海の中には、うっかり手を伸ばしたくなるようなカラフルで綺麗な生き物がたくさん生息しています。しかし「見るだけ、触れるのは禁止」はダイバーの絶対ルール!なぜなら触手や刺胞に毒を持った生き物に刺されると、場合によっては命を落とす可能性があるからです。これは海洋生物も守るためだけではなく、ダイバーの命を守るためのルールでもあるのです。

楽しく安全にダイビングをするためにも、以下の生き物を見かけたら要注意です!

1.ヤツデアナサンゴモドキ

生息地:インド洋、大西洋、太平洋、カリブ海
毒を持つ理由:他のサンゴが先端に付着するのを防ぐため

火傷サンゴ(英語名:ファイヤーコーラル)の異名を持つサンゴ。見た目はサンゴですが、実はクラゲに近い生き物です。ヤツデアナサンゴモドキは、目には見えない刺胞の長い毛で覆われており、少しでも接触すれば刺胞から出される毒によって腫れとかゆみ、ひどい場合は火傷をしたような痛みに襲われます。

shutterstock_143810173

2.ストーンフィッシュ(和名:オニダルマオコゼ)

生息地:インド洋、太平洋
毒を持つ理由:外敵から身を守るため

ストーンフィッシュは最も危険な有毒魚です。非常にカモフラージュに長けているため、石と間違えて近づくと痛い目に逢います。ストーンフィッシュは背ビレに猛毒を持っており、刺されると数時間に渡る激痛に襲われ、最悪の場合死に至ることも。

shutterstock_147523988 - Copy

3.ハコクラゲ・キロネックス

生息地:北オーストラリア、インド洋、太平洋
毒を持つ理由:獲物捕獲のため

世界で最も危険な生き物の一つと言われているハコクラゲの毒は、3分で3000人を死に至らしめる程強力です。さらに恐ろしいことに、ハコクラゲは60本以上の触手を持ち、体長5m以上まで成長するにも関わらず、肉眼で発見するのは至極困難。ハコクラゲに刺された場合、治療を受ける前に衝撃的な痛みからショック状態に陥り、心臓マヒで命を落とすこともあるとか。また、運よく助かったとしても刺された部分にひどい傷跡が残ることが多いです。

Photo: Guido Gautsch
写真提供:Guido Gautsch

4.ヒョウモンダコ

生息地:インド洋、太平洋(日本からオーストラリアまで)
毒を持つ理由:獲物捕獲のため

青のリング型の紋様をしたヒョウモンダコは、体長20cm以下と小型ですが、決して見くびってはいけません。ヒョウモンダコの毒は青酸カリの一万倍以上の毒性を持ち、数分で人を死に追いやります。危険が迫ったり興奮すると、青のリング状紋様が明るく光り、外敵に自分が有毒生物であることを知らせ、威嚇します。咬まれても最初は特に何も感じないですが、猛毒の唾液が傷口に入って呼吸困難に繋がる麻痺を引き起こし、命を奪います。

shutterstock_223929262

5.ウミヘビ

生息地:インド洋、太平洋
毒を持つ理由:獲物捕獲のため

ウミヘビの毒は陸に生息する蛇よりもさらに強力です。一般的にウミヘビはおとなしい性格の持ち主なので、刺激しなければ攻撃してきません。しかし万が一かまれると、約30分後に筋肉の麻痺、痛みが生じ、最終的に神経系の症状と呼吸麻痺の症状が現れます。

shutterstock_268557284

6.ウミウシ

生息地:世界各地
毒を持つ理由:外敵から身を守るため

ウミウシは大きな牙、触手、硬い殻こそないですが、器用な護身方を持っています。自分で毒を分泌するウミウシもいますが、多くのウミウシは食べた有毒スポンジやサンゴの刺胞(毒)を体内に溜め込み、危険が迫ったとき自在に放出することができるのです。こんなに愛くるしい姿をしているのに毒を持っているなんて…と思われるかもしれませんが、滅多にダイバーに危害を加えることはないのでご安心を。

shutterstock_252288745

7.フグ

生息地:熱帯及び亜熱帯海域
毒を持つ理由:外敵から身を守るため

フグは水を飲んで体を何倍にも膨張させ、天敵から身を守ろうとします。フグ毒はテトロドトキシンという猛毒で、一気に30人もの成人男性を殺せる量を体内に蓄積しています。誤ってフグの毒部位口にした場合、嘔吐に襲われ、マヒ・心不全状態に陥り、死に至ります。

shutterstock_182153618

8.イモガイ

生息地:インド洋、太平洋
毒を持つ理由:獲物捕獲のため

見た目は無害に見えますが、イモガイは「海の殺し屋」の異名を持つ世界で最も危険な生物の一つです。イモガイは毒線がついた銛状の歯舌で獲物に神経毒を注入して捕獲します。イモガイに刺されると、すぐには痛みを感じませんが、しばらくすると患部に激痛・腫れが生じ、重症の場合は麻痺、呼吸困難になり、最悪の場合命を落とすこともあります。

shutterstock_197380139

万が一これらの有毒生物に刺された場合、速やかにエグジットし、応急処置を受けましょう。

EFR

PADIのエマージェンシー・ファースト・レスポンス・コース(二次ケア)では、このような緊急事態が起こった場合の対処法を学べます。詳しくは最寄りのダイブショップまでお問い合わせ下さい。

Share This

関連記事