PADIプロフェッショナルの最高峰資格のひとつである、コースディレクターを目指すためのプログラム「コース・ディレクター・トレーニング・コース(CDTC)」が、マレーシア・コタキナバルにて2026年3月9日~15日の7日間にかけて開催されました。
本トレーニングには24カ国から48名が参加し、日本からは3名の候補者が挑戦。今回のCDTCでは、トルコから初の女性コース・ディレクター(CD)、スリランカでは、初のコース・ディレクターが誕生しました。


CDTCとは?
CDTCは、PADIインストラクターの中でも厳しい選考を通過した候補者のみが参加できる、ハイレベルなトレーニングプログラムです。出願にあたっては、コース実施経験やセミナーへの参加実績に加え、海洋環境保全活動への取り組みなども含めて総合的に評価され、こうした厳正な選考プロセスを経てはじめてコースへの参加が認められます。
プログラムでは、インストラクターを養成する「インストラクター開発コース(IDC)」を実施するために必要な知識や指導力、評価スキル、そしてリーダーシップを学びます。さらにCDTCでは、それらの教育スキルに加えて、ダイブセンターの運営やマーケティングといったビジネス的視点も重視されます。
CDTCは、PADIのダイビング教育の質を支える存在として、次世代のインストラクターを育てる役割を担うための重要なステップです。
日本から参加した新CDに聞く、CDTCで得た学び
今回のCDTCを修了し、新たにCDとしての一歩を踏み出した日本人メンバーたち。それぞれがこれまでの経験をもとに、新たなステージへと進みました。トレーニングを終えた今、何を感じ、どのような学びを得たのでしょうか。CDとなった彼らに、その想いを聞きました。

カレントブルー 小川 淳平さん

■ インストラクターとして活動する中で「次のステップに進みたい」と思った瞬間は?
お客様が少しずつできることを増やしていく姿を見たとき、自分ももっと自分自身の引き出しを増やし、もっと幅広くサポートできるようになりたいと感じたことが、次のステップに進みたいと思ったきっかけです。
■ 将来、自分のIDCを受けたインストラクターたちにどんな影響を与えたいですか?
常に新しいことに挑戦し続ける姿勢を持てるインストラクターになってほしいと思っています。うまくいかないことも含めて経験にしながら、自分なりに工夫して前に進んでいく。その積み重ねの中で、仕事としてだけでなく、ダイビングに関わること自体を楽しめるようになってもらえたら嬉しいです。
■ これからプロを目指す人にメッセージ
最初から上手くやろうとしなくて大丈夫です。むしろ失敗しながら覚えていく方が身につくことも多いです。大事なのは、分からないことをそのままにしないことと、少しずつでも経験を積んでいくこと。続けていけば必ずできることは増えていくので、焦らず一歩ずつ進んでいってください。
pole pole @ sea 山口 隆司さん

■ 「これは難しかった」と感じたところは?
日常業務と並行して準備を進める中で、学習時間の確保とその使い方に難しさを感じました。これはすべての候補生に共通する課題だと思いますが、eラーニングを進める中で、理解を深めるというよりも、どうしても読み進めることが優先され、結果として内容が十分に定着しないと感じる場面もありました。
限られた時間の中で、どのように学習を進めるか。残り時間と学習ペースのバランスを取りながら、自分のスケジュールに合わせて計画的に取り組む必要があると感じました。
■ CDTCを受ける前の自分にアドバイスするとしたら?
「準備項目をリスト化し、優先順位をつけて進めておくこと」です。国内での書類提出から本国結果通知までの間に、どれだけ準備を進められるかが重要になります。例えば、装備や持ち物については、分かっているつもりでも意外と判断に迷うことが多く、プロとして必要な基準と、現実的な荷物制限とのバランスを考える必要がありました。
こうした準備をしっかり行っておくことで、現地でも余計な不安にとらわれることなく、トレーニングに集中できる。事前の準備は、そのまま現地での安心感につながると感じました。
■ CDTCに挑戦しようか迷っている人に一言。
迷っているなら、ぜひチャレンジしてほしいです。参加費用などを理由に悩む方も多いと思いますが、CDTCで得られる経験や気づきは、金額では測れない価値があります。OWSIとして活動しているのであれば、コースディレクターを目指すという姿勢そのものに大きな意味があると感じました。実際に参加してみて、インストラクターとしての在り方や、ダイビングに向き合う意識そのものが大きく変わりました。
Diving Lounge aqua QUEST 澤田 淳さん

■ コースディレクターを目指そうと思ったきっかけは?
もともとマスター・インストラクター(MI)として活動していました。他の教育機関のインストラクター・トレーナー(CDと同じレベル)としての経験もありましたが、その中で改めて、ブレのない統一された規準と評価の重要性を実感しました。だからこそ、世界最大のダイビング教育機関であるPADIにおいて、統一された規準のもとでインストラクターを育成する仕組みを深く学びたいと思い、CDを目指しました。
■ トレーニング中、印象に残っている出来事は?
これまで自分が行ってきた評価方法と、最新の評価規準との違いを知ることができたことや、他の候補者のスキルの組み立て方や伝え方に触れられたことなど、毎日が新しい発見の連続でした。また、コース中やその後の時間を通じて、他国の候補者と交流できたことも強く印象に残っています。協力し合い、プライベートな時間を共有し、達成を一緒に喜ぶ中で、言語の壁が少しずつなくなっていく感覚を実感しました。
■ コースディレクターとしてどんなインストラクターを育てたいですか?
自分自身が若い世代の成長の妨げにならないよう、常に新しい情報を取り入れながら、カウンセリングベースで肯定的に次世代を育成していきたいと考えています。一人ひとりの個性や可能性を引き出しながら、安心して成長できる環境をつくれるインストラクターを育てていきたいです。
PADIの教育は、統一されたプログラムのもとでコースディレクターが育成され、そこからインストラクターが生まれ、さらに多くのダイバーへとつながっていきます。こうした一貫した教育の流れがあるからこそ、世界中どこでも安心して学び、安全にダイビングを楽しむことができるのです。
これからダイビングを始めたい方も、ステップアップを考えている方も。まずは自分のペースで、次の一歩に挑戦してみてください。