毎年推定1,400万トンのプラスチックが海に流入している現状を踏まえると、プラスチックの流出を食い止めることがこれまでになく重要になっています。現在策定中の国際プラスチック条約は、プラスチックのライフサイクル全体にわたる汚染問題を効果的に解決するための、世界的に協調した取り組みを実現するまたとない機会です。私たちダイバーや Ocean Torchbearer™ オーシャン・トーチベアラー(海洋保護の志を持つ者)として、プラスチック流出を止めるために協力しながら、この問題の根本を探っていきましょう。

背景について
プラスチックは1907年にベークライトとして初めて合成され、その耐久性と汎用性によって産業に革命をもたらしました。医療、包装、テクノロジーなど幅広い分野で活用され、私たちの生活に多くの恩恵をもたらしてきましたが、一方で深刻な環境問題も引き起こしています。プラスチックの長い寿命は、汚染の持続性を高めるため、リサイクルや持続可能な代替素材の活用が今後の管理において極めて重要となっています。
プラスチックの分解には20年~800年かかるとされ、その特性を生かせば医療や建設分野で極めて有用な素材となります。しかし、その軽さと耐久性ゆえに使い捨てプラスチックが何十年にもわたり過剰に消費され、その結果、私たちは環境への深刻な影響を目の当たりにしています。

課題と解決策
以下のステップでは、プラスチックに関する主な課題を明確にし、近い将来どのように解決を目指せるかを探ります。
1. プラスチックの使用
プラスチックの耐久性と長寿命は、電子機器、医療用途、建設など長期間の使用を想定した製品にとって大きな利点です。しかし、生産されるプラスチックの約44%は包装用途に使用されており、その大部分が生産から1年以内に廃棄物となります。
2. 廃棄と処理
世界全体で年間約240トンのプラスチック廃棄物が発生していると推定されています。プラスチックは比較的新しい素材であり、特に食品包装などの用途で広く使用されるようになったため、廃棄物管理の方法を適応させる必要がありました。膨大な量のプラスチック廃棄物を処理するため、管理システムも再設計されています。
累積生産量8.3億トンのプラスチックのうち、2015年までに約77%が廃棄物となりました。そのうち12%は焼却され、その過程で炭素が二酸化炭素として大気中に放出されます。
また、世界的に見ると、プラスチック廃棄物のうち平均9%しかリサイクルされておらず、ほとんどが埋め立て処理され、さらに一部は環境中に流出しています。
こうした膨大な量のプラスチックや回収困難なマイクロプラスチックの汚染、さらには有害な化学物質の放出により、プラスチック汚染は地球規模の環境危機と見なされるようになりました。
3. 解決策の可能性
プラスチックは私たちの生活のあらゆる側面に関わっているため、多様な分野が解決策の一翼を担えます。物理科学、自然科学、健康科学、社会科学、人文科学、ビジネス、マーケティング、工学、材料科学、ジャーナリズム、教育、芸術など、あらゆる領域が協力し、創造的で包括的なアプローチを広げていくことが重要です。
プラスチックのライフサイクル全体にわたる対策が必要であり、生産地の負担軽減、消費者への代替素材の選択肢提供、環境への流出削減、動物や人間への被害軽減が求められます。
現在策定中の国際プラスチック条約のような政策は、プラスチック問題のライフサイクル全体に介入するための重要な要素です。禁止措置、課税、リサイクル義務、調達要件、拡大生産者責任(EPR)などの政策は、プラスチック汚染を抑制するために導入されています。
2022年の国連環境総会(UNEA)では、法的拘束力のあるグローバル条約を制定することで、すべての関係者が協力し、プラスチック汚染問題に取り組む道筋が示されました。
この国際交渉が進行する中、PADIとPADI AWAREは、ダイビングコミュニティがこの問題に対して最大限のポジティブな影響を与えられるよう積極的に取り組んでいます。

変化を起こそう
PADI AWARE® Foundationの政策チームとトレーニングチームは、国際政策の交渉の場で情報を提供し、重要な解決策を促進するためのトレーニングを実施しています。国際プラスチック条約の強化を実現するためには、あなたの行動が不可欠です。 以下の方法で、今すぐ変化を生み出しましょう!
- 1分でできること:PADI AWAREの政策チームをサポートし、国際プラスチック条約の強化を求める請願書に賛同の声を届けましょう。
- 2分でできること:PADI AWARE Foundationの海洋保護プログラムを支援するために寄付を行いましょう。
- 5分でできること:プラスチック汚染や海洋ごみが海に与える影響、国際プラスチック条約の概要、ダイビングコミュニティが果たす役割について学びましょう。
- 10分でできること:海洋のプラスチック問題や国際プラスチック条約についての意見を発信し、周囲に請願書への署名を呼びかけましょう。 今すぐシェアして、コミュニティの変革を促すきっかけを作りましょう!
- 1日でできること:「Dive Against Debris」スペシャルティコースに参加し、安全に海洋ごみを回収するスキルを身につけましょう。さらに、回収データをAWAREグローバルデータベース(世界最大の水中ごみデータベース)にアップロードしましょう。
- ダイビングのたびに「Dive Against Debris」を実践し、地域から世界中の海洋保護活動に積極的に参加しましょう。
「Ocean Torchbearer™」として、貴重な時間を捧げ、海洋ごみ問題を終わらせるために行動してくれることに感謝します。 私たちの力を結集し、海の未来を守りましょう!