フィリピンは、世界中のダイバーが憧れるダイビング天国。セブやボホールの美しい海、モアルボアルのイワシ玉、マラパスクアのニタリ、プエルトガレラのカラフルなソフトコーラル…魅力は尽きません。そんなフィリピンの海をさらに深く楽しむためにおすすめなのが、PADIスペシャルティ・コース(SPコース)です。この記事では、フィリピンでのダイビングを最大限に楽しむための6つのSPコースをご紹介します。
ディープ・ダイバー
フィリピンの人気スポットには、水深18m以深にも見どころが広がるポイントが数多く存在します。深場ならではのダイナミックな地形や、回遊魚との遭遇が期待できます。ディープダイビングはフィリピンの海を存分に楽しむうえで欠かせない要素です。
しかし、空気の消費が早くなるだけでなく、窒素の影響も大きくなり、ディープ・ダイビングにはリスクがあります。そこで役立つのがディープ・ダイバーSP。このコースでは、深場での安全管理、残圧計やダイブコンピュータの使い方、緊急時の対応方法などを学びます。

特にフィリピンでのダイビング旅行では、「ここはディープが面白い」というポイントに出会うことが多いため、修了しているかどうかで潜れる世界が変わるといっても過言ではありません。水深18mの先に広がる光景を、安全に、安心して楽しむための必須スキルです。
ドリフト・ダイバー
セブやプエルトガレラなどフィリピンの人気エリアには、潮の流れを利用したダイナミックなドリフトダイビングのスポットが豊富にあります。特にセブ周辺では、外洋からの潮が入り込み、透明度の高い海に大群の魚や大物回遊魚が現れることもしばしば。そんな環境では、ドリフト・ダイビングのスキルがあると安全性と快適さがぐんと高まります。

ドリフト・ダイバーSPでは、流れに乗って効率よく移動する方法や、バディやグループとの合流テクニック、水面でのシグナルフロートの活用などを学びます。これにより、ただ流されるだけでなく、潮を味方につけて「楽しく・安全に」潜れるようになるのです。
さらに、ドリフト・ダイビングを快適にこなせるようになると、行けるポイントの幅が一気に広がります。流れが強めのエリアも安心してチャレンジでき、「流れがあるから行けない」ではなく「流れがあるからこそ面白い」という感覚に変わっていきます。
エンリッチド・エア・ダイバー(ナイトロックス)
フィリピンでのダイビング旅行は、1日に3~4本潜ることも少なくありません。せっかくリゾートに来たのだから、とことん海を楽しみたいですよね。そんなときに強い味方となるのが、エンリッチド・エア・ダイバー(ナイトロックス)SPです。

通常の空気シリンダーに比べて酸素濃度が高いエンリッチド・エアを使うことで、体内に蓄積する窒素を抑えることができ、減圧症リスクの軽減や水面休息時間の短縮につながります。マクロ天国として有名なエリアではじっくりとカメラを構えて潜ることが多いため、長く安全に水中に滞在できるメリットは大きいでしょう。また、個人差はありますが、疲れにくい・エキジット後の脱力感が少ないとも言われています。
エンリッチド・エアは世界的に広まりつつありますが、ショップによって取り扱いに差があります。ナイトロックスを使いたい方は、旅行前に対応状況を調べておくと良いでしょう。SPコースを修了しておけば、利用できる機会があったときにすぐに活用でき、ダイビングをより快適に楽しめます。
デジタル・アンダーウォーター・フォトグラファー
フィリピンの海は、マクロからワイドまでフォトジェニックな被写体が揃う、まさに水中カメラ派にとっての楽園です。ボホールやドゥマゲッティではウミウシやハゼなどのマクロ生物、モアルボアルでは圧巻のイワシ玉、マラパスクアでは優雅に泳ぐニタリ──カメラを持っていれば「シャッターチャンス」に事欠きません。

ただし、フィリピンの強い日差しや高温の環境では、炎天下での機材管理やセッティングに注意が必要です。カメラの曇りやバッテリーの消耗、ハウジング内への結露といったトラブルは、せっかくの撮影チャンスを逃す原因にもなります。
デジタル・アンダーウォーター・フォトグラファーSPを受講すれば、水中でのカメラ操作の基本だけでなく、光の扱い方や構図の工夫、さらに陸上でのセッティング方法やトラブル時の対処法までしっかり学べます。
せっかく訪れたフィリピンの絶景を、トラブルに惑わされず、シャッターチャンスを逃さずに残すためにも、このSPは強い味方となってくれるでしょう。
ボートSP
フィリピンでのダイビングは、多くの場合「バンカーボート」と呼ばれる独特のアウトリガー付きの船を利用します。日本や他のエリアでよく使われるダイビングボートとは造りが異なるため、初めて乗るときには少し戸惑うダイバーも少なくありません。

ボート・ダイバーSPでは、バンカーボートならではの乗り降りの仕方、器材の取り扱い、エントリー・エキジットの方法を事前に学ぶことができます。特に、はしごの形状や器材の受け渡し方、安定した姿勢での乗船テクニックを身につけておけば、現地で慌てずに行動でき、安心してダイビングに集中できるでしょう。
さらに、このコースではボート上での安全管理やマナーも学びます。限られたスペースでの器材の置き方や移動時の注意点を知っておくことで、同じ船に乗るダイバーやスタッフとの連携もスムーズになり、快適に過ごせます。
ピーク・パフォーマンス・ボイヤンシー(中性浮力)

フィリピンの海は、色鮮やかなサンゴ礁やマクロ生物が豊富。ハゼやエビ、ウミウシなど、砂地や岩陰に潜む小さな生物を観察・撮影する際に、安定した浮力があることは必要不可欠なスキルです。また、ただリラックスして泳ぎたい方にとっても、中性浮力の安定は快適さと環境保護の両立につながる大切なスキルです。
PPBスペシャルティでは、呼吸を使った微妙な浮力コントロール、フィンキックの効率化、ホバリングの練習などを通じて、無駄のない動きを身につけます。これにより、サンゴに触れてしまったり、砂を巻き上げて視界を悪くしてしまうリスクを大幅に減らすことができます。

