海の中には、うっかり手を伸ばしたくなるようなカラフルで綺麗な生き物がたくさん生息しています。しかし「見るだけ。触れるのは禁止。」はダイバーの絶対ルール!

中には、触手や刺胞に毒を持った生き物もいるため、場合によっては、命を落とす可能性があります。しかし、このルールは、ダイバーの命を守るためだけのあるものではありません。

そこには、「水中生態系のバランスを守り、海洋生物を尊重する」といったより切実な理由があります。

このブログでは、生物たちの平穏を邪魔しようとする者たちに強烈なパンチをお見舞いする、有毒な海洋生物たちを紹介します。自然の自己防衛本能の驚くべきパワーと、適切な距離を保って観察すべき理由も併せて、お伝えします。


Underwater image of fire coral.

1. ヤツデアナサンゴモドキ

生息地:インド洋、大西洋、太平洋、カリブ海
毒を持つ理由:他のサンゴが先端に付着するのを防ぐため

”ファイヤーコーラル”の異名を持つサンゴ。見た目はサンゴですが、実はクラゲに近い生き物です。ヤツデアナサンゴモドキは、目には見えない刺胞の長い毛で覆われており、少しでも接触すれば刺胞から出される毒によって腫れとかゆみ、ひどい場合は火傷をしたような痛みに襲われます。


Stonefish

2. オニダルマオコゼ

生息地:インド洋、太平洋
毒を持つ理由:外敵から身を守るため

オニダルマオコゼは最も危険な有毒魚です。非常にカモフラージュに長けているため、石と間違えて近づくと痛い目に逢います。オニダルマオコゼは背ビレに猛毒を持っており、刺されると数時間に渡る激痛に襲われ、最悪の場合死に至ることも。


Image of a box jellyfish.

3. ハコクラゲ

生息地:北オーストラリア、インド洋、太平洋
毒を持つ理由:獲物捕獲のため

世界で最も危険な生き物の一つと言われているハコクラゲの毒は、3分で3000人を死に至らしめる程強力です。さらに恐ろしいことに、ハコクラゲは60本以上の透明な触手が5m以上まで成長し、肉眼で発見するのは至極困難。ハコクラゲに刺された場合、治療を受ける前に衝撃的な痛みからショック状態に陥り、心臓マヒで命を落とすこともあるとか。また、運よく助かったとしても刺された部分にひどい傷跡が残ることが多いです。


Image of a blue-ringed octopus exploring the reef.

4. ヒョウモンダコ

生息地:インド洋、太平洋(日本からオーストラリアまで)
毒を持つ理由:獲物捕獲のため

青のリング型の紋様をしたヒョウモンダコは、体長20cm以下と小型ですが、決して見くびってはいけません。ヒョウモンダコの毒は青酸カリの一万倍以上の毒性を持ち、数分で人を死に追いやります。危険が迫ったり興奮すると、青のリング状紋様が明るく光り、外敵に自分が有毒生物であることを知らせ、威嚇します。咬まれても最初は特に何も感じないですが、猛毒の唾液が傷口に入って呼吸困難に繋がる麻痺を引き起こし、命を奪います。


Image of sea snake swimming through the reef.

5. ウミヘビ

生息地:インド洋、太平洋
毒を持つ理由:獲物捕獲のため

ウミヘビの毒は陸に生息する蛇よりもさらに強力です。一般的にウミヘビはおとなしい性格の持ち主なので、刺激しなければ攻撃してきません。しかし万が一かまれると、約30分後に筋肉の麻痺、痛みが生じ、最終的に神経系の症状と呼吸麻痺の症状が現れます。


Macro image of a nudibranch.

6. ウミウシの仲間

生息地:世界各地
毒を持つ理由:外敵から身を守るため

ウミウシは大きな牙、触手、硬い殻こそないですが、器用な護身術を持っています。自分で毒を分泌するウミウシもいますが、一部のウミウシは食べたイソギンチャクなどの刺胞動物を食べることで、毒を体内に溜め込み、危険が迫ったとき自在に放出することができるのです。こんなに愛くるしい姿をしているのに毒を持っているなんて…と思われるかもしれませんが、滅多にダイバーに危害を加えることはないのでご安心を。


Underwater image of a starry pufferfish.

7. フグ

生息地:熱帯及び亜熱帯海域
毒を持つ理由:外敵から身を守るため

フグは水を飲んで体を何倍にも膨張させ、天敵から身を守ろうとします。フグ毒はテトロドトキシンという猛毒で、一気に30人もの成人男性を殺せる量を体内に蓄積しています。誤ってフグの毒部位を口にした場合、嘔吐に襲われ、マヒ・心不全状態に陥り、最悪の場合死に至ります。


Macro image of a cone snail on the reef.

8. イモガイ

生息地:インド洋、太平洋
毒を持つ理由:獲物捕獲のため

見た目は無害に見えますが、イモガイは「海の殺し屋」の異名を持つ世界で最も危険な生物の一つです。イモガイは毒線がついた銛状の歯舌で獲物に神経毒を注入して捕獲します。イモガイに刺されると、すぐには痛みを感じませんが、しばらくすると患部に激痛・腫れが生じ、重症の場合は麻痺、呼吸困難になり、最悪の場合命を落とすこともあります。


Image of a lionfish swimming along the coral reef.

9. ミノカサゴ

生息地:世界各地
毒を持つ理由:外敵から身を守るため

ミノカサゴは世界中の熱帯海域に生息する猛毒を持つ魚です。カラフルなヒレとトゲを持つ印象的な外見ですが、その毒棘は耐え難い痛みや腫れを引き起こし、まれに重篤なショックを起こすこともあります。カリブ海では、ミノカサゴは非常に侵略的な種として警戒されており、カリブ海の生態系に深刻な影響を与えています。


Image of a jellyfish sting.

万が一これらの有毒生物に刺された場合、速やかにエキジットし、応急処置を受けましょう。PADIのエマージェンシー・ファースト・レスポンス・コース(二次ケア)では、このような緊急事態が起こった場合の対処法を学べます。詳しくは最寄りのダイブショップまでお問い合わせ下さい。

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