海を愛するあなたは、きっとマングローブも愛しているはずです。
熱帯・亜熱帯の100以上の国々の海岸線に生息するマングローブは、世界で唯一、海水の中で成長できる木です。水面の上には青々とした緑のキャノピー(葉っぱや枝が茂った冠部(かんぶ))を広げ、水面下では複雑に絡み合う根を張るマングローブの森は、まさに魔法のような場所です。多様な海洋生物にとっての重要な生息地を提供し、海岸線を守り、水質を改善し、莫大な量の炭素を蓄えるマングローブの森は、地球上で最も生産性が高く、生物学的に複雑で、美しい生態系のひとつです。
PADIは2020年に、マングローブの森をはじめとする沿岸海洋生態系の保護と回復を支援するため、「The Ocean Foundation」と提携しました。また、グローバルコミュニティのトーチベアラーが炭素排出量を削減・相殺できる機会を提供しています。
この記事では、マングローブの重要性と魅力について詳しく見ていきましょう。

マングローブは海のゆりかご
潮間帯という過酷な環境で生き抜くために、驚くべき適応能力を備えたマングローブの木々は、海と陸が出会う場所にユニークな生物多様性のホットスポットを生み出します。密集した絡み合う根は、カキや海綿動物から幼い無脊椎動物や魚まで、何千もの海洋生物にとって不可欠な生息地を提供します。実際、熱帯の魚種の最大4分の3が、幼少期にマングローブの生息地を必要としています。
熱帯地域では、マングローブ、海草藻場、サンゴ礁が連携し、健全な海洋生物の個体群を支えています。魚やカニ、ウミガメ、サメなどの海洋動物にとって、マングローブは「小学校」、海草藻場は「中学校」、サンゴ礁は「高校または大学」のような役割を果たしていると言えるでしょう。今度、サンゴ礁の上で泳ぐときは、その美しい海の生き物たちが幼少期を過ごしたマングローブに感謝の気持ちを向けてみてください。そして、もしマングローブ沿いの静かな水域に足を踏み入れる機会があれば、きっとその神秘的な魅力を肌で感じることでしょう。

マングローブの森は炭素を蓄えるスーパースター
地球の表面のわずか0.1%しか覆っていないにもかかわらず、マングローブの森は他のどの森林よりも多くの炭素を蓄える力を持ち、気候変動対策において極めて重要な役割を果たしています。実際、マングローブの森は、同じ面積の陸上森林と比べて最大10倍もの炭素を吸収することができます。
一部の地域ではマングローブの種が保護されていますが、世界の多くの地域でマングローブの森は深刻な脅威にさらされています。残念ながら、大規模なマングローブ伐採が持続不可能なエビや魚の養殖のために行われているのが現状です。マングローブの保護と再生を支援し、それを破壊する産業を支持しないことで、私たちは青い地球の未来を守る手助けができます。
マングローブは海岸線の守護者
海と陸が交わる場所に生息するマングローブの森は、波、海流、潮の流れによる海岸浸食を防ぐ重要なバリアとして機能します。その強靭な根のシステムは、波のエネルギーを吸収し、海岸線を安定させる役割を担っています。
気候変動の影響により、世界的に海面上昇が進み、暴風雨の勢力が増しています。しかし、熱帯・亜熱帯地域のマングローブの森は、こうした気候変動の脅威から脆弱な沿岸地域を守る役割を果たしています。さらに、マングローブは熱帯暴風雨による被害を受ける沿岸地域に対し、経済的な保護効果があることも示されています。
しかし、マングローブが伐採された地域では、暴風雨による高潮や浸食から海岸線を守るための重要な防壁が失われ、沿岸地域がより大きなリスクにさらされています。

マングローブと海、そして地球に愛を届けよう
健全なマングローブの森は、人類、海、そして地球全体の健やかな未来にとって不可欠な存在です。しかし、世界中でマングローブの減少が急速に進んでおり、私たちが協力してその価値を認識し、保護し、再生に取り組むことが何よりも重要です。あなたにもできることがあります。
- 実際にマングローブの森を訪れて、その魅力を体感してみてください。
- あなたの声で、マングローブの重要性を世界に伝えてください。
- The Ocean Foundationのカーボン・フットプリント・カリキュレーターを利用して、自分の二酸化炭素排出量を相殺し、海草やマングローブの再生プロジェクトを支援しましょう。
- 養殖エビや、伐採されたマングローブ地帯で育てられた魚を避け、環境に優しい選択をしましょう。
- 海と地球を守るグローバルなトーチベアラー・コミュニティに参加して、行動を起こしましょう!