ダイビング器材の選び方ウエットスーツの選び方

水着の上から着用する、体の保温と保護を目的としたスーツ。体とスーツの間に入った水が体温で温められ、それが断熱材の役割を果たします。生地の厚さも形もさまざま。これらを組み合わせることで、幅広い水温に対応することができます。

①ひざパッド
ダイビング中、ひざの部分が水底や岩に当たり、すり切れてしまう可能性を減らすことができます。

②ファスナー
背中についているタイプと前についているタイプがあります。手首や足首の部分にファスナーをつけると、脱ぎ着が楽になります。


ウエットスーツを選ぶ際のポイント

オーダーメイドと既製品は何が違う?

ウエットスーツの保温性と快適性を最大限に生かすには「スーツが体にフィットしている」ことが大原則。体に合っていないと、緩すぎれば水が入ってきて体温が奪われるし、きつすぎれば動きにくくなるため、ストレスを感じたり、体の不調につながることも。
オーダーメイドのウエットスーツなら、全身30か所以上を採寸して体にぴったりに作るので、そんな心配なく快適に潜ることができます。また、色などのデザインや素材も自分好みに仕上げられるというメリットも。

一方、既製品のスーツは、サイズがちょうど自分にぴったりと合えば、すぐに手に入れられ、価格もオーダーメイドに比べて安いのが魅力。最近では、生地の伸縮性を高めるなどして、適応する体型の幅が広がっているものも。
確実な保温性・快適性を手に入れるためにはオーダーメイドの方が安心ですが、まずは各メーカーのサイズ表などで確認してみましょう。

サーフィン用のウエットスーツは使える?

サーフィンは水圧がかかる環境で使わず、パドリングなどの激しい動きもあるため、ゴムのスポンジには軽くて柔らかいものが使われることが多いです。そのため、ダイビングで水圧がかかるとすぐに潰れてしまい、保温性や耐久性に大きな不安が。やはり、ダイビングではダイビング用のウエットスーツを使うことをおすすめします。

主なウエットスーツのタイプ

ウエットスーツの生地の厚さと対応水温(目安)


タイプ別おすすめウエットスーツ

なるべく長い期間をウエットスーツで潜りたい人は・・・5㎜ツーピース

👍ポイント

  • 2重になっているエリアが増えるため、保温性が高められます。
  • 暑い時、上着は脱いでしまって下だけで潜るなど、幅広い季節や水温でも快適に潜れるように対応できます。

⚠️留意点

  • ちょっとかさばります。
  • 重ねて着ている時、ワンピースに比べて少し動きにくいです。

水温の高いリゾートを中心に潜る人は・・・3㎜ワンピース

👍ポイント

  • 旅行に行く際の持ち運びも楽チン!
  • 薄くて伸びるので着やすいです。
  • ウエイトも少なく、水を気持ちよく感じてダイビングを楽しむことができます。

⚠️留意点

  • リゾートや真夏の海以外では保温力が足りないです。

よりスタイル感を求める女性ダイバーは・・・「女性用」に作られたスーツ

👍ポイント

  • フィット感&女性らしいスタイル感アップ!
  • 女性の体形に合わせた生地のカッテイング(パネル構造)や、ハイウエストを意識したデザインなど、体形をよりきれいに見せるための工夫が随所に。

⚠️留意点

  • 複雑な製作工程でお値段ちょっとアップ

スーツのデザインにこだわりたい人は・・・光沢があり発色のきれいなライクラなどの生地を使ったモデル

👍ポイント

  • 様々な柄や模様を選ぶことができ、デザインにこだわったスーツを作ることができます。
  • 擦れに対しての耐久性も高いので、初心者にもおすすめです。

⚠️留意点

  • 表面に生地を貼らないスキン素材より、少し伸縮性が下がり、気化熱損失(乾くときに熱を奪う)も少しだけあります。

スーツの着脱を楽にしたい人は・・・手首足首ファスナー付きや、裏起毛素材のスーツ

👍ポイント

  • 手首と足首のファスナーは、ついていたほうが圧倒的に着やすく、特に手首足首の細い女性ダイバーはぜひ。ファスナーからの浸水も、メーカー側も浸水が直接肌に触れないように工夫してあります。
  • 裏起毛で撥水力が高い生地を選べば、ダイビング2本目に再びウエットスーツを着る際に、濡れた状態による心地悪さや滑りの悪さで着辛くなることを避けることができ、快適です。

⚠️留意点

  • お値段ちょっとアップ

機能性にとことんこだわりたい人は・・・最新素材のスーツ

👍ポイント

  • 生地は主に、速乾性に優れ、保温性が抜群のスキンタイプと、耐久性に優れ、着脱が容易なジャージタイプがあります。
  • 最新素材では、より保温性を高める素材を使用したものや、伸縮性に優れたもの、摩擦抵抗を減らしたもの、抗菌、速乾など、さまざまな素材のスーツが登場!

⚠️留意点

  • よい生地分、お値段ちょっとアップ

冬でもウエットスーツで潜りたい人は・・・6.5㎜(通称:ロクハン)や7mmなど厚手のスーツ

👍ポイント

  • 保温性が高く、冬の海や水温の低い海でもウエットスーツで快適に楽しめます。
  • ドライスーツに比べて中性浮力が取りやすく動きやすいです。
  • フルフットフィンが履けます。
  • 頭部もしっかり保温できるフード付きもあります。

⚠️留意点

  • 水着で着用のため、冬場はスーツを脱いだ後の防寒対策が重要になります。
  • 標準的な5㎜ウエットスーツより浮力があり、ウエイトの追加が必要です。
A. Monti / pure Moment for the copyrights.

ウエットスーツを使う際のポイント

1.手首や足首を入れにくいときは・・・

裏地がスキン素材のスーツの場合は、パウダーやシャンプーなどを使って滑らせて入れるのも手ですが、周囲や環境に迷惑をかけないように注意しましょう。プールや海の浅瀬などで水の中に入って着ることができる状況にあれば、スーツの中に水を溜めてスルっと手や足を通すのも手です。そのほか、手や足にビニール袋をかぶせて、滑らせて通すという方法もあります。インストラクターがいろいろなコツを知っていますので、相談してみましょう。

2.干すときは風通しの良い日陰で

ダイビング後に真水で洗い、直射日光を避けた風通しのよい場所に干します。直射日光を避けるのは、ゴムや生地の劣化を避けるためと、熱による接着剤の剥離を防ぐため。乾燥機、脱水機、アイロンもNGです。乾燥機や脱水機は強い力がかかるため、スーツが引きちぎられてしまうことがあります。ハンガーを使って、生地に負荷がかからないような形で干すようにしましょう。
日帰りツアーで少しでも早く乾かしたい時は、セームやタオルなどで水分をふき取ってから干すと効果的です。

3.長時間折りたたんだ状態のままにしないこと

スーツは折りたたんでしまうと、折った部分の生地がつぶれてしまい、保温性や耐久性を損なう原因となります。また、皺がついてしまい、見た目にも美しくありません。スーツを保管する際も、ハンガーにかけた状態で保管するのがベスト。針金ハンガーだと、ピンポイントで荷重がかかり、その部分に深い皺が入ったり、生地が傷んだり、接着剤が剥がれるなどの恐れもあるので、なるべく荷重の分散する厚手(肩幅の広い)タイプのハンガーを使いましょう。


ウエットスーツのお手入れポイント

濡れたままにしておくとカビが生えることもあるので要注意。水で洗ったら、風通しのいい日陰で乾燥させること。スーツ用の洗剤もあるので、久しぶりに使うときや、しばらく使わないときは、それを使ってしっかり洗いましょう。

また、ファスナーは構造上、塩がみや砂がみを起こすリスクがあるので、ダイビングの後のシャワー中に真水を当てながら動かして海水を洗い流すなど、しっかりとメンテナンスすることを心がけましょう。

協力:ワールドダイブ(株)、ジーディーアウトドア(株)

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