PADIインストラクターやダイブショップのスタッフから「アドヴァンスド・オープン・ウォーター・ダイバーコース(AOW)」の話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。「ちょっと気になるけど、そもそもオープン・ウォーター・ダイバー(OWD)との違いって?」「どんなスキルや知識が新しく身につくの?」と疑問に思っている方もいるかもしれません。
このブログでは、OWDとAOWの違いをわかりやすく解説しながら、AOWで体験できる“ワンランク上のダイビング”の魅力についてもご紹介します。これからAOWへのステップアップを考えている方は、ぜひ最後までチェックしてみてください。
PADIオープン・ウォーター・ダイバー・コース:ダイビングを学ぶ
ダイビングを始める第一歩となるのが「PADIオープン・ウォーター・ダイバー(OWD)コース」。ここでは、これからコースを検討している方のために、よくある疑問にお答えしながら、OWDコースの流れや学べることをご紹介します。
Q. オープン・ウォーター・ダイバーコースでは何をするの?
このコースでは、ダイビングに必要な基本スキルと知識をしっかりと学びます。
まずは「知識の習得」からスタート。教材を読んだり、eラーニングで動画やクイズを通じて学習したりします。その後、インストラクターのもとで浅いプールや穏やかな海域(限定水域)でスキル練習を行い、最終的には実際の海でダイビングを体験する「海洋実習」に進みます。
Q. コースはどんな構成になっているの?
PADIオープン・ウォーター・ダイバーコースは、次の3つのパートに分かれています。
- 知識開発
ダイビングのルールや器材の使い方、安全対策などを学ぶ座学部分。自宅でマイペースに進められるPADI eラーニングを活用すれば、通学の負担も少なくなります。最後に簡単なクイズがありますが、間違えてもインストラクターが分かるまで説明してくれるので安心です。 - 限定水域ダイブ
プールや波のない浅場で、基本的なスキル(マスククリアや中性浮力など)を実際に練習します。 - 海洋実習ダイブ
インストラクターと一緒に実際の海に潜り、これまで練習したスキルを自然環境の中で活かします。
PADI登録店であれば、全国各地で受講可能です。eラーニングはPC・スマホ・タブレットに対応しており、通勤時間やスキマ時間を使って学習できるのも魅力。ライフスタイルに合わせて学習方法を選べるのも、PADIの人気の理由です。
なぜPADIのオープン・ウォーター・ダイバー・コースがいいの?
水中の世界は、人生の中でもっとも感動的な体験が待っている場所。PADIオープン・ウォーター・ダイバー(OWD)コースを修了すれば、世界中で認められたダイバーとしての第一歩を踏み出すことができます。
国際的に通用する“本物のダイバー”になれる
このコースを修了すると、水深18メートルまで自立して潜ることができる「PADIオープン・ウォーター・ダイバー」の認定を取得できます。
これは世界中で通用する認定証。認定後は、インストラクターがいなくても、バディ(他の認定ダイバー)と一緒に自由に潜ることが可能になります。
認定は一生有効!
PADIオープン・ウォーター・ダイバーの資格は更新不要の“生涯有効”な認定です。
ただし、しばらくダイビングから離れていた場合は、「PADI ReActivate™(リアクティベート)」などのリフレッシュプログラムを受けて、スキルを思い出すのがおすすめです。
PADIオープン・ウォーター・ダイバーになったら何ができる?

- 世界中の海が「旅の目的地」になる
ダイバーになれば、旅の選択肢も変わります。“どこに行くか”ではなく、“どの海に潜りたいか”で行き先を選ぶ旅へ。ガイドブックに載っていない水中の絶景や、生き物との出会いが、あなたの人生をもっと豊かに、立体的にしてくれます。 - 自分だけの“体験”を得て、人と共有できる
魚に囲まれる瞬間や、水中で感じる静けさ――海の中でしか味わえない特別な体験は、ダイバーになった人だけが知っている感覚です。写真や動画に残す人もいれば、言葉で誰かに伝える人もいます。記録するかどうかに関係なく、その体験そのものが、あなたの中に残ります。ダイビングを始めることで、人と話したくなる経験や、自分だけのストーリーがひとつ増える。ダイバーになる本当の価値のひとつです。
「水中の感動を自分の目で見てみたい」「自由に潜ってみたい」という方にとって、PADIオープン・ウォーター・ダイバーコースは、その夢への入り口です。次は、アドヴァンスド・オープン・ウォーター・ダイバーコースとの違いについても見てみましょう!
PADIアドヴァンスド・オープン・ウォーター・ダイバー・コース:ダイビングの楽しみの幅を広げる
「もっといろんなダイビングを経験してみたい!」そんなあなたにぴったりなのが、PADIアドヴァンスド・オープン・ウォーター・ダイバー(AOW)コースです。
このコースでは、5種類の「アドベンチャー・ダイブ」を通して、さまざまなダイビングのスタイルや環境を体験しながらスキルを磨いていきます。このコースの最大の魅力は、オープン・ウォーター・ダイバー・コースで学んで身につけた基本をベースに、異なる環境や道具を使いこなし、ダイビングの幅が広がっていくこと。例えば、オープン・ウォーター・ダイバーは最大水深18mまでしか潜れませんが、アドヴァンスド・オープン・ウォーター・ダイバーになれば、最大水深30mまで潜ることができます。沈船や深場に生息する生物を見たいという方にとっては、より深く潜れることはかなりのアドバンテージとなるでしょう。
アドヴァンスド・オープン・ウォーター・ダイバーコースでは何をするの?
このコースでは、5種類の「アドベンチャー・ダイブ」を体験します。アドベンチャー・ダイブとは、スキューバダイビングの特定のスキルやテーマに焦点を当てた実践的なダイビングのこと。それぞれのアドベンチャー・ダイブは、PADIスペシャルティ・コースの最初の1ダイブとしてもカウントされます。
各ダイブはPADIインストラクターが必ず同行し、質問に答えたり、スキルのコツを丁寧にアドバイスしてくれます。新しいスキルを習得しながら、自信をつけていける構成です。
アドヴァンスド・オープン・ウォーター・ダイバーコースのダイビングは、オープン・ウォーター・ダイバーコースで行う基本的なスキル練習とは異なり、より実践的で応用的な内容になります。
たとえば、必須の「ディープ・アドベンチャー・ダイブ」では、オープン・ウォーター・ダイバーの最大深度(18m)を超え、水深18〜30mの間で深場ダイビングに挑戦します。
もう一つの必須ダイブ「水中ナビゲーション・アドベンチャー・ダイブ」では、まず陸上でコンパスの使い方を学び、その後実際に水中でナビゲーション・キルを実践していきます。
アドヴァンスド・オープン・ウォーター・ダイバーコースの構成

PADIアドヴァンスド・オープン・ウォーター・ダイバー(AOW)コースでは、座学は最小限、筆記テストもありません。ただし、オープン・ウォーター・ダイバーコースと同様に、eラーニングまたは教材(マニュアル)を使っての事前学習が必要です。しかしこのコースの主な目的は、実際のダイビングを通して実践的なスキルを磨くことにあります。
必須ダイブと選択ダイブ
このコースでは、全部で5種類のアドベンチャー・ダイブを経験します。そのうち以下の2つは必須です:
- ディープ・アドベンチャー・ダイブ
- 水中ナビゲーション・アドベンチャー・ダイブ
残りの3つは、自分の興味に合わせて選べるのが魅力です。PADIが提供するアドベンチャー・ダイブは、なんと24種類!※は、担当インストラクターが資格を持っている場合にのみ選択可能なアドベンチャー・ダイブです
〇基本スキルを磨きたいダイバーにオススメ

ピーク・パフォーマンス・ボイヤンシー
(中性浮力)

ボート

水中ナチュラリスト

ドライスーツ※

サイドマウント※

ディレイド・サーフェス・マーカー・ブイ

フルフェイス・マスク※

セルフ・リライアント※

レスキュー
〇遊びのコツを習得したいダイバーにオススメ

デジタル水中イメージング

魚の見分け方

水中スクーター

AWAREサメの保護

Dive Against Debris
〇活動範囲を広げたいダイバーにオススメ

レック

ナイト

アルティチュード

サーチ&リカバリー

エンリッチド・エア※

アダプティブ・サポート

アイス※

ドリフト※

カバーン※

リブリーザー※
「どのダイブを選べばいいかわからない…」という方も、インストラクターが相談に乗ってくれるので安心です。このコースを通じて、より幅広い環境に対応できる経験豊富なダイバーへとステップアップしていきましょう!
どのダイブを選べばいいかわからないときは?
どのアドベンチャー・ダイブを選べばいいか迷ったときは、インストラクターに「やってみたいこと」や「不安に感じていること」を正直に伝えてみましょう。あなたの興味やスキルレベル、そしてこれまでの経験に合わせて、最適なダイブを提案してくれるはずです。
また、潜る海の環境によっても、選ぶべきアドベンチャー・ダイブは変わってきます。たとえば、流れがあるポイントならドリフト・ダイブ、魚影が濃い場所なら魚の見分け方、沈船があるならレック・ダイブなど、目的地に合った選択をすることで、より充実した体験ができます。
以下に、特に人気のあるアドベンチャー・ダイブの一部をご紹介します。
- デジタル・アンダーウォーター・イメージング:お気に入りの生き物や景色を、写真や動画で“記録”する楽しさを体験。編集の基礎も学べます。
- ナイト・ダイブ:日中とはまったく違う表情を見せる夜の海。マンタが舞う姿や、光るプランクトンなど、神秘の世界へ。
- レック(沈船)ダイブ:沈没船や飛行機など、歴史とロマンを感じるダイビング。人工リーフとしての生態系観察も魅力です。
- ドリフト・ダイブ:流れに乗って潜るスリル満点のスタイル。潮流のあるポイントを楽しむために不可欠な技術です。
- エンリッチド・エア(ナイトロックス):「もっと長く潜りたい!」という方におすすめ。酸素濃度を高めたエアを使うことで、安全に滞在時間を延ばせます。
- ピーク・パフォーマンス・ボイヤンシー(中性浮力):ふわりと浮いたままピタッと止まる…そんな“理想の浮力コントロール”を目指す人に。
- サーチ&リカバリー(捜索と回収):水中での捜索パターンや、リフトバッグの使い方を学び、万が一の落とし物にも対応できるように。
- 魚の見分け方:魚の名前や特徴がわかるようになると、1本1本のダイビングがもっと面白くなる!

PADIアドヴァンスド・オープン・ウォーター・ダイバーになると何ができる?
AOWに認定されると、ダイビングの世界が一気に広がります!最大水深は30メートル(100フィート)まで拡大。これにより、オープン・ウォーター・ダイバーでは行けなかった洞窟、沈船、ドロップオフ、海底渓谷などのダイナミックな地形にもアクセス可能になります。
よりチャレンジングで特別なダイブに参加できる
- ライブアボード(宿泊型ダイビングクルーズ)の多くは、アドヴァンスド認定以上が参加条件。長期滞在型の本格派ダイバー旅が可能に。
- 流れが強いポイントや、複雑なルートをたどるポイントでは、AOWの経験とスキルが必須。
次のステップへの道が開ける
AOWは、PADIスペシャルティ・コースへの橋渡しでもあり、レスキュー・ダイバーやPADIプロ(ダイブマスター、インストラクター)への第一歩でもあります。
ダイビングを趣味以上の“ライフスタイル”として楽しみたい方には、ぜひ踏み出してほしいステージです。
海外でPADI OWDになりました。日本でAOWは受講できますか?
はい、もちろん受講できます!
PADIのCカードは世界共通の認定資格です。そのため、海外でオープン・ウォーター・ダイバー(OWD)の認定を受けた方でも、日本国内のPADI登録ダイブセンターやリゾートで、問題なくアドヴァンスド・オープン・ウォーター・ダイバー(AOW)コースを受講することができます。
実際、日本国内では、留学中や旅行中にOWDを取得した後、「次は日本の海でステップアップしたい」というダイバーが多く、AOWコースだけを日本で受講する方も珍しくありません。海外では英語や他言語での受講だった方も、日本では母国語で細かい質問ができるので安心です。
PADI OWDとPADI AOWを連続して受講することはできますか?
できます。オープン・ウォーター・ダイバー・コースとアドヴァンスド・オープン・ウォーター・ダイバー・コースを連続して受講しているダイバーもいらっしゃいます。集中的に受講することで、通常よりスキル上達の時間が短縮されます。また、ダイビングポイントによっては、アドヴァンスド取得が必須のところもあるので、早く憧れのポイントで潜りたいという方は、ふたつのコースの連続受講をおすすめします。
OWDを取ってからしばらく潜っていません。それでもAOWコースは受けられますか?
はい、大丈夫です!PADIアドヴァンスド・オープン・ウォーター・ダイバー(AOW)コースは、「上級者向け」ではなく、実践を通して経験を積みながらスキルを伸ばすことを目的としたコースです。そのため、たとえダイビングにブランクがあっても、インストラクターのサポートのもと安心して受講することができます。
もし「スキルを忘れてしまったかも…」と不安がある場合は、事前に「PADI ReActivate™(リアクティベート)」を受けてからAOWに進むのがおすすめです。ReActivateは、OWDで学んだ基本的な知識やスキルを効率よく短時間で復習できるプログラム。AOW受講前に自信を取り戻す良い機会になります。
しばらく潜っていないという理由で受講を断られることは基本的にありませんが、安全のためにReActivateや事前練習を提案されることはあります。あなたの経験や不安に合わせて柔軟に対応してくれるのがPADIの特徴です。
まとめ
PADIオープン・ウォーター・ダイバー(OWD)は、スキューバダイビングの世界への第一歩。基礎知識と実技スキルを学び、安全に海を楽しむための土台を築くコースです。
一方、PADIアドヴァンスド・オープン・ウォーター・ダイバー(AOW)は、その基礎の上に“経験”を重ねていくコース。「アドヴァンスド」と名前はついていますが、上級者である必要はありません。むしろ、スキルを伸ばしたい・もっと海を楽しみたいという気持ちがあれば、OWDを修了してすぐに受講することも可能です。
AOWコースを通じて、あなたはさまざまなスタイルのダイビングに触れ、自分の「好き」や「得意」を発見できるはず。そして、認定を取得すれば、より深いポイントや、ライブアボード、沈船、ドリフトダイブなど、多くの新しいダイビングの扉が開かれます。
OWDは「始まり」、AOWは「広がり」。
次の海をもっと自由に楽しむために、今こそステップアップしてみませんか?
| 項目 | OWD | AOW |
|---|---|---|
| 潜れる最大深度 | 18メートル | 30メートル |
| 目的 | 基本スキルと知識の習得 | 実践を通じたスキルの拡張と経験の蓄積 |
| 受講条件 | なし(10歳以上から受講可能) | OWD認定が必要(取得直後でも可) |
| 所要日数の目安 | 3日程度 | 2~3日程度(ショップによる) |
| 学科テスト | あり(クイズ・ファイナルエグザム) | なし(事前学習のみ) |
| こんな人におすすめ | 初めてダイビングをする人 | 自信をつけたい人、新しいダイブを試したい人 |