なかなか減らないダイビング事故をゼロにするべく、世界最大規模のダイビング教育機関PADIと月刊『マリンダイビング』が2021年、タッグを組むことになりました。どうしたら潜水事故を無くせるのか、ダイビングをもっと楽しむためには何が必要なのか。これから1年間、私たちと一緒にダイビングのスキルアップについて考えを深めていきましょう。
PADIインストラクター直伝! ダイビングスキルアップ大作戦
~第3回~器材のセットアップ編
皆さんは潜る前の器材のセットアップをどのように行なっていますか? 実は何気なくセッティングしているその器材がダイビングのパフォーマンスに大きな影響を及ぼしているかもしれません。自分がセットした器材を思い浮かべながら読んでみてください。
その器材は自分の体に合っていますか?
まずは、器材を選ぶところから始まります。自分の体に合っていない器材というのは、ダイビングにおいて悪影響しかありません。水中で快適にダイビングを行なうために必要なスキル中性浮力にも大きく関わってきます。体にフィットした器材は非常にバランスが取りやすく、自分の体を思うようにコントロールできるようになります。器材のセッティングとあわせて、器材の選び方も重要となってくるのです。
大きすぎる器材は写真のように肩の部分に大きな隙間ができて、コントロールが難しくなります
こちらは体に合った器材のため、すべてが体に近い位置に密着し操作性が向上します
正しいセッティングで楽にバランスを取る
水中でストレスなくダイビングを楽しむためには、いかに楽に体のバランスをとるかが重要になってきます。まずはウエイトの配置です。体を水平に保つためになるべく左右平等に配置しましょう。
ウエイトには1㎏、1.5㎏、2㎏玉とさまざまなものがありますので、なるべく左右均等になるようにセッティングしましょう
また見落としがちなのがゲージ、オクトパスの取り扱いについてです。オクトパスやゲージをぶらぶらとさせたままダイビングをしている方も多いかもしれませんが、これも水中姿勢に大きく影響を及ぼします。体のバランスが崩れるだけでなく、サンゴに引っかかって折ってしまうことも考えられます。付属のゲージホルダーを使用してなるべく自分の体の近い位置にくるようにセットしてください。
このようにブラブラとさせてしまうとパフォーマンスにも環境にも悪影響が及びます
体から離れた位置にゲージ類があるため、自然と体が傾いてしまいます
ログブックの活用で自分なりのセッティングを見つける
ダイビングの後に潜ったルートや生物を記録しているログブック。その中に、ウエイトの量や使用したシリンダーの種類などは記録していますか? 必要になるウエイトの量はその日潜る深度や使用する器材によって大きく異なってきます。ログブックに記録しておけば、次回のダイビングの時に微調整することができますし、来年のダイビングの時の参考にもなります。もし、記録をしていない方は次のダイビングから合わせて書き込んでみると、よりスキルの上達が早くなるかもしれません。
どうしてもうまくいかないときはインストラクターに相談してみましょう!
月刊『マリンダイビング』5/6月合併号では「新しいアンクルウエイトの使い方」や「ウエイト調整の重要性」など、より深い内容が特集されています。詳細は月刊『マリンダイビング』公式サイト「マリンダイビングWeb」をご覧ください。
今回の語り手
インストラクターを認定するIEで数多くのインストラクターを世に送り出してきた。一人でも多くの「美しいダイビング」ができるダイバーが育ってほしいと願う。自身もダイビングにのめり込んでおり、インストラクター育成にもアツい。