周囲を海に囲まれた日本には、個性豊かなダイビングエリアがいっぱい。日帰りで気軽に行ける場所にも、見どころ満載の海があるのです。第6回は伊豆半島東エリアのダイビングエリアを紹介します。
関東や東海だけでなく、関西・中部のダイバーも訪れる伊豆半島は、まさに日本のダイビングの中心的存在となっています。半島を取り囲むようにダイビングエリアが並んでおり、見どころはさまざま。大物、回遊魚からマクロ生物、迫力の地形にソフトコーラルの群生まで、あらゆるダイバーを満足させる要素を持っています。東京からのアクセスも良い伊豆半島東側のエリアは、海底環境の豊かさが魅力で、ビーチ、ボートそれぞれでバラエティ豊かなダイビングを楽しむことが可能。観光地として人気の場所も多く、アフターダイビングも充実した時間を過ごすことができます。
熱海
熱海は東京から新幹線で約50分とアクセス抜群のダイビングエリア。港からわずか数分の場所に位置するダイナミックなポイントの数々が魅力で、日本最大級の沈船「旭16号」をはじめ、ソフトコーラルが華やかな「ソーダイ根」、入り組んだ地形が特徴の「ビタガ根」、冬季限定の「小曽我洞窟」など、バリエーション豊かに楽しむことができます。魚影も濃く、一年を通して見どころが満載。比較的深度のある場所が多いので、ディープトレーニングを受けてから潜ることがおすすめです。アフターダイブは温泉と新鮮な魚介が楽しめるのも熱海ならではの醍醐味といえます。


人気ダイビングポイント:沈船
国内最大級の沈船「旭16号」は、全長81mに及ぶ壮大なレックダイビングポイント。沈められてから年月を経た沈船は、季節ごとにさまざまな生物が集まる格好の漁礁となっています。沈船が沈んでいるのは水深20〜35mの砂地で、潮当たりが良いためソフトコーラルが繁茂し、周囲にはサクラダイや回遊魚の群れが泳ぐほか、クダゴンベやエビ・カニなどのマクロ生物も観察可能。水深がやや深いため、ダイブコンピュータでの管理やこまめな残圧確認が重要となります。沈船内部への進入は禁止されているので、ガイドの指示に従いながら慎重に楽しむようにしましょう。

アクセス
車:東京から約1時間30分。東名高速道路→厚木IC→小田原厚木道路→西湘バイパス→国道135号線経由。
電車:東京駅から新幹線で約40〜50分。熱海駅からタクシーで約10分、またはバスで「熱海港バス停」下車。
初島
初島は、熱海の沖合約10kmに浮かぶ小さな島で、リゾート気分を満喫できるダイビングエリア。熱海港や伊東港から定期船で約23〜30分とアクセスが良く、都会の喧騒を離れたのんびりとした雰囲気が魅力です。島の周囲は急深で潮通しが抜群なため、サメや回遊魚の群れ、ソフトコーラルの群生など、ワイドからマクロまで楽しめる水中世界が広がっています。ビーチダイビングながら魚影が濃く、透明度も比較的安定しているため、年間を通じて快適なダイビングが可能。ビーチダイビングがメインですが、ボートダイビングを楽しむこともできます。
人気ダイビングポイント:フタツネ
初心者から上級者まで楽しめる、初島の人気ダイビングポイント。ダイビングセンターの目の前からエントリーするビーチポイントは、ネコザメやサカタザメなど大型のサメ・エイの仲間が生息し、イサキやキビナゴ、カンパチなどの群れが次々と現れるダイナミックな環境となっています。ゴロタの隙間にはジョーフィッシュやカエルアンコウなどのマクロ生物がすんでおり、夏にはアオリイカの産卵、冬には「ピカチュー団地」と呼ばれるウデフリツノザヤウミウシの大群が見られます。潮の流れは穏やかで、エントリー・エキジットのスロープも使いやすいため、初心者にも安心。季節ごとの表情を楽しみながら、何度でも潜りたくなる魅力に満ちています。




アクセス
車:東京から約1時間40分。東名高速道路→厚木IC→小田原厚木道路→国道135号線→熱海港へ。熱海港から定期船で約30分。
電車:東京駅から新幹線で約40分。熱海駅からバスで約15分、熱海港から定期船で約30分
宇佐美
宇佐美は首都圏からのアクセスが良く、ビーチとボートの両方を楽しめるダイビングエリア。特にネコザメとの遭遇率が高く、「ネコザメ城」と呼ばれるビーチエリアでは高い確率でネコザメを観察することができます。エイやウミガメもよく見られ、マンボウが現れることも。ソフトコーラル畑が広がる美しい海中景観も魅力で、キイロウミコチョウをはじめとするウミウシやマクロ生物を豊富に観察でき、フィッシュウオッチングにも最適。初心者でも安心してエントリーできる水中ガイドロープが完備されており、ボートポイントは港から5分ほどと移動もスムーズです。ドリフトダイビングを楽しめるのも魅力で、ビギナーからベテランまで幅広く楽しめるエリアとなっています。

人気ダイビングポイント:カーゴ石
青い海と白い砂地の美しいコントラストを楽しみながら、大物からマクロ生物まで幅広く観察できるボートポイント。砂地には1mを超えるネコザメやカスザメ、ドチザメが生息し、時にはアオウミガメの姿も。イソギンチャクにはクマノミやカクレエビが隠れ、甲殻類やウミウシも豊富で、フィッシュウオッチングや水中写真撮影に最適です。北から南に流れる潮を利用してドリフトダイビングも楽しめ、ブイまでの移動距離も短く快適。初心者から上級者まで楽しめる魅力満載のポイントです。


アクセス
車:東京から約2時間。東名高速道路→厚木IC→小田原厚木道路→国道135号線経由。
電車:熱海駅から伊東線で約17分、宇佐美駅下車。駅からタクシーで約5分。
伊東
温泉地としても知られる伊東は、東伊豆屈指のダイナミックなボートダイビングが楽しめるエリア。沖合の手石島周辺には火山岩が作り出した壮大な地形が広がっており、水深70mまで落ち込むドロップオフやアーチ、ケーブなどの迫力ある水中景観が特徴です。潮流が豊かで新鮮な栄養分が供給されるため魚影が濃く、マンボウやウミガメ、大型回遊魚の群れが続々登場。過去にはマンタやジンベエザメが姿を見せたこともあり、高いポテンシャルを持っています。また、ソフトコーラルやイソギンチャクが色鮮やかに広がる幻想的な景観も魅力のひとつ。フィッシュウオッチングや水中写真撮影にも最適で、ワイドもマクロも楽しめる豪華な海が広がっています。
アクセス
車:東京から約2時間30分。東名高速道路→厚木IC→小田原厚木道路→国道135号線経由。
電車:熱海駅から伊東線で伊東駅下車。伊東駅からバスまたはタクシーで約10〜20分。
人気ダイビングポイント:白根
南北に広がる巨大な根で、北・中・南の3エリアに分かれており、イソギンチャクやソフトコーラルの群生、水路など見どころが多彩。年間を通じて魚影が濃く、迫力のあるシーンが楽しめます。特に南エリアには水深70mまで落ちるドロップオフがあり、キンギョハナダイの華やかな群れのほか、カンパチ、ワラサなどの大型回遊魚の群れも登場。ウミガメ、クエ、ハタ、ときにはマンタやハンマーヘッドシャーク、メジロザメも姿を見せます。マクロ生物も充実しており、フィッシュウオッチングにも最適。伊東を代表する人気ポイントとなっています。
川奈
川奈は都心から約2時間半とアクセスが良く、ビーチとボートの両方を楽しめる人気のダイビングエリアです。漁師町ならではの豊かな海には、季節ごとに多彩な生物が現れます。遠浅で穏やかな湾内のビーチは初心者でも安心して潜ることができ、岩礁域・砂地・ドロップオフとバリエーション豊かな環境が広がっています。ウミガメが住み着いており、運が良ければ数個体が見られることも。一方、ボートポイントはソフトコーラルの群生や回遊魚の群れが見どころで、期間限定で潜れるポイントも人気となっています。水中ガイドロープが完備されているため、安全にダイビングを楽しめるのが魅力。フィッシュウオッチングや水中写真派にも人気で、初心者からベテランまで満足できるダイビングエリアです。
人気ダイビングポイント:川奈ビーチ
遠浅で初心者から上級者まで楽しめる魅力的なビーチポイント。岩礁域、砂地、砂泥、ドロップオフなど多彩な環境が広がり、生物も豊富。右手にはゴロタと岩礁があり、カエルアンコウやミジンベニハゼ、アジやキビナゴの群れが観察できます。左手の砂泥エリアでは珍しいハゼ類が次々と登場し、東伊豆では貴重な生態系を楽しめます。沖に進むと隠れ根があり、ウミガメにも高確率で遭遇可能。毎年初夏には産卵床が設置され、アオリイカの産卵シーンを間近で観察できます。初心者でも安心してエントリーできるスロープと手すりが完備されており、フォト派にも最適なダイビングポイントです。
アクセス
車:東京から約2時間30分。東名高速道路→厚木IC→小田原厚木道路→国道135号線経由。
電車:熱海駅から伊豆急行線で川奈駅下車。川奈駅からタクシーで約3分。
富戸
富戸は伊豆半島東海岸の相模湾に面し、初心者から上級者まで楽しめる人気のダイビングエリア。東伊豆を代表する2大ビーチ「ヨコバマ」「脇の浜」は急な深度変化がなく、水深6〜8mから砂地が広がり、多様な生物をじっくり観察できます。特に6〜8月にかけて見られるアオリイカの産卵は圧巻で、ビーチダイビングでも間近で楽しめるのが魅力。15カ所以上のボートスポットではダイナミックな地形やソフトコーラル、濃い魚影が見どころで、春はトビエイやドチザメ、秋には季節来遊魚も豊富に現れます。冬場の透明度は抜群で、キアンコウなどの大物を狙うチャンスも。エキジット後は、スーツのまま入れる名物温泉「温泉丸」で体を温め、快適なリゾート気分を味わえるのも富戸ならではの楽しみです。

人気ダイビングポイント:ヨコバマ
幅広いダイバーが楽しめる人気のビーチポイント。水深30mまでの岩場と砂地には、大物からマクロ生物まで幅広い種類の魚が生息し、季節によって異なる表情を見ることができます。浅場ではイソギンチャク畑にクマノミが群れ、砂地ではキビナゴやスズメダイの群れが迫力満点。沖合では共生ハゼやカエルアンコウ、時にはカスザメやサカタザメなどの大型種も登場します。潮位が高い時のみアクセスできる「富戸ホール」は、幻想的な光景が広がり冒険気分満点。秋にはブリやカンパチ、10月にはボラの大群、冬はマンボウや深海魚の姿も。穏やかな環境で魚影が濃く、水中写真やフィッシュウオッチングにも最適なポイントです。



アクセス
車:東京から約2時間30分。東名高速道路→厚木IC→小田原厚木道路→国道135号線経由。
電車:熱海駅から伊豆急行線で富戸駅または城ヶ崎海岸駅下車。富戸駅からバスで約5分、城ヶ崎海岸駅からタクシーで約5分。
伊豆海洋公園
伊豆海洋公園は、富士箱根伊豆国立公園の城ヶ崎海岸内に位置する人気のダイビングエリア。約4000年前の大室山の噴火によって流れ出た溶岩が形成したダイナミックな地形が特徴で、ゴロタ石や巨大なドロップオフ、砂底など多彩な水中環境が広がります。ビーチエントリーながら、ボートダイビング並みの迫力ある地形と豊富な生物に恵まれ、ブリやヒラマサの群れ、クエやコブダイ、マクロ派に人気のカエルアンコウやウミウシ、さらにはフリソデエビなど、幅広い種類を観察可能。また、水中ポストが設置されており、クリスマスには水中ツリーも設置されるなど、ユニークな水中景観も楽しめます。施設面も充実し、シャワーや更衣室のほか、講習・練習向けのプールも完備。東京から約2時間の好アクセスに加え、温泉やグルメも楽しめるため、多くのダイバーから人気を集めています。


人気ダイビングポイント:1の根
伊豆海洋公園のビーチポイントは広大で、コースのバリエーションも豊富。人気なのは、沖に向かって右手にある「1の根」で、水深5〜30mの広範囲に渡り、大物からマクロ生物まで種類が豊富で、何度潜っても飽きることがありません。根周りではカエルアンコウやハナタツ、砂地ではクエのクリーニングステーションが見られ、毎年5月半ばから9月頃まではアオリイカの産卵ショーが開催されます。先端の離れ根にはキンギョハナダイやクロホシイシモチが群れ、ウミウシの種類も豊富。ときに流れがあることもあるため、エアの残量やダイブコンピュータのチェックを忘れず、安全に楽しみましょう。


アクセス
車:東京から約2時間30分。東名高速道路→厚木IC→小田原厚木道路→国道135号線経由。
電車:熱海駅から伊東線で伊東駅、伊東駅から伊豆急行線で伊豆高原駅へ。伊豆高原駅からバスで約9分。
稲取
伊豆半島東海岸の稲取は、温泉情緒あふれる町並みと、新鮮な海の幸が魅力のエリア。ダイビングエリアとしては全長約700mもの広大な「志津摩ビーチ」や、ウミガメとの遭遇が期待できる「藤三ビーチ」などのポイントがあります。伊豆特有の北東風が吹くほど海況が安定する特徴があり、プロカメラマンも驚くほど美しい砂地が広がっているのが特徴。ネコザメやトビエイ、アオウミガメなどの大物との出会いも期待できるほか、珍しい生物が観察できることもあります。稲取温泉に浸かりながら、自然の魅力を存分に味わえるのがこのエリアの大きな魅力。休日にはダイビングと温泉を楽しみ、のんびり過ごしてみてはいかがでしょうか。漁港にある稲取港は沖の向きが異なりどちらかのポイントがOPENしている特徴があるダイビングエリアとなります。

人気ダイビングポイント:藤三ビーチ
稲取銀水荘前に広がる、初級者から上級者まで楽しめるビーチポイント。最大水深は17mほどで、白い砂地が広がり、青い海との美しいコントラストが魅力的です。流れがほとんどないため、ビギナーダイバーにもおすすめ。キイロウミコチョウなどのマクロ系の生物に加え、ドチザメやサカタザメ、トビエイなどサメやエイの仲間、ときにはウミガメとの遭遇も期待できます。水中ガイドロープが整備されており、ナビゲーションがしやすいのも魅力です。


アクセス
車:東京から約3時間。東名高速道路→厚木IC→小田原厚木道路→国道135号線経由。
電車:熱海駅から伊東線で伊東駅、伊東駅から伊豆急行線で伊豆稲取駅下車。駅から送迎あり。
菖蒲沢
東伊豆の最南端に位置する菖蒲沢は、歴史あるダイビングエリア。河津桜で知られる河津町にあり、2月上旬から3月上旬にかけて開催される河津桜まつりは、アフターダイブの楽しみとしても人気があります。ビーチポイントは遠浅で、セルフダイビングや講習に適しており、初心者でも安心。コンクリートスロープのエントリー口から入ると、透明度の高い海が広がり、ゴロタや白砂の幻想的な景観が魅力となっています。また、ボートポイント「沈船」では、水深24m付近に船が沈んでおり、操舵室に入る冒険的な楽しみもあります。さらに、ダンゴウオやトビエイ、アオウミガメなど多様な生物との遭遇も期待でき、ナイトダイビングも一年中楽しめるため、ビギナーからベテランまで満足できるエリアとなっています。
人気ダイビングポイント:沈船
港を出港して約3分で到着するボートポイント。ロープ潜降が基本で、潜降ロープも沈船の真横まで伸びているので、初心者から安心して潜ることができます。全長約20mと決して大きくはありませんが、そのままの姿を残しているので操舵室に入ることができ、船長気分を味わうことも。ネンブツダイやキンメモドキなどが群れており、多い時は沈船を埋め尽くすほどの群れになります。船体にはソフトコーラルなどが定着しており、カエルアンコウ、各種ウミウシ、ハゼ、甲殻類などを見ることができ、マクロ派も楽しめます。
アクセス
車:東京から約3時間30分。東名高速道路→新東名高速道路→伊豆縦貫道→国道135号線経由。
電車:熱海駅から伊東線で伊東駅、伊東駅から伊豆急行線で河津駅下車。駅からタクシーで約10分。
赤沢
赤沢は東伊豆の中心に位置し、温泉地や別荘地としても人気のある緑豊かなエリア。ダイビングエリアとしても歴史があり、ビーチダイビングとボートダイビングの両方を楽しむことができます。北東の風に強く、入り組んだ地形と防波堤に囲まれた穏やかな海で快適に潜れるのが魅力。海岸線が南向きで黒潮の影響を受けるため、南方系の魚が多く生息し、クダゴンベやレンテンヤッコ、ハナミノカサゴ、アオウミガメなどが見られるほか、水深30m台以浅で深場のハナダイやスズメダイが群れる光景は圧巻です。スキルや目的に合わせたスタイルで楽しむことができるため、初心者から上級者まで満足できるダイビングエリアとなっています。
人気ダイビングポイント:ビーチ
最大水深12mで、流れがほとんどなく、砂地が広範囲に広がっているのが特徴。器材を背負ってすぐにエントリーすることができ、エントリー口には手すりも設置されているため、講習やスキルアップに最適です。三角パイプや砂地のロープにはイソギンポやニジギンポが見られ、砂地にはアカエイやウチワザメが潜んでいることも。また、事前予約でナイトダイビングも可能で、深海性の生物との出会いも期待できます。
アクセス
車:東京から約2時間30分。東名高速道路→厚木IC→小田原厚木道路→国道135号線経由。
電車:熱海駅から伊東線で伊東駅、伊東駅から伊豆急行線で伊豆高原駅下車。駅からバスで約9分、またはタクシーで約7分。