海の中という特殊な環境を楽しむダイビングにおいて、その性質上、器材に多くを依存するレジャーです。器材は「自分の命を預けるもの」と考えるべき重要なもの。

見た目に問題なく、今、故障もしていなければ、オーバーホールを後回しにしたくなる気持ちも分かります。…が、購入してから数年たったけど、まだ数回しか使ってないし、大丈夫だろうと思ってませんか?オークション購入や他人から譲り受けた器材をそのまま使っていませんか?使用後の洗い方や保管方法によって傷み方が全然違いますし、中古品だとそこまでは分からないですよね。

オーバーホールには、レギュレーターやBCD は100 ダイブに1回、もしくは1年に1回(いずれか早いほう)のペースで出す必要があります。また、ダストキャップを外したまま水槽に付けてしまったり、不調(エアー漏れや呼吸抵抗等)がある場合は期間途中でも点検の上オーバーホールに出してあげましょう!


オーバーホールって何をしているの?

ダイビング器材のオーバーホールでは、専門的な知識と技術を持ったプロフェッショナルが専用工具を用いて、器材を分解し、徹底的に点検・清掃・修理を行います。

【知ってた?】
オーバーホール作業はメーカー各社のOH専用の講習会を受けて認定を受けた者にしかできません。定期的にアップデートセミナーを受けることが義務となっているメーカーもあります。PADIのCカードと同じように、認定証の発行もされます。

1. 分解と検査

まず、これ以上分解できないところまで器材を細かく分解し、各部品の状態を確認します。部品が劣化していないか、摩耗や破損がないかを詳しく検査、交換すべきパーツと洗浄の上継続して使用するパーツに分けます。

2. 清掃

分解した各部品を超音波洗浄機と特別な洗浄液を使用して清掃します。器材に蓄積している塩分、砂、汚れなどを徹底的に取り除きます。

Ultrasonic cleaners used in regulator cleaning
画像提供:スクーバリペアセンター

3. 部品の交換

劣化や破損が見られる部品は、新しいものに交換します。特にオーリングなどやゴム部品は器材の使用頻度が少なくても、ゴム本来の性質である自動酸化により劣化は進みます。

さらに紫外線、海水、そして圧縮されて酸素分圧が高くなった気体にさらされることでより一段と劣化しやすいためオーバーホール時にほぼ交換となります。高額なパーツの交換が必要になる場合は、事前に確認があるはずです。

4. 組み立てと調整

清掃と交換が完了した部品を再度組み立てます。検査機を使用して、レギュレーターの圧力調整や、BCのインフレーターの動作確認など、各機能が正常に動作するように調整を行います。

5. 最終確認

組み立て後、器材が正常に動作するかをテストします。BCも一緒に出した場合は全体を接続して点検し、BCの排気バルブや本体からのエアの漏れがないかなどをチェックします。

Diving regulator undergoing final underwater inspection at the end of the overhaul process
画像提供:スクーバリペアセンター

100 ダイブもしくは1年に1回、絶対にオーバーホールに出さないとダメ?

オーバーホールはダイビング中のトラブルを未然に防ぐためにも、器材を長持ちさせるためにも非常に重要です。マイ器材の管理はダイバーに責任があり、ご自身の安全にかかわることです。安心してダイビングを楽しむためにも、使用回数が少ない/使用していて問題が無かったとしても、定期的なオーバーホールに出すことを強く推奨します。

【ヒント💡】
器材によっては「ワランティー制度」があり、一定期間内はOH時の交換パーツ代が無償という制度があります。調子が悪くなってからOHに出すよりコストパフォーマンスも良い場合があります。

どこでオーバーホールに頼めばいいの?

メーカーの認定を受けたリペアマンのいるところにオーバーホールを依頼しましょう。認定者が購入したダイビングショップに認定者がいる場合はそこでもOKですし、オーバーホールを取り扱う業者やメーカーに取り次いでくれるショップに出すのが良いでしょう。


器材スペシャリストになろう!

PADIの器材スペシャリスト・コースでは、自分に合った器材の選び方、オープン・ウォーター・ダイバー・コースで学ぶ以上の手入れのテクニックや保管方法を学びます。さらに、調子が悪くなってしまった器材の応急手当の方法等も知ることができるので、器材の不備によるダイビングの断念を防ぐことができるかもしれません。器材の構造/原理を知ることはベテランダイバーになるための第一歩です。

興味がある方は、ぜひPADIの公式サイトや最寄りのダイビングショップで詳細をチェックしてみてください。あなたも器材スペシャリストになって、より安全で快適なダイビングライフを送りましょう!


取材協力:スクーバリペアーセンター

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