その美しい姿と優雅な泳ぎで知られる海洋生物の代表的存在で、ダイバー憧れとなっている「マンタ」。
マンタはこれまで長い間、1属1種とされ、雑誌などでの表記も「マンタ(オニイトマキエイ)」といったように記載されていましたが、2009年になって、実はマンタはオニイトマキエイとナンヨウマンタの2種類の異なる種がいることを発見されました。
今回は、これらのマンタの違いについて探ってみたいと思います。
2種類のマンタの違い
外見の違い
まず、オニイトマキエイとナンヨウマンタの外見の違いについて見てみましょう。
オニイトマキエイ(学名:Manta birostris)は最大で6m以上になり、以下のような特徴があります。
①背中の白い斑紋の前縁が、口裂に沿って平行で直線的。
②口裂周囲に黒い部分が多い。
③第5鰓孔(腹側の鰓の孔で一番尾に近いもの)に接して黒い斑紋がある。
一方で、ナンヨウマンタ(学名:Manta alfredi)は、最大でも5m以内で、以下のようなポイントがあります。
①背中の白い斑紋の前縁が、後ろに向かって八の字にカーブ。
②口裂の周囲は白、もしくは薄い灰色。
③第5鰓孔に黒い斑紋がない、もしくはほんのわずか。
※模様には個体差があります。
生息域の違い
次に、生息地について見てみましょう。どちらのマンタも熱帯、亜熱帯、温帯の海に生息していますが、オニイトマキエイは、世界中の海の外洋エリアに生息しているのに対し、ナンヨウマンタはインド太平洋の沿岸性です。
食性や行動の違い
どちらのマンタも宙返りのような上下の旋回行動をし、動物プランクトンやオキアミなどの微小な生物を海水ごと飲み込み、フィルターでろ過して摂取することが主な食習慣です。集団で大きな円を描き食事をしたり、特にナンヨウマンタにおいては、二匹の個体が重なり合って食事するといった行動も確認されています。外洋を回遊するオニイトマキエイは単独で行動していますが、食事の際には、小さな群れを作ることもあるそうです。
こうして見ると、私たちが沖縄などでよく見ているマンタは「ナンヨウマンタ」ということですね。皆さんが今までに撮影した写真などあれば、チェックしてみるとおもしろいですよ。