2025年6月24日、静岡県伊東市・いとう漁港にて、「ロータリークラブ」と「PADI AWARE(日本)」の共同プロジェクトが幕を開けました。その名も「未来の海づくりプロジェクト」。今回が記念すべき第1回目の活動です。

力を合わせ、海の未来を守る

「超我の奉仕」を掲げるロータリークラブと、海洋環境保全に尽力するPADI AWARE(日本)がタッグを組み、海洋ごみ回収の水中清掃に挑みました。ロータリークラブは伊豆地区および東京から6クラブが賛同し、地域を超えた志同道合の仲間が協力。

さらにPADIアンバサダイバーである白井ゆみさん率いるMORE企画と2024年最優秀コース・ディレクター賞を受けられた刈部 徹さんが事務局長を務める認定NPO法人アンダーウオータースキルアップアカデミーが企画・実行。水中班のプロダイバー12名と陸上班の約30名で行なわれ、海上保安庁・伊東マリンパトロールステーション(MPS)自衛隊・伊東地域事務所にもご協力いただきました。

この活動の目的は、ただの清掃にあらず。水質改善を通じて生態系を再生し、美しい海を次世代に引き継ぐこと。一石二鳥どころか、漁業保護・観光促進・地域ブランド向上という一石三鳥の社会貢献プロジェクトです。

舞台は静岡県・伊東市の「いとう漁港」

伊東市の心臓部ともいえる「いとう漁港」。この街の食文化と暮らしを支える要所であり、地域の宝とも言える存在です。しかし、長年にわたる沈殿物や廃棄物による汚染が深刻化。目に見えぬ“海のSOS”に応えるべく、重責を担ったのは潜水士たちでした。

水中の激戦、そしてチームの絆

プロのダイバー12名が水中班として出動。陸上では30名が連携し、引き揚げ作業をサポート。4チームに分かれて、水中班が水中ごみを発見し、リフトバッグで水面へ引き揚げます。それを陸上班がロープで引き上げるという連携作業。水底の視界はわずか50センチ以下、漂う汚泥、腐敗した残骸…。まさに悪戦苦闘の作業でした。

中には、重さ数百キロのコンクリート製の防舷材も沈んでおり、リフトバッグで水面まで引き揚がったはいいものの、20人がかりでもびくともしない事態に。最後はクレーン車が登場し、ようやく水面からの回収に成功。

さらに回収されたのは、漁具類に加え、電子レンジ、テレビ、ラジカセ、自転車のタイヤ、フライパンなど…生活ごみの“デパート”。これらはごみ集積所などから転がってきたのでしょうか、それとも…。
自然との共生が叫ばれる時代に、まさに他山の石とすべき現実です。最終的に回収された水中ごみは、その量実に約1トンとなりました。

温かい「うどん」がつないだ心

作業の合間には、地元「ゆみうさ」さんからご協賛いただいた手打ち湯葉うどんが振る舞われ、ほっとした時間をご提供。冷えた体に沁みる一杯がチームの心と体を温めてくれました。

継続は力なり

このプロジェクトは、点で終わらせず、線として続けることが使命です。伊東から始まったこの活動は、やがて伊豆半島、そして日本中へと広がっていくはずです。

“未来の海づくり”――それは一朝一夕ではなし得ない挑戦。試行錯誤を重ねながらも、心をひとつに、力を尽くす。
我々の挑戦は、まだ始まったばかりです。


※ ご注意:今回の水中清掃活動は、資格と経験のあるプロダイバーが行なったものです。一般のダイバーの方はリフトバッグを使用してのごみの引き揚げなどは行なわないようにご注意ください。Dive Against Debrisなどの水中ごみ拾い活動を行なう場合は、専用メッシュバッグを使用して手で持って浮上でき、安全にエキジットできる量と重さのごみの回収にとどめ、ケガや無理のないように実施してください。




Share This

関連記事