ダイビング・コミュニティにも、健全な海洋生態系のある未来を創造するために活動する情熱的なオーシャン・トーチベアラー(海洋保護の志を持つ者)が集まっており、PADI AWARE財団は、グローバル規模の海洋変革を起こすために、彼らの各地域での活動を促進させるサポートをしています。

2022年、PADI AWAREは、各地域の海洋保護・保全の取り組みやプロジェクトをさらに進めるため、非営利の助成金プログラム(ミッションハブ・コミュニティ・グラントプログラム)を開始しました。

この助成金プログラムの開始以来、PADI AWAREは、PADIダイブセンター/ダイブリゾートおよび、地域の非営利団体よって運営されいて、気候変動海洋ごみ海洋生息地の喪失海洋種の保護など問題に取り組む73のプロジェクトに、総額57万米ドル以上の資金を支援してきました。

PADI AWAREは、コミュニティ内で海洋における行動指針を推進することに尽力している助成先をご紹介いたします。


The Rwenzori Scuba divers and Salvage crew take a selfie on a boat
写真提供:Rwenzori Scuba Divers and Salvage Limited
Lake Victoria and the River Nile seen from above
写真提供:Rwenzori Scuba Divers and Salvage Limited

Rwenzori Scuba Divers and Salvage Limited

2021年に西ウガンダのカセセ地区で洪水被害者を救助する人道支援として設立されたRwenzori Scuba Divers and Salvage Limitedは、東アフリカ地域での水中活動と水の安全性の促進に取り組んでいます。

廃棄物管理(特にプラスチック製品)は地域全体の問題になっています。ウガンダの河川の90%が流れ込むビクトリア湖は、2,000万人の主な魚の供給源、交通手段、そして水供給の源であると同時に、東アフリカ地域で最も汚染されている水域でもあります。PADI AWARE財団のグラントは、Rwenzori Scuba Diversがビクトリア湖に影響を与える廃棄物管理問題に取り組むために、the Lake Victoria Rwenzori Scuba DiversとPADI AWARE 保全プログラム(LVRPAイニシアチブ)を設立するための重要な資金となります。このプロジェクトは、地元社会の関与とトレーニング、保全パートナーシップ、若者のイニシアチブ、そしてビクトリア湖およびその周辺流域におけるDive Against Debrisの水中ごみ清掃と調査を通じて、劣悪な廃棄物管理を減らし、衛生問題を改善することを目指しています。

Rwenzori Scuba divers and Salvage crew give a lecture on the beach
写真提供: Rwenzori Scuba Divers and Salvage Limited

Rwenzori Scuba Divers and Salvage Limitedのディレクター兼プロジェクトマネージャーであるジョージ・ウィリアム・ムカサ氏は、「ビクトリア湖-ナイル川ウガンダでのDive Against Debrisは、ウガンダが内陸からの貢献を理解し、海を守るためのデータを提供する画期的なものです」と語ります。


Sea Communities 

2000年、バリ島北部にあるレス村の漁師たちは持続可能な網漁法を行うために、これまでの漁業慣行の改革を始めました。彼らはコンクリートのプラットフォームで人工リーフを構築し、長年のシアニド・フィッシング(シアン化合物(シアン化ナトリウムやシアン化カリウムなどのシアン化物)を水中に散布して、魚を麻痺させて捕獲する方法)によって破壊されたリーフを回復させました。2012年、Sea Communitiesは、地元の漁業コミュニティと共にサンゴの再生作業を継続するために設立され、教育観光とダイビングボランティアを通じて活動資金を調達しています。現在も、Sea Communitiesは地元の漁業コミュニティや世界中の大学の海洋科学者たちと協力して、サンゴの生息地を回復に取り組んでいます。また、サンゴの苗床、マイクロフラグメンテーション試験、およびボランティアダイバーと地元漁師による大量植樹など活動の範囲を広げています。

Sea Communities doing coral transplant work
写真提供: Sea Communities

コミュニティ・グラント・プログラムの助成金により、Sea CommunitiesはSTARR(Scientific Trial Active Reef Rehabilitation)で、地元社会やレクリエーショナルダイバーと科学者が一緒に活動する環境を維持することができます。

実際に、取り組んでいることとしては、科学的根拠に基づいたサンゴの再生とモニタリング、リーフの回復力と生物多様性の促進させるための苗床育成および移植に適したサンゴ種の特定、地元で入手可能な材料を使用してサンゴ取付方法の有効性の試験、野生のサンゴを採取することなく将来の移植に使用できる非分岐サンゴの親株の作成、その場でのマイクロフラグメンテーションによるサンゴ再生の実現可能性を判断、沿岸コミュニティがその場でサンゴを簡単に育成できる環境づくり、地元コミュニティや観光客をサンゴ保護活動に参加させ、エンパワーメントすることです。

Sea Communities scientists pose next to coral transplants
写真提供: Sea Communities

「もっと多くの人々がダイビングをして、水中の素晴らしさを実感してほしいです。」と、Sea Communitiesの共同創設者であるエレイン・クウィーは言います。「科学は一般の人々、特にそれを必要とする沿岸コミュニティに伝えられるべきです。STARRはこれらの要素を結びつけ、ダイバーは行動を起こす貴重な機会を得ることができます。」


Mike’s Dauin Beach Resort 

フィリピンのダウインにあるPADI5 Starダイブリゾート Mike’s Dauin Beach Resortは、責任のあるダイビングと脆弱な海洋生態系の保護に取り組んでいます。ダウインの13キロメートル(約8マイル)の海岸線には広大な海草の藻場が広がり、アオウミガメの餌場となっています。海洋保護区(MPA)外では、これらの海草の藻場は無責任な漁業、プラスチック汚染、農業排水によって被害を受けています。ダウインのウミガメは生息地の喪失と、汚染によって引き起こされるFibro Papillomatosis※の脅威にさらされています。
※ウミガメの病気で、最終的にはウミガメを衰弱させる上皮性腫瘍のこと。

A sea turtle with a virus in the Philippines
写真提供:Mike’s Dauin Beach Resort

PADI AWARE の助成金プログラムは、Mike’s Dauin Beach ResortのProject Pawikan(地元の方言で「ウミガメ」を意味する)を支援しています。このプロジェクトでは、ウミガメの調査を行い、ウミガメの個体数のの分布と健康状態、ウミガメが頻繁に訪れる藻場を記録します。この調査は、フィリピン大型海洋脊椎動物研究所(LaMaVe)に明確なデータを提供し、国レベルでの分析を行い、移動パターンの検出し、国立ウミガメカタログへの貢献を目的としています。また、この調査は、ダウインを含むフィリピン各地の水質とFPの関連性についての研究しているフィリピン大学の学生に、FPを罹患しているウミガメのデータと観察結果を提供します。Project Pawikanは、地方および国家当局と連携し、ダウインのウミガメを将来の世代のために保護する方法について意思決定者に情報を提供する立場にあります。

Mike’s Dauin Beach Resortにとって、すべては、シンプルに、ダウインのウミガメの習性、健康状態、分布についてより多くの理解を深めることから始まります。彼らは、フィリピンのダウインでのウミガメの個体群のマッピングが、まだまだ未解明な部分が多い動物と彼らが直面する課題を理解し評価するための継続的なプロセスの始まりとなることを望んでいます。

「Project Pawikanは、アオウミガメの餌場としての海草の藻場の重要性と、その保護を改善する必要性について、地元およびそれ以上の範囲で意識を高める手助けをします」と、Project Pawikanの担当者であるジョナサン・アンダーソン氏は述べます。


Blue Corner Dive Penida

バリ島に3つのダイビングセンターを展開するBlue Corner Diveは、2017年以来その地域で行ってきたサンゴの再生作業を強化するために、保全部門であるBlue Corner Marine Researchを拡大しています。Blue Corner Marine Researchは、保全教育、サンゴ礁のモニタリング、生態系の回復に焦点を当てており、ヌサ・ペニダの北海岸に沿った劣化したサンゴ礁域で大規模なサンゴ再生プロジェクトに取り組んでいます。このサンゴ礁は物理的な損傷を受けていますが、ヌサ諸島で最も生態学的に重要なサンゴ礁の1つであり、この地域で最も多くの異なるサンゴ種の避難所として機能しています。

PADI AWAREから受け取った資金は、1,000平方メートルの劣化したサンゴ礁の回復をに充てられます。このプロジェクトは、インドネシアの海洋生物学者がサンゴの再生作業に従事し、他の人々をトレーニングする機会を提供します。Blue Corner Diveのインドネシア人女性海洋生物学者チームは、今年PADIダイブマスターとしてトレーニングを受け、サンゴ礁の回復とダイバーおよび地元コミュニティの教育に尽力します。


Big Bubble Dive Resort 

タイのタオ島にあるBig Bubble Dive Resortは、地元のサンゴ礁の回復に取り組んでいます。2017年以来、彼らはタイの海洋沿岸資源管理局と協力し、島の周囲に10万以上のサンゴを植えてきました。PADI AWARE財団の支援を受けて、Big Bubble Dive Resortは2022年にプロジェクトを拡大しました。

植え付けたサンゴの80%の生存させた実績のあるタオ島のチームは、PADI AWARE助成金を活用して、新たなサンゴ再生プロジェクトに着手します。Big Bubble Dive Resortの30周年をして、Chalok Bayに3,000個のサンゴを植える予定です。彼らが植えるサンゴは、サンゴ礁保全に関心を持つダイバーが学ぶための教育的なリソースとなります。

PADIコースディレクターでありBig Bubble Dive ResortのゼネラルマネージャーであるMr. Chatsakul Kaewpanaoは「海は1つの手だけでは保護するには広すぎます。しかし、多くの小さな手が協力すれば、私たちの海は確実に良くなります。」と話します。


次回のPADI AWARE助成金プログラムに応募する

ダイブセンターや海洋保護プロジェクトに参加し、さらに発展させたいという情熱をお持ちの方は、次回の助成金に応募することができます。PADI AWARE財団コミュニティ・グラントは、申請可能な海洋保護非営利助成金の中で最も優れたもののひとつです。申請方法の詳細については、下のボタンをクリックしてください。


PADI AWARE財団コミュニティ・グラントへの寄付

PADI AWARE 助成金プログラムを支援するための寄付や地域の海洋保護・保全活動に参加する方法はこちらから確認いただけます。

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