毎年6月8日は、「世界海洋デー(World Ocean Day)」。海について考え、海の大切さを知り、未来へつなげるために行動する日として、世界中でさまざまなイベントや活動が行われています。
でも、「聞いたことあるけど、実はよく知らない」という方も多いのではないでしょうか?今回は、“世界海洋デーとは何か”、そして私たちダイバーにできることについてご紹介します。
世界海洋デー(World Ocean Day)とは?
世界海洋デー(World Ocean Day)は、海の重要性について世界中の人々が考える国際的な記念日です。6月8日を「世界海洋デー」として、2008年に国連総会によって正式に採択されました。
海は、地球の表面のおよそ70%を覆い、私たちが呼吸する酸素の多くを生み出し、気候を安定させ、多くの生き物たちの命を支えています。しかし、現在、海洋ごみ問題、サンゴ礁の減少、気候変動による海水温上昇など、海を取り巻くさまざまな課題が深刻化しています。
日本は、四方を海に囲まれた海洋国家。しかし近年では、「海離れ」という言葉も聞かれるようになり、海と接する機会や、海への関心は少しずつ減ってきているとも言われています。だからこそ今、“海とのつながり”を見つめ直し、未来へ向けて私たちに何ができるのかを考える機会を持つことが大切なのかもしれません。
PADIと海洋保護活動
PADIは、ダイビング教育機関として世界中で多くのダイバーを育成してきました。かつては、「The Way the World Learns to Dive(世界がダイビングを学ぶ方法)」というスローガンを掲げ、“ダイビング教育”そのものを中心に成長してきました。
しかし現在、PADIはその先の役割を見据えています。PADIが掲げるビジョンは、「人類と海が、バランスよく共存・共栄できる世界を目指すこと」。そして、その想いを表す言葉が、2019年に改訂された新たなスローガンである「Seek Adventure. Save the Ocean.(冒険を求め、海を守ろう)」です。
海を楽しむだけではなく、海を守る人を増やしていく。それが、今のPADIが目指している姿です。
PADI AWARE Foundationとは?
その活動の中心にあるのが、PADI AWARE Foundation の存在です。PADI AWAREは、前身であるProject AWAREとして、1989年にPADIによってスタートしました。当時からPADIは、ダイバーに対して「水中環境を守る責任」や「海洋保護の重要性」を伝える必要があると考えていました。
そして1992年には、「Project AWARE Foundation」としてアメリカで独立した非営利団体として登録され、現在の「PADI AWARE Foundation」へと発展していきます。これは、世界海洋デーや現在のように海洋保護が広く注目される以前から、PADIが海洋保護を重要なテーマとして捉えていたことを意味しています。
なぜなら、PADIには創設当初から、「実際に海へ入り、海の世界を知り、そこで遊び、冒険するダイバーだからこそ、海を守る存在であるべき」という考え方が根底にあったからです。
サンゴの減少、水中ごみ、生き物たちの変化などの海の変化を、最前線で目にするのはダイバーです。だからこそPADIは、単にダイビングスキルを教えるだけではなく、“海を守る人を育てる”ことも大切な役割だと考えてきました。現在、PADI AWARE Foundationは、世界中のダイビング・コミュニティを結集し、地域での行動を通じて地球規模の海洋保護活動を推進しています。

PADIの海洋における行動指針
PADIでは、2030年に向けた海洋保護のアクション指針として、以下のテーマを掲げています。
- 海洋ごみの削減・回収
- 海洋保護区(MPA)の拡大
- 絶滅危惧種を含む海洋生物の保護
- サンゴ礁の復元・回復支援
- ブルーカーボン生態系の保全によるCO2削減
ダイバーだからこそできること
ダイビングは、海を「知る」きっかけになります。そして海を知ると、多くの人が「守りたい」と感じるようになります。世界海洋デーは、何か大きなことをしなければいけない日ではありませんが、ここでは、PADIを通じてダイバーが参加できる海洋保護アクションの一部をご紹介します。
海洋ごみ問題に取り組む:Dive Against Debris® スペシャルティ・コース
海の中には、陸から流れ着いたプラスチックや漁具など、多くのごみが存在しています。Dive Against Debris® は、ダイバー自身が水中ごみを回収し、そのデータを世界規模の海洋保護活動へ役立てる“市民科学(Citizen Science)”プロジェクトです。
このコースでは、
- 安全な水中ごみ回収方法
- 海洋ごみ問題についての知識
- ごみデータの記録・報告方法
などを学びながら、“海を守るダイバー”として行動する方法を身につけることができます。この活動は、単に「水中ごみを拾うコース」ではありません。回収したごみの種類や量、場所などのデータを継続的に登録していくことで、“海の定点観測”として機能し、世界中の海洋ごみの実態を可視化していきます。
そして、その蓄積されたデータは、研究機関だけでなく、地域や国の行政機関、政策立案者(ポリシーメイカー)にとっても重要な参考資料として活用されています。
「どの地域で、どんなごみが、どれくらい発生しているのか」そのリアルな現場データがあるからこそ、ごみ削減施策、プラスチック規制、海洋保護政策、地域単位での環境対策など、具体的なアクションにつながっていくのです。実際に海へ潜るダイバーだからこそ得られる情報が、海洋保護を動かす力になっています。

サメへの誤解をなくし、海の生態系を学ぶ:AWAREサメの保護スペシャルティ
サメに対して、「怖い」というイメージを持つ人は少なくありません。しかし実際には、サメは海の生態系バランスを支える重要な存在です。
海の頂点捕食者であるサメは、生態系全体のバランスを維持する役割を担っており、サメやエイが減少すると、海の環境全体にも大きな影響が及ぶといわれています。PADIでは、こうした海洋生態系の重要性を学ぶためのコースとして、AWAREサメの保護スペシャルティ・コースを展開してきました。そして2026年、このコース内容はさらにアップデートされ、従来の“サメの保護”だけでなく、“サメとエイの保護”へと拡張されました。(※日本での正式ローンチは今後予定されています)
このコースでは、
- サメやエイの生態
- なぜ彼らが脆弱な存在なのか
- 減少の原因
- 海洋生態系における重要性
- 人間活動による影響
- 私たちにできる保護アクション
などについて学びます。
また、このプログラムは単なる知識習得だけではなく、市民科学の側面も持っています。PADI AWAREアプリ内の「Global Shark & Ray Census」を通じて、ダイバーが実際に海で観察したサメやエイの情報を記録・共有することができます。どこで、どんな種類を、何匹見たのかといった観察データを世界中のダイバーが蓄積していくことで、サメやエイの分布状況や変化を把握するための貴重なデータベースとして活用されています。海の中で実際に生き物と出会うダイバーだからこそ、保全活動に貢献できる。海の見え方が変わるコースのひとつです。

サンゴ礁の未来を考える:サンゴ礁の保護スペシャルティ・コース
世界中の海で、サンゴ礁の減少や白化現象が大きな問題となっています。サンゴ礁は、多くの海洋生物たちの住処であり、海の生態系を支える重要な存在です。PADIでは、サンゴ礁を取り巻く環境問題や、保護・回復の取り組みについて学べるプログラムも展開しています。
- サンゴの役割
- 白化現象の原因
- 気候変動との関係
- ダイバーとしてできる配慮や行動
を知ることで、“ただ綺麗な景色として見る海”から、“未来へ残したい海”へと意識が変わっていきます。

海を楽しむことが、海を守ることにつながる
もし次のダイビング予定を考えているなら、今年の世界海洋デーをきっかけに、“海との向き合い方”を少し変えてみませんか?PADIでは、Dive Against Debris®やAWAREサメの保護スペシャルティなど、海洋保護につながるさまざまなコースや活動を展開しています。
まだダイバーではない方も、ぜひこの世界海洋デーをきっかけに、新しい海の世界へ一歩踏み出してみてください。海を知ることは、海を守ることにつながる。あなたもPADIとともに、自分なりの “Save the Ocean.” を始めてみましょう。