(タイトル写真提供:Tim Taylor氏)
海洋探査と海洋保全の分野で、これほどまでに影響力を持つ名前はそう多くありません。伝説的なスクーバ・ダイバー、海洋生物学者、そして海洋学者であるシルビア・アール博士。海洋科学の先駆者であり、海のために尽力し続ける彼女が、PADI初のEmeritus AmbassaDiver(名誉アンバサダイバー)に任命されました。この栄誉ある称号は、海洋保全・探査・啓発における彼女の生涯にわたる功績を称えるものです。

受け継がれるインスピレーション
シルビア・アール博士がダイビングと海洋科学の世界に与えた影響は計り知れません。彼女は、ダイビング器材を使用して海洋生物を直接記録した最初の科学者の一人であり、革新的な深海探査を率いてきました。海を理解し、守ることへの尽力は、次世代への道を切り拓いています。
「アール博士は、PADIが掲げる理念を体現する存在です。彼女が未来のダイバーや環境保護活動家にインスピレーションを与え続けていることを、私たちは心から称えます。」とPADIワールドワイドのブランド&メンバーシップ担当最高責任者、Kristin Valette Wirth氏は語ります。「彼女は何十年にもわたり、あらゆる障壁を打ち破り、冒険を追求しながら海を守ることが可能であることを示してきました。彼女のレガシーをスクーバダイバー、そして海洋保護の象徴としてさらに広められることを光栄に思います。」


海洋保全における先駆的功績
シルビア・アール博士の長年にわたる功績は、海洋科学と保全への多大な貢献を示しています。
スクーバ・ダイビングの分野で先駆者であることに加え、彼女はアメリカ海洋大気庁(NOAA)初の女性主任科学者に就任し、伝統的に男性が主導してきた分野で画期的なマイルストーンを築きました。
1979年には、海底での最深歩行の記録を樹立。彼女の先駆的な精神はその後も続き、1992年にはDeep Ocean Exploration and Research(DOER)を設立し、有人潜水艇の開発と深海技術の発展を推進。人類と深海の関わりの可能性を広げました。
その後の5年間、ナショナルジオグラフィックとともに「Sustainable Seas Expeditions」を主導し、アメリカの海洋保護区(National Marine Sanctuaries)で重要な研究を実施。さらに、2009年には「Mission Blue」を設立し、海洋保護区(MPAs)の拡大と「ホープスポット(Hope Spots)」の創設に尽力しました。
また、彼女の卓越した業績は数々の賞として認められています。1998年には『TIME』誌の「地球のヒーロー」第1号に選ばれ、2009年にはTED賞を受賞。2014年には国連「Champion for the Earth」に認定されました。
これらの功績に加え、彼女は200以上の科学論文を執筆し、100回以上の海洋探査を指揮。約10,000時間の潜水記録を持ち、その揺るぎない功績は、今もなお海洋探査と保全活動を促進し続けています。彼女はまさに、海洋科学分野で最も影響力のある人物の一人と言えるでしょう。

次世代の海洋保護活動家を鼓舞する存在
2015年にスタートしたPADI AmbassaDiverプログラムは、海を体験し、探検し、守ることの大切さを広める影響力のある人々を称えてきました。シルビア・アール博士が初のPADI初のEmeritus AmbassaDiver(名誉アンバサダイバー)に任命されたことは、彼女が海洋保全とダイビング界の揺るぎない先導者であることを改めて証明するものです。
「PADI初のEmeritus AmbassaDiverに選ばれたことを光栄に思います」とアール博士は語ります。「PADIのチャンピオンとして、この名誉を活かし、海への敬意、愛、そして思いやりを広めながら、水中での冒険を求める人々に安全面での有益な指針を提供できればと思っています。」
シルビア・アール博士がPADI Emeritus AmbassaDiverに認定されたことは、単なる称号ではなく、世界中のダイビングコミュニティを海の保護へと導くムーブメントの一環でもあります。彼女のリーダーシップと情熱は、経験豊富なダイバーから初心者まで、多くの人々にインスピレーションを与え続け、海の守り手となるよう促しています。