ダイビングを始める人の中には、泳ぎが苦手だったり、体力に自信がなかったりと、不安を感じている人もいるようです。皆さんに安心してダイビングを始めていただけるよう、よくある疑問・不安とそれに対する回答をまとめてみましたので、ぜひ参考にしてみてください。


Q. ダイビングに年齢制限はある?

A. ダイビングを始めるのに年齢の上限はありません。ただしダイビングは自然相手のアクティビティなので、場合によっては体力的にきつくなるときもあるかもしれません。体力に自信がない場合は、シニアコースやマンツーマンコースなど、自分のペースで無理なくじっくり受講できるコースを選ぶことをお勧めします。

一方、年齢の下限はダイビング教育機関によって異なりますが、PADIの場合は10歳からジュニア・オープン・ウォーター・ダイバーのCカードを取得することができます。家族みんなでダイビングを楽しむのもおすすめですよ。


Q. 目が悪くてもダイビングはできる?

A.目が悪くてもダイビングすることはできます。水中では物が約25%、近く、大きく見えるので、多少目が悪いくらいなら、そのままダイビングしても大丈夫でしょう。

普段メガネをしている人は、ダイビング中はマスクを使用するため、メガネは使えません。しかし、レンズ交換式のマスクなら自分の視力に合った度付きレンズが選べるので、マスクがメガネ代わりになります。乱視や老眼用のレンズもあるので、自分の目の状態に合わせて選ぶといいでしょう。コンタクトレンズをして潜ることもできますが、マスクが外れた場合や、急にマスクの中に水が入ったりした場合に流れてしまう可能性があるので注意が必要です。

Mask Defog

Q. 泳げなくてもダイビングはできる?

A.泳げなくてもダイビングを始めることはできますが、Cカードを取得してダイバーになるには一定の泳力が必要です。たとえばPADIのオープン・ウォーター・ダイバー・コースでは、

  • 生徒ダイバーはオープン・ウォーター・ダイブ2の前に、水泳具を使用せずに10分間の立ち泳ぎ/フロートを行なうことによって、足がつかない深さの水面に落ち着いて浮いていられることをデモンストレーションする。
  • 生徒ダイバーは認定を受ける前までに、水泳具を使用せずに200メートル/200ヤードの距離をノンストップで泳ぐか、マスク、フィン、スノーケルを使用して300メートル/300ヤードを泳ぐという課題を修了する。※コンディションによっては保護スーツを着用してもよいが、その場合にはウエイトをつけて中性浮力をとる。

という規準があります。泳ぐのが苦手な人は、あらかじめ講習を担当するインストラクターに相談し、プール講習の際などに泳ぎも教えてもらうといいでしょう。


Q. 日中だけでなく夜も潜れる?

A.ダイビングといえば、海の中に降り注ぐ陽の光を浴びながら楽しむイメージを持っている人が多いと思いますが、実際は日中だけでなく、「ナイトダイビング」といって夜の海に潜ることもできます。太陽の光の代わりに月の光が差し込んだり、夜光虫がキラキラ光っていたりと、とても神秘的です。そして魚が寝ている姿や夜行性の生物が動く姿も観察できて、昼のダイビングとはまた一味違った楽しみ方ができます。また満月の夜にはサンゴの産卵が見られることも。ダイバーになったら一度は夜の海の世界も体験したいものです。 

Night diving: a diver uses an underwater light to illuminate a coral head

Q. 雨が降っても潜れる?

A.雨が降ってもダイビングはできます。どのみち海に入って濡れるわけですから、まったく問題はありません。ただし、低気圧や前線の影響で風が強く吹き、波やうねりが大きい場合は、ダイビングは中止すべきです。ビーチダイビングの場合、エントリーやエグジットが非常に困難になりますし、ボートダイビングではダイビングスポットまで移動するのも大変です。また、万が一漂流した場合、波が高い状況だと、水面での捜索が難しくなります。同様に、あまりにも激しい雨で視界が不良の際も、ダイビングは中止するようにしましょう。天気ばかりは時の運ですが、できれば晴れているときに楽しみたいですね。


Q. ダイビングは冬にはできない?

A.「ダイビングは夏のレジャー」というイメージからでしょうか、冬の国内(特に伊豆半島や紀伊半島などの近場)ではダイビングができないと思っている人も多いようですが、冬でもダイビングはできます。とはいっても、夏用の薄いウエットスーツでは寒いので、厚手のウエットスーツやドライスーツを利用することになります。ドライスーツを着用すれば顔と手しか濡れないので、快適にダイビングを楽しむことができるでしょう。冬は透明度が上がり、ダイナミックな地形や、深海からやってくる珍しい生物を見るチャンスもあるので、ダイバーになったらぜひとも潜りたいところです。

冬のダイビングはココが魅力【伊豆半島編】

two diver wearing dry suit are ready to dive

Q. ダイビングはひとりでも始められる?

A.最初はどうしてもひとりだと心細く感じてしまいますが、心配はいりません。ひとりで参加しても、講習中にいろいろな人と知り合い、一緒に講習を受けていくうちに気の合う友人が自然とできていくはずです。Cカード取得後のファンダイビングやステップアップコースなどを通じてどんどん友だちの輪は広がっていくことでしょう。

ダイビングで仲のいい友人が増えていく理由のひとつに、「バディシステム」(ダイビングするときには必ず2人1組で潜らないといけない)というルールがあります。困ったときには手助けしあって、体験と感動を共有すれば、仲良くなることに間違いありません。

また、ダイビングショップではバーベキューやパーティーなど、ダイビングとは離れた場所でさまざまなイベントが開催されます。そこでも多くの人と交流が持てるのも魅力のひとつ。中には永遠のパートナーとめぐり合った人もいるようです。あなたも今すぐダイビングを通じて、たくさんの仲間をつくりませんか?

two female divers making a herat with thier hands underwater

Q. サメに襲われない?

A.1975年に公開された映画『ジョーズ』のインパクトがあまりにも大きく、すっかり「危険な生き物」というイメージが定着してしまったサメですが、世界に約500種いるといわれるサメのうち、人への危害に関与しているのはわずか10種ほど。ダイビング中に出会うサメの多くは非常に臆病な性質で、ダイバーの気配を感じると泳ぎ去ってしまいます。こちらからサメに危害を加えよう(むやみに追いかけたり、触ろうとしたり)としない限り、サメの被害に遭うことはまずないので、安心してダイビングを楽しみましょう。


Q. 水中で自分の意志は伝えられる?

A.「もし水中でなにかトラブルがあってもうまく伝えられるか不安」と怯える必要はありません。レギュレーターをくわえているので言葉を交わすことは難しいですが、学科講習でハンドシグナルといって手話のようなものを学びます。簡単な意思疎通であればそれで用が足りますが、もっと複雑なことを伝えたい場合は水の中でも書けるノートや、スレートというプラスチックの板を使って筆談できます。

海洋生物を表すハンドシグナル

hand signal from one diver to another

Q. 妊娠中や生理中に潜っても大丈夫?

A.子供ができたことに気がつかないような時期は、たとえ知らずに潜ってしまっても、そんなに心配はいりませんが、妊娠したことがわかったら、ダイビングは避けるべきです。妊娠が発覚した後、胎盤ができてからダイビングをした場合、胎盤の血管内に窒素が入ってしまうことが問題とされており、気泡で血管が詰まってしまったときにどんな影響が胎児に出るのか、まだはっきりとわかっていません。産まれてくる子供を第一に考えて、少しでも危険を伴うことは避けるべきでしょう。

一方、生理中にダイビングをしても特に体への影響はありません。ただ傷みを伴うときや、腰が重く感じるときは、体を冷やしてしまうとますますひどくなってしまうことも。恥ずかしがらずに、インストラクターに今日は生理であるということを伝えておいたほうが何かと安心です。長い日程で海外へダイビングに行くときなどは、薬を飲んで生理日をずらすこともできますので、専門のお医者さんに早めに相談しましょう。


Q. ダイビング中にトイレに行きたくなったら?

A.ダイビング中にトイレに行きたくなった場合、我慢して潜り続けることはストレスになり、ダイビングが楽しめないだけでなく、注意力が散漫になるなどしてトラブルにもつながりかねません。ガイドやバディに伝えて、ダイビングを切り上げるのがベストですが、ウエットスーツの場合は、どうしても我慢できなくなってしまったら、水中でそのまましてしまうのも手です(流れの下手で、グループから離れた場所でしましょう)。

一方、ドライスーツの場合は、ウエットスーツのように水中でそのまましてしまうというわけにはいきません。ガイドやバディに伝えて、すぐにダイビングを中止し、トイレに向かいましょう。どうしても心配な人は、大人用のおむつを着用して潜るという方法もあります。

よく「ダイビング中にトイレに行きたくなったら困るから」と、ダイビング前に水分を取らないようにしている人がいますが、これは減圧症のリスクを高めるのでNG。しっかりと水分をとったうえで、「ダイビング直前にトイレに行く」「防寒対策をして体を冷やさない」「利尿作用のある食べ物や飲み物を摂取しない」など、潜る前にしっかりとトイレ対策をしておくことがおすすめです。

ウェットスーツを着たままおしっこはアリ?ナシ?


Q. 船酔いしやすくても大丈夫?

A.ボートの上で下を向いていたり、細かい作業をすると酔いやすくなってしまいます。なるべく視覚が影響しないように、遠くのあまり動かないものや、景色を見るようにしましょう。器材のセッティングなどはボートに乗る前に準備し、フィンやマスクなどの軽器材もすぐに装着できるように用意しておくことがおすすめ。ボートに乗っている時間が長い場合は、ウエットスーツを腰までにする・ファスナーを開けておくなどして、少しでも体を締め付けないようにしておきましょう。慣れや精神的要素も大きいので、あまり船酔いしやすいと思い込まないことも大切ですが、不安があれば酔い止め薬を飲むのも手です。

ダイビングで船酔い、波酔いを防ぐ方法

seasickness while diving

準備はいかがですか?

ダイビングは素晴らしい体験であり、未知の世界を探検する絶好の機会です。しかし、その一方で初めてのダイビングには多くの不安や疑問が伴うことも事実です。皆さんの不安を少しでも和らげ、ダイビングの魅力を感じていただけるよう、このブログが役立てば幸いです。安全を最優先に、準備をしっかり整えて、素晴らしい水中世界を楽しんでください。海の中での新たな冒険が皆さんを待っています!

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