10月4日(土)、AWARE MONTHの最後を飾るイベント「平沢サンゴ植樹~海に刻むひと枝の願い」を平沢マリンセンターご協力のもと開催しました。
当日は約90名が参加。今回からはマーメイドも植え付けに参加可能となり、浅場に新設された棚での活動が実現しました。
また、東海大学のサンゴ研究者による事前レクチャーも実施し、「遊び」と「学び」が融合した一日となりました。
沖縄だけじゃない。伊豆の海にも“希望の枝”を
「サンゴの植樹=沖縄」と思われがちですが、関東ダイバーに馴染み深い伊豆半島・平沢でも体験可能です。
PADI AWARE(日本)は2023年より平沢でのサンゴ植樹イベントを継続開催しており、回を重ねるごとに参加者も増加しています。
当日は、サンゴの生態や平沢の環境、保全方法について専門家がレクチャー。
「ただ植える」のではなく、「理解して植える」―― 知行合一(ちこうごういつ)の精神が息づく貴重な体験です。






事前レクチャー担当:中村 雅子 先生 東海大学 教授・博士(理学)
専門分野は、「海洋生態学、群集生態学、幼生生態学」。サンゴをはじめとした底生生物群集に関する生態学的研究を行なっています。スクーバ・ダイビングで、伊豆、高知、西表などに生息する造礁サンゴを対象とした幼生加入量調査、群集構造調査を始めとして、造礁サンゴと捕食生物の関係、空間競争相手との関係などについての研究も行なっています。
今年は、平沢のサンゴの産卵に関する研究を学生らが中心となって実施しています。

水中を舞うマーメイドも参戦
平沢マリンセンターのご厚意により、水面近くに新たな植樹棚を設置。
これにより、スクーバダイバーだけでなく、マーメイドやスキンダイバーも活動に参加できるようになりました。
当日は、マーメイドたちが優雅に泳ぎながら植え付けを行ない、海中に幻想的な光景を描きました。






撮影:東洵也
折れたサンゴが語る“海の真実”
PADI AWARE(日本)がサポートする沖縄・恩納村での「チーム美らサンゴ」では、養殖した親サンゴを資格のある漁師さんが細かく分けて植え付けます。
一方、平沢では「折れて海底に落ちているサンゴ」を拾い、再び植え付けるという独自の手法を採用。
なぜサンゴは折れているのか――。
その問いを通じて、自然の摂理と人の営みが交差する現実を見つめます。
東海大学・中村先生によれば、台風などの自然要因だけでなく、人為的な影響も少なくないとのこと。
潜水エリア付近に折れたサンゴが多いことからも、私たちダイバー自身の行動が問われています。
フィンの一蹴、ゲージやオクトパスのホールドが未来を変える――そう意識するだけで、守れる命があります。
装備や姿勢を今一度見直し、“心して潜る”ことの大切さを思い出したいものです。



成長を見守る、海との約束
過去に植え付けたサンゴたちは確実に成長しています。
今回植え付けたサンゴ枝は、金属棚から移動させた後も継続してモニタリングを実施予定です。
PADIジャパン公式サイト内に、成長過程を追う特設ページを公開予定。参加者は自らの植えた枝の変化を確認でき、次の海へと願いを繋げます。
ひと枝のサンゴに込めた願いは、小さくとも確かな希望の灯。
千里の道も一歩から。
私たち一人ひとりの行動が、やがて海の未来を変えていきます。









ご協力いただいたショップ、団体の皆さま
ザ・ダイブス/マレカカス27/湘南DIVE葉山タンクサービス/S2CLUB/Magダイビングスクール/ブルーコーナー/オーシャンドリーム/ブルーラボ
東京一魚潜水倶楽部/凪ダイビングスクール/Marmeid Photo Team/人魚の学校/ダイブハウスリプラ/エンジェルマリン





