私たちが行うすべての活動には、ある程度のリスクが付きものです。仕事への通勤、ジョギング、あるいは一息で深い海に潜る場合でも、常にリスクがあります。フリーダイビングは何世紀にもわたって存在してきましたが、最近になって一般的になり、メディアで取り上げられるようになりました。残念なことに、このような報道の多くは、何か悲劇的なことが起こったときにしか行われません。この記事では、フリーダイビングは危なくないのか?という問いに答え、関連するリスクをいくつか軽減する方法を一緒に見てみましょう。
アメリカ国立衛生研究所(NIH)は、「確かにフリーダイビングは過酷な環境で行われるスポーツであり、経験の浅い、訓練されていないフリーダイバー、または競技中に重大な負傷や死に至ることはある。しかし、適切な訓練を受け、適切な安全対策を講じることで、被害のリスクを軽減することができる。」と述べています。
彼らはフリーダイビングの危険が高まる主要な理由を挙げています:「環境」、「トレーニング不足」、「未経験」そして「大会」です。以下に、フリーダイビングの最大の危険とは何か、そして危険性を少しでも減らすためのヒントをお伝えします。
環境
NIHが挙げた危険の最初は環境です。以下は、フリーダイバーにとっての環境面での考慮事項です。
低体温症
水は空気よりも熱を最大25倍速く伝えます。そのため、明らかなリスクの1つは低体温症です。震えたり、寒さで緊張したりすることは、肺や喉の圧迫のリスクを増加させる要因にもなります。休憩を取り、船上で体を温め、適切なウェットスーツを着用し、ダイビング前やダイビング中は、体をリラックスさせることを忘れないでください。
潮の流れ
フリーダイバーにとってもう1つのリスクは、潮の流れなど海のコンディションです。水上の天候は瞬時に変化することがあり、ダイバーはどうすればよいかを知っておく必要があります。潮流が変わったり、スコールが押し寄せたりして、あなたを岩礁に押しやるか、あるいは岸から遠ざける可能性があります。常に天気予報を確認し(潮の満ち引きが激しいエリアでダイビングする場合は潮位も含めて)、水平線を見張りましょう。しっかりと計画を立て、必要に応じて移動できる準備をしておきましょう。
水中拘束
水中拘束は、構造物の近くでダイビングする際に深刻な懸念となります。岩礁、沈船、桟橋、およびコンブの森はより高いリスクがあります。自分自身のためでなく、絡まった動物のためにも、ベルトにナイフを装備することを検討してみてください。
野生動物
クラゲからゴマモンガラに至るまで、彼らにとって私たちは人間は海の世界ではあくまでもよそ者です。野生動物が私たちを警戒や威嚇しているように見られた場合は、常に注意深い姿勢を保つべきです。落ち着いてダイビングができないと感じた場合はダイビングを終了しましょう。安全を優先することが大切です。野生動物は自宅のペットとは違いますからね!
深度または圧力に関するリスク
フリーダイビングは、その活動の性質上、ある程度のリスクを伴います。深度への潜水は身体に圧力をかけます。以下は、すべてのフリーダイビングで考慮すべき事項です。
圧外傷
フリーダイビングにおける最も一般的な深度や圧力に関連したリスクは、眼、耳、副鼻腔、および肺の圧外傷(圧力変化による損傷)です。これらの損傷はほとんどが正しく耳抜きされていないことや、潜降や浮上の速度が速すぎることによって引き起こされます。ゆっくりと動き、自分の深度を把握しましょう。不快感を押し通さず、自分の体に耳を傾けましょう。
減圧症
レジャーの範囲で楽しんでいるフリーダイバーにとってはまれですが、減圧症は依然としてリスクです。減圧症は、競技フリーダイバーや真珠や牡蠣の潜水者などの商業フリーダイバーに発症する場合があります。減圧症についての詳細な情報や、症状、バディに減圧症の疑いがある場合の対処方法については、「バディが減圧症にかかっていると思ったらどうするか」を読んでください。
フリーダイビングのリスクを減らす8つのヒント
- 決して一人でフリーダイビングをしない。これはフリーダイビングの最も重要なルールです。
- 適切なウェイトでフリーダイビングをする。ウェイトが重すぎると、浮上時に必要以上に力が入ってしまったり、ブラックアウトしたときに水面から沈んでしまう可能性があります。オーバーウェイトにならないように注意しましょう。
- 水分補給と栄養補給をしっかりと。ダイビングショップで飲む温かいコーヒー以上の水分補給をしましょう。脱水状態は、多くの不調をもたらしますので、ベストなパフォーマンスが出来なくなってしまいます。
- ダイビングポイントは目立つように。目立ちやすいフロートとフラッグを持って潜りましょう。黒や迷彩柄のスーツを着たダイバーは、水面でじっとしているため見失いやすいのです。発見されやすい工夫をしましょう。
- 水面休息時間を長めにとる。これはフリーダイビングのリスクを減らすための素晴らしい方法です。最低でも潜水時間の3倍、深いところではそれ以上の時間、水面にいるようにしましょう。
- ハイパーベンチレーションをしない。ハイパーベンチレーションによって蓄積される二酸化炭素は、浅瀬での失神の可能性を高めてしまいます。
- 無理に数字を求めない。目標を持つことは素晴らしいことですが、無理をして怪我をするリスクを冒すことは禁物です。自分のレベルを把握すること。
- 自分の体の声に耳を傾ける。私たちの身体は、無理をしているときにそれを教えてくれます。自分以上に自分の限界を知っている人はいません。
フリーダイビングにはそれなりのリスクが伴いますが、必ずしも危険というわけではありません。フリーダイビングは、リラックスでき、瞑想的なスポーツの1つです。しかし、フリーダイビングをするうえで大事なのは、深さでも、タイムでもなく、安全に水面に戻り、岸に戻ることです。
フリーダイビングを追求したい人々には、正式なトレーニングと認定を受けることが強く推奨されます。これにより、自分自身のケアだけでなく、トラブルに陥った他のダイバーを助けるスキルを身に付けることができるようになります。PADIフリーダイバー・コースは、実践を重ねるにつれてスポーツに関連する知識を高めるように設計されています。もしあなたがすでに認定を受けていて、このスポーツをハマったのであれば、次のコースを受講することを考えてみてください。ダイビングを向上させる方法だけでなく、あなたの体が深度で何が起こっているか、そしてどのように安全に深く潜るかを理解するのに役立つでしょう。