「どうして写真家や映像クリエイター、インフルエンサーたちは、あんなに美しい水中映像を撮れるのだろう?」と思ったことはありませんか?

水中の環境は、潜るたびに光の入り方や透明度、海況などが変わるため、どんな状況でも完璧に対応できる万能な設定はありません。しかし、いくつかの基本的なコツを押さえておけば、より魅力的な水中動画を撮影できるようになります。

素晴らしい映像を撮るためには、機材や設定だけでなく、水中で過ごす時間も重要です。理想的な光が差し込む瞬間や、穏やかなコンディション、あるいは被写体となる海洋生物が近づいてくるタイミングを、根気強く待つことも大切な要素です。

どのようなカメラを使っていても活用できる、フリーダイビング動画を美しく撮影するための定番テクニックをご紹介します。

Freediver captures great shot with the reef and other dives silhouetted by the sun.

フリーダイビングのスキルを磨こう

実際の撮影テクニックを紹介する前に、フリーダイバーとして意識しておきたいポイントがあります。

まず何より大切なのは、ゆっくりと動く練習をすることです。特に自撮り棒やポールにアクションカメラを取り付けて撮影する場合、小さな動きでも映像では大きく強調されてしまいます。動きの速いガタガタした映像は見づらく、後からスローモーションに編集しても手ブレが目立ってしまうことがあります。

また、撮影対象となる海洋生物への敬意を忘れてはいけません。動物を追いかけたり、触れたりすることはやめましょう。遭遇の主導権は常に動物たちに委ねることが大切です。十分な距離を保ちながら辛抱強く待っていると、動物たちはあなたを脅威ではないと認識し、ときには興味を持って近づいてくることがあります。そんな瞬間こそ、自然な行動や表情を捉えた、本当に素晴らしい映像を撮影できるチャンスです。


freediving in colombia. Underwater photography in the diving industry

撮影機材の準備

当たり前のことのように聞こえるかもしれませんが、焦って準備をしたことで、大切な撮影チャンスやカメラを台無しにしてしまうことは少なくありません。まず、バッテリーが十分に充電されているか、そして空き容量のあるSDカードが入っているかを確認しましょう。また、ハウジング内部やレンズ部分に髪の毛や指紋、汚れが付いていないかも忘れずにチェックしてください。そして何より重要なのが、カメラをハウジングに収納して閉じる際に、Oリングやシール部分に砂や異物が挟まっていないか確認することです。

もうひとつ役立つコツがあります。もしハウジング内部が曇りやすい場合は、小さく折ったティッシュペーパーやキッチンペーパーをハウジング内の空いたスペースに入れておくのがおすすめです。カメラの動作を妨げない場所に入れておけば、内部の湿気を吸収し、レンズの曇り防止に役立ちます。


フレームレートを活用しよう

すべての映像を最低でも60fps(1秒あたり60フレーム)で撮影することをお勧めします。人間の目や脳は、一般的に24fps前後の映像を最も自然で心地よい動きとして認識するといわれています。そのため、60fpsで撮影しておけば、編集時に映像を最大50%程度スローモーションにしても滑らかな映像を維持できます。水中映像では、ゆったりとした動きを演出できるため特に効果的です。

また、撮影時はできる限り高画質の設定を選びましょう。画質が高いほど、1フレームごとに記録される情報量が増え、編集時の自由度も高まります。

さらに、魚の群れやイルカ、アシカなどの素早く動く海洋生物を撮影する場合や、フリーダイバーのダイナミックな動きを撮る場合は、120fpsや240fpsなど、より高いフレームレートで撮影するのもおすすめです。高速な動きを大幅にスローモーション化できるため、一瞬の出会いや動きを印象的な映像として残すことができます。


光を味方につける

水中を差し込む光は、ときに幻想的で美しい映像を生み出します。しかし、水中での光の使い方や屈折を活かした撮影には、少し経験が必要です。フリーダイビング動画を撮影する際におすすめなのが、水深3〜5mほどまで潜り、その場でゆっくり一周してみることです。その際、カメラの液晶画面を確認しながら周囲を見渡してみましょう。どの方向から撮影するのが最も美しく見えるのかを判断できます。

多くの場合、ある方向では太陽光が水中に差し込み、美しい光の筋が被写体を引き立ててくれます。一方で、反対方向から撮影すると光が十分に当たらず、平坦で印象の薄い映像になってしまうことがあります。

光を意識するだけで、同じ場所・同じ被写体でも映像の雰囲気は大きく変わります。撮影前に少し周囲を観察し、最も美しく見える角度を探してみましょう。


1カットの長さを意識する

1カットにつき最低でも10秒程度撮影することを目安にするとよいでしょう。十分な長さを確保しておくことで、編集時に不要な部分をトリミングしやすくなります。また、カットの前後に余裕があると、後からトランジションやフェードなどの演出を加える際にも便利です。

さらに、被写体を追いかけ続けるのではなく、カメラを構えたまま待ち、人や海洋生物がフレームの中に入ってきて、そのまま通り過ぎていく様子を撮影するのもおすすめです。このような撮り方は、映像にストーリー性や臨場感を与えるだけでなく、編集時の選択肢も広がります。被写体が画面に入る前後の余白があることで、映像のつながりを自然に作りやすくなるためです。


コミュニケーションを大切にする

ロープ沿いのフリーダイビングやリーフでのダイビングを撮影する場合は、事前にバディや友人とコミュニケーションを取っておきましょう。どのような動きが映像として美しく見えるのか、どの方向を向いてほしいのかなどを伝えておくことで、理想の映像を撮りやすくなります。

また、水面で事前に撮影内容を共有しておけば、水中で何度もやり直したり、ジェスチャーで意思疎通を図ったりする必要が減ります。その結果、息こらえの時間を有効に使えるだけでなく、ダイブ間の休息時間も効率的に活用できます。

素晴らしい水中映像は、カメラの性能や撮影技術だけでなく、被写体とのチームワークによって生まれることも少なくありません。撮影前のひと声が、作品の完成度を大きく左右することがあります。


安全第一で撮影する

フリーダイビング映像を撮影するうえで、最も重要なポイントは安全を最優先にすることです。例えば、友人がロープ沿いに潜る様子を撮影する場合は、撮影者とダイバーのほかに、安全管理を担当する第三者を配置することが理想的です。

撮影に夢中になると、どうしても「良い映像を撮りたい」という意識が強くなり、周囲への注意が散漫になってしまうことがあります。その結果、自分自身やバディの安全確認がおろそかになるリスクがあります。第三者がいれば、撮影や潜水に集中している二人とは別に、常に状況を監視し、必要な場合にはすぐサポートに入ることができます。

また、安全管理役はダイブフロートや予備器材の管理も担当できるため、撮影エリアの近くに安全装備を待機させながら、映像には写り込まないよう調整することも可能です。

どれだけ素晴らしい映像が撮れても、安全が確保されていなければ意味がありません。フリーダイビング撮影では、「撮影よりも安全が優先」という意識を常に持ち、適切な体制で撮影を行いましょう。


advanced freediver

さあ、水中の世界を撮影してみよう

フリーダイビング動画をより魅力的に撮影するためのコツをご紹介してきました。ぜひ次に海へ出かける際は、これらのポイントを意識しながら撮影に挑戦してみてください。

ただし、せっかく撮影した素晴らしい映像をそのまま保存したままにしておくのはもったいないものです。お気に入りの作品が撮れたら、ぜひSNSや動画共有サイトなどで発信し、その感動を多くの人と共有しましょう。

そして、さらにクオリティの高い映像制作を目指したい方は、撮影や編集に関する知識を学び続けることもおすすめです。経験を重ねるほど、水中でしか出会えない特別な瞬間を、より美しく表現できるようになるでしょう。

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