沖縄県恩納村にある沖縄ダイビングサービスLagoonの大嶋紗織さんは、自然の美しさとその保護に情熱を注ぐPADIプロフェッショナルです。彼女の人生は、自然への強い愛情と、それを次世代に引き継ぐための揺るぎない決意に貫かれています。

彼女が提供するのは、ただのダイビングツアーではなく、サンゴに特化したオリジナルプログラムとして、サンゴの苗作り体験や植付観察シュノーケルや植付ダイビングなど、サンゴと海の生命を間近に感じ、心に響く体験です。さらに、エシカル・コンシェルジュやウェルネスコーディネーターの資格を取得し、育児経験を通じて得た洞察を活かした「海を通じ自然と心に寄り添う」ツアーを提供しています。

大嶋さんのストーリーは、海と人、そして未来をつなぐ情熱的な旅の一部です。彼女がどのようにして自然との深い絆を築き、海の保護に取り組んできたのか、そのインスピレーションあふれる歩みを、ぜひこのインタビューでご覧ください。

PADI Dive Resort Lagoon Staff
沖縄ダイビングサービス Lagoonのスタッフの皆さん、右:大嶋紗織さん

Q. ダイビングと環境保護・保全活動を結びつけた瞬間や活動を始めた理由について教えてください。

サンゴ養殖の第一人者である恩納村の漁師、銘苅宗和さんとの出会いは、私のキャリアにおいて大きな転機となりました。当初はただサンゴが好きという情熱に突き動かされていましたが、銘苅さんの下で活動を続ける中で、前例のない挑戦に取り組む姿勢や、逆風の中でも決して諦めない強さに深く感銘を受けました。その言葉では表現しきれない学びは、私のプロフェッショナルとしての姿勢にも大きな影響を与えています。サンゴへの愛情が深まると同時に、銘苅さんの信念と努力を支えたいという思いが強まりました。ダイビングインストラクターである私だからこそ、サンゴの保護と育成に貢献できる役割があると信じ、日々その問いを胸に活動を続けています。


Q. 環境保護・保全活動においての困難や歯痒く感じていることはありますか?そして、それをどのように乗り越えましたか?

環境保護活動は、決してすぐに結果が見えるものではありません。しかし、活動を始めたころは、常にすぐに答えを求めすぎており、歯痒さを感じることが多かったです。

今では「わからない」という状況を受け入れ、それを楽しむことができるようになりました。サンゴの観察を続ける中で、生と死が繰り返され、微妙なバランスの上で成り立っていることに気づきました。また、何億年も前に誕生したサンゴが今もなお解明されていない生命の神秘を抱えていることを知ると、その不思議さを前向きに受け入れることができました。解答を見つけられないままでも、その瞬間を楽しみながら活動を続けることで、困難を乗り越えられるようになりました。

Corals that have grown in coral farming

Q. これまでの活動の中で、特に誇りに思う成果や経験はありますか?そして、その活動が周囲にどのような影響を与えたと感じていますか?

2023年にお店を開業して10周年を迎え、日本初のPADI ECOセンターに認定されたことは、私たちにとって非常に嬉しい出来事でした。環境保護活動は、その成果がすぐには見えづらいものですが、10年間にわたり、サンゴ保全活動やビーチクリーンに地道に取り組んできました。また、ダイバーと海との関わりについても疑問を抱き、グリーンフィンズ(海洋生物への配慮したダイビングルール)の認定を受け、リーフチェック(サンゴの健康度を測る世界共通の手法)を積極的に実施しています。

a female diver monitoring coral with color chart

新しい試みはなかなかすぐには受け入れられないこともありますが、来店されたお客様には私たちの価値観や活動をしっかりと伝え、スタッフが行動で環境への配慮を示してきました。その結果、マイボトルを持参するお客様が増え、お客様のエシカルアクションを見るたびに、一人微笑んでいます。

Saori Oshima receiving Japan Travel Award
ジャパントラベルアワード 2024 サステナブル部門受賞

Q. 最後に次世代のダイバーやプロダイバーに向けて、メッセージをお願いします。

「安心・安全の中で、海と人を繋ぐ」

2024年春を迎えるにあたり、【遊】という漢字にたどり着きました。元々、遊びは神様が自由に行動するという意味を持っていましたが、次第に「心のおもむくままに行動して楽しむ」という意味が加わりました。そして遊という中にいる「子」という文字が私に呼びかけていました。大人に見守られながら安心できる場所(空間)で、子どもの頃のように、心が感じたままに遊ぶ体験は、私たちに多くの気づきを与えてくれると思います。

ダイビングはレジャー(遊び)スポーツです!未知の世界へのワクワク、ドキドキ!ダイバー同士の安心できる小さなコミュニティの輪の中で、心のおもむくままに遊ぶ体験の提供こそが、自然との共生への道標になると感じています。

尊敬する研究者の方から「私たち研究者は毎日海に潜るわけではありません。日々潜っているあなたこそが変化に気づくことがあるでしょう。あなたの感覚を大切にしてください」と言われた言葉が心に残っています。日々変わる海の景色を楽しみながら、海と人を繋ぐこの仕事を誇りに思っています。

AWARE Weekのこの機会に、【生きとし生けるもの】の声に耳を傾けてみてください。より多くの人が自然の価値に気づくことで、社会の幸福と自然環境の保全(生物多様性の保護)に繋がると信じています。海のどこかに、あなた自身の星(夢中になるもの)が見つかることを願っています。

divers on the boat departing for coral conservation activity
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