い入り口になると感じました。

サメやエイを「見る楽しさ」だけで終わらせるのではなく、その先にある保全や研究、そして自分たちにできるアクションについて考えるきっかけを与えてくれる内容だったと思います。


「もっと知りたい」が、海を守る第一歩になる

個人的には、これからダイビングを始める人や、海洋保全に興味を持ち始めた人に特におすすめしたいコースです。

「もっと知りたい」
「何か自分にもできることがあるかもしれない」
そんな気持ちを持つ入口として、とても良いきっかけになると感じました。

このコースでは、サメやエイについて学ぶだけで終わりません。実際のダイビングを通して観察を行い、「Global Shark & Ray Census」ツールを活用しながら、市民科学の一員としてデータ提供にも参加できます。マンタやサメを含め、多くの種で個体識別や市民科学の取り組みが進んでいます。研究者だけではカバーしきれない広い海域や、長期的なモニタリングを、ダイバーコミュニティが支えている例も少なくありません。

このコースが、「見る」だけではなく、「保全に参加する」という意識につながっていくことを期待しています。

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