私はマレーシアの海のすぐ近くで生まれ、現在日本の大学に通っている留学生です。大学で環境問題や環境政治を勉強しており、ヨガインストラクターとしてヨガを教えたりしています。

私がスクーバダイビングを始めてから約2年となり、ダイビングをはじめたばかりの頃は面白いや綺麗なサンゴに夢中だったのですが、ある日ゴーストネット(海に捨てられた漁網)が海底を覆っているひどい状況に遭遇しました。さらにサンゴ礁の白化など海の本当の状況を目の当たりにすることがあり、これらをきっかけに海のごみ問題や生物多様性の減少について自分なりにリサーチをしたところ、非常に大きな環境・海洋問題が持ち上げっていることが分かりました。

ある日マレーシアの海でダイビングをしている最中に、サンゴ礁の上に何メーターにも渡るゴーストネットが覆いかぶさっていたので、何とか回収しようとしたのですが、当時道具やスキルの無い私にはほどくことができず、そのままに放置するしかありませんでした。

サンゴ礁に覆いかぶさっているゴーストネットの写真

その時の私にできたことといえば、その状況を写真を撮ることだけで、海から上がり、なぜか悲しくなり涙があふれ出てきました。そして、私は広い海を目の当たりにして、ちっぽけな私の無力さを実感し、私はこれから海を全力で守ろうと心に決めました。

現状を見て、何かやらなきゃ!

このとても心を痛めた悲惨な場面を見たことをきっかけに、去年実家のマレーシアに一時帰国していた際、プルヘンティアン島で「ProjekWaste」という環境・海洋保護の団体を立ち上げました。この団体の活動は、ビーチクリーンアップを始め、島のウェストマネジメント(廃棄物処理管理)の改善に参加したり、SNSで環境問題について発信をしたりしています。

ProjeckWasteに参加した仲間たち

 

ダイバーしかできない水中ごみ拾いを学ぶ

私は、縁があって世界最大のダイビング指導機関であるPADIの日本法人に2021年から大学生インターンとして採用してもらいました。ここでは、私が現在大学で勉強しており興味を興味を持っている環境問題や環境政治とまさに合致する海洋環境保全活動に注力している「PADI AWARE」の活動についての勉強をする機会を得ることができました。

そして、つい先日ですが、この機会を通じて、Dive Against Debris®のPADIダイバー・スペシャルティーコースの講習に参加してきました。

このネットを持って海のゴミを回収します

この講習では、海洋ごみから生じる環境や人間に与えるダメージについて学び、この厄介な問題をどうすればダイバーが改善できるかを考えることを学ぶことが出来ます。プラスチックごみがビーチを汚し、海洋生物や海鳥たちが海洋ごみや海洋廃棄物を食べたり、それに絡まったりして死んでいるという悲惨な状況は皆さんも既にご存じかと思います。その他、海へ流入している多様なごみが海洋環境にダメージを与え、人々の健康や経済にも直接的な悪影響を与えています。

Dive Against Debris®で学ぶ水中のごみ拾いは、ビーチクリーンアップとは違って、海洋ごみの上に新たな生物が生い茂っていたり、それ自体を棲み家にしていることもあるため、回収するべきごみかどうかその場で判断することが必要になります。また、回収作業に危険を伴う可能性のある海洋ごみの時には、自分の安全が最も優先されます。私も実際に潜ってごみを探しに行ってみたら、思った以上の収穫がありました。プラスチック製のラップ、釣りの道具、網、陶器やグラスの破片、など様々です。

私が海底のゴミを回収しているところ

そして、水中環境に負荷をかけないようにDive Against Debris®調査活動を実行するためには、浮力とトリムに注意を払うことも重要です。サンゴや海底の構成物にダメージを与えないように、バディとの位置取りや体の姿勢を常に意識しながら潜ることは、同時に自分の中性浮力の練習にもなりました。

今回一緒に水中ごみ拾いをした仲間

 

そしてDive Against Debris®の最も特徴的でかつ重要なのが、ダイビング終了後です。ごみの重さを量る、分別する、記録する、廃棄する、報告するという5つのステップを通じて、そのデータをグローバルのデータベースへ入力します。これにより私はCeitizen scientist(市民科学者)としての役割を担うことができ、PADI AWARE FOUNDATIONを通じて海洋保護の研究に役に立つデータ作りに貢献することができます。

回収したごみを仕分けしてスマホのアプリで報告している様子

 

Seek Adventure, Save the Ocean

 

多くの人達と同じように、私の本来のダイビングをする事の目的は海を楽しむことですが、私はPADIの新しいミッション Seek Adventure, Save the Oceanにとても共感していて、今後も美しい海の環境や景色を楽しむことができ、地球も私たちも健康でありつづけられるよう、今こそ海を守らないといけないと考えています。

私はDive Against Debris®のスペシャルティーコースを修了後、毎回海で潜る度に海のごみを意識するようになりました。私の次に潜る人達も綺麗な海を楽しめるようにと、ごみを見つけたら回収して、中性浮力を保ちながら海洋生物を触らないように意識しながらダイビングを楽しんでいます。こうした小さな一歩はきっと大きなアクションへと繋がっていくと信じています。現在大学内外でSDGsや環境問題に関わる取り組みに力を入れながら、日々の生活の中でもサステイナブルなライフスタイルを送るようになってきました。持続可能な社会を目指し、取返しがつかなくなる前に全力で頑張りたいと思います。

 

Z世代の声を発信する

そして、私と同じように環境問題に対して意識が高くなっている若い世代に対して、ダイビングというツールを活用していこうと発信したいと思います。実際に海を潜って、実際に水中ごみを回収して、実際にサンゴを植えて、実際にアクションを起こしていこうと思っています。

いや、海を守ることに世代は関係ありませんね。皆さんも是非一緒に活動していましょう!

(Dive Against Debris® 講習流れの動画)

文:林 詩琳(ぜん)

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